プレスリリース
株式会社dotDは、共創事業と自社事業の企画、開発、運営を行う事業創造ファームです。これまで数多くの自社事業・共創事業の新規事業づくりで培ってきたノウハウをソフトウェア化、プロセス化し、2023年4月3日にクラウド型事業創造プラットフォーム「dotHatch」をリリースしました。
新規事業づくりを行う上で多くの企業が課題とする「新規事業のプロセス化」「KPI管理」「経営資源の最適化」をサポートし、新規事業づくりを加速させます。このストーリーでは、dotHatchの開発の背景と製品にかける想いをお伝えします。
『多くの企業が思うように新規事業づくりができていない』
私(dotD代表 小野田)はdotDを創業する前、グローバルソフトウェア企業に在籍し多くの大企業に関わってきました。そこで感じた日本の大企業・産業全体に対しての課題がdotHatch開発の背景にあります。
多くの企業はこれまで積み上げてきた伝統的な事業は素晴らしい品質の作り込みができている一方、デジタル技術を組み合わせた事業への応用や新事業づくりには苦労しています。大企業が故に、事前検討に時間がかかり、その間にニーズも技術も変わり、思うように進まない、といったことがよく見られました。
しかし、これは日本の大企業だけでなく、私が所属していたグローバルソフトウェア企業にも課題があります。お客様が新しい事業を始めたい時、パートナーとしてITベンダーに相談がくることもありますが、社内の取引条件がボトルネックとなったり、ITベンダーの担当者の目的がお客様との目的と異なるため、事業創造への熱量にギャップがあったりと、結果的に上手くいかないケースが多かったのです。
また、日本の産業力はかつての輝きを失い、最新の世界競争力ランキングは34位(63カ国中)に位置し、宇宙産業やエネルギー、AI、循環型経済といった新しい技術領域でも立ち遅れています。
企業は事業継続をし続けるために新しい産業を生み出し続ける責務があります。既存の産業にデジタルやAI技術を組み合わせ、宇宙産業やバイオテクノロジーなどの新事業領域での産業化を主導しながら、地球環境にも配慮した持続的な経済成長を主導する役割があります。もっとスピード感を持って新規事業づくりが行える環境および仕組みの構築が必要だと感じ、dotHatchの開発に至りました。
新規事業づくりの成功確率を向上させるプラットフォームの開発
新規事業を作り上げるにはまず、アイディエーションから始めます。しかし、アイディア自体も玉石混交です。何から手をつければ良いのか分からず、仮説を立て、検証を進めながら、経営に対する説明責任も担保しながら対応していきます。すると何がうまくいき、何がうまくいっていないかが不明瞭になり、体制も変わり、資金も尽き、結局、煙のようになくなっていく。同じようなことがどの企業でも起きています。
私たちdotDは「事業創造ファーム」として、これまで52社以上の大企業の皆さまとの共創事業と、自らも事業を作る自社事業を行ってきました。この経験を通じ、新規事業づくりには一定の成功パターンが存在し、気にすべきアプローチ方法もあるという結論に至りました。
私たちは新規事業づくりを成功させるために、まず「プロセス」「KPI管理」「ヒト・モノ・カネ資源の最適化」の大きく三つに分け、その中身を細分化させることで、新規事業の状況とパイプラインの可視化を行うことが重要だと思っています。
状況を可視化し、対応策をさまざまなステイクホルダーと共有し、具体的なアクションを皆で考え、経営にも説明責任が果たされることが最低限必要です。また、想定通りに進まないケースがあれば、ある一定の条件でピボットや撤退タイミングをある程度強制的に行うことも傷口を大きくしないための重要な要素と言えます。dotHatchは、私たちの新規事業づくりの経験を標準化したクラウド製品で『新規事業づくりを科学する』コンセプトで開発を行っています。
難航するdotHatchの開発をスムーズに進めるために
dotHatchの開発では「全機能を作ってからではなく、できた機能から順次リリースすることで、実際に使ってもらったフィードバックを聞きながらプロダクトを育てていく」というメリットを見据えて、スクラム開発を採用しています。
開発は1スプリント(スクラムチームが一定量の作業を完了させる際の区切られた期間)を1週間で行いました。月曜日にスプリントプランニングで今スプリントで各人がやるタスクを決め、金曜日に今スプリントで開発した機能をプロダクトオーナーにレビューしてもらうスプリントレビューを行い、その後開発チームで振り返りをするレトロスペクティブを行います。
当初、ベロシティ(開発を担当するチームが作業を進める「速度」または「作業量」)がなかなか上がらず、目標としていた2023年4月のリリースにはとても間に合わない状況でした。そこで作業効率を向上させるため、さまざまな対策を試みます。
まず取り組んだのは、メンバー内のコミュニケーションの活性化。リモート作業が中心のため、日中はメンバーがバーチャルオフィスでいつでも会話できる状態にしました。これにより、雑談や相談がしやすくなり、不明点や問題点なども即座に解決できるようになっていきました。
そして、スプリントプランニングの内容や時間の見直しも行います。当初開発時間をとるため、スプリントプランニングに時間を割きませんでしたが、曖昧な部分が残ったまま開発に入り手戻りや遅れが多々発生していました。そこでタスク毎に設計する時間をとり、その後チームメンバー内で内容に曖昧な箇所がないよう徹底。
さらに、最初にスプリントのゴールを定めることでタスクを明確にし、持ち越してしまうタスクを減らして作業効率を向上させました。また、振り返りの手法を定期的に変更し、状況に合わせて改善した点もスピードアップにつながったと考えます。
さまざまな対策を講じた結果、徐々に開発をスムーズに進められるようになり、なんとか目標としていた2023年4月にdotHatchを正式リリースすることができました。
企業が抱える課題を解決し、失敗をおそれずスピーディーに新規事業づくりができる社会へ
新規事業づくりをしたくても、うまくいかない企業は多いと思います。私たちも「事業創造ファーム」として数多くの新規事業を作ってきましたが、試行錯誤の連続です。一般的には新規事業は1000個のうち、3つしか成功しないと言われています。
しかし、だからといって新規事業づくりを諦めてはいけません。事業を作り続けなければ、会社はライフサイクル上、いずれ社会から存在を否定されてしまいます。
dotHatchは新規事業づくりのためのプラットフォームであることはもちろん、社内間の「コミュニケーションの齟齬を解決するためのツール」でもあります。新規事業プロジェクトを遂行する現場メンバーとさまざまなプロジェクトを管理されているような管理者メンバーのコミュニケーションを標準化させることで、コミュニケーションコストを削減できるのです。
現場メンバーと管理者においてはさまざまな課題があると思います。運用やプロジェクトの進行状況だけでなく、それぞれの立場でしか感じることのできない複雑な課題があるのです。
dotHatchを活用することで、プロジェクトに関する情報の不整合が解消でき、新規事業のボトルネックを素早く特定し、事業のピボットを的確かつ迅速に判断できます。そして、現場メンバーと管理者メンバーのコミュニケーションフローを簡略化させ、承認プロセスまでのスピードを上げることができるのです。
企業が持続的に成長するためには、時代や環境の変化に適応し続けなければなりません。そのためには、社会・社内の新陳代謝を高め事業のピボットや戦略、組織を迅速に適応させることが不可欠です。
そして、新しい世代への成長の種蒔きの一つとして、新規事業開発におけるナレッジの蓄積や多角化を図る必要があり、今よりもっとカジュアルに多くの新規事業づくりが行える環境づくりが必要だと思います。それをサポートするのがdotHatchであると考えています。