プレスリリース
Mogic株式会社(モジック)は東京の郊外、緑が多い練馬区の石神井公園にオフィスを構え、21世紀の新しい教育サービスを模索しつづけるIT企業です。
大きな池と緑に囲まれた閑静な住宅街に現れる、ガラス張りのオフィス。10代から60代までインターン生、パートアルバイト、正社員で構成された少数精鋭のチーム。半分以上が徒歩と自転車での通勤といった地域密着スタイル。
そんなローカルなIT企業が、今では対面授業に似たeラーニングシステムから、レポート提出や出席管理など授業を支援するシステム、コミュニケーションで学ぶサービスまで、幅広く日本全国の教育機関や法人にサービスを提供しています。
一番最初にリリースしたのが、2012年のeラーニングシステムの「LearnO(ラーノ)」。未経験の分野に挑戦したこともあって、四苦八苦、試行錯誤の10年でした。そうしてせっかく苦労して積み上げた10年をそのまま続けることなく、新しい道を模索しはじめます。
そう、一からすべてを見直すリブランディングに挑戦したのです。
なぜそのまま続けることなく、リブランディングに踏み切ったのか?
どんな想いでこれまでを振り返り、次につながる価値を求めたのか?
ITサービスはとかくクリーンでロジカルで、外部からは分かりにくい印象があります。しかし、他のモノづくりと同じように裏側にはそれを支える人達の熱い想いがあります。eラーニングシステムLearnOの誕生からリブランディングまで、平坦ではない道のりを感じていただければうれしい限りです。
問い合わせすらない、初めてのサービスLearnO
会社を設立して初めてリリースしたサービスが eラーニングシステム「LearnO(ラーノ)」です。早いもので2012年3月にプレスリリースを出してから10年が経過しました。
あの頃はまだスマートフォンやタブレットが出たばかり。21世紀の教育はきっと学校だけでなく、年齢に関係なく、いつでも好きなときに始めるものになるだろうと確信していました。
その未来を見越して自分たちの考える教育システムを作ったのですが、クライアントに受け入れられるまでにとても時間がかかりました。
受講者同士のコミュニケーションや質疑応答できる機能、受講者のアクティビティをログ分析できる機能など従来にはない要素を盛り込んだものの、クライアントにうまく伝わりませんでした。導入実績が乏しいため、管理者にとってかゆいところに手のとどく部分も分からなかったからです。
執行役員でセールスを担当した瀬尾(せお)は、苦笑いしながら当時を振り返ります。
「プレスリリースを出して1年間、さっぱり売れなかったですね。売れなかったというより、問い合わせすらない。月に1件もないんですよ(笑)」
「どうしていいか分からず、興味のありそうな会社に電話でアポをとっていたら、同業他社に営業してたなんてことも。夏にパソコンを抱えて営業回りしていたら、シャツが汗でぐっしょり。ITサービスなのにと思いながら、よくトイレで着替えてましたね」
「貴重なプレゼンの機会をもらっても、あの機能がないね、この機能がないとねといわれれて。はじめて教育分野に参入したので、ないない尽くしでした」
諦めない、耳を傾けて10年、ずっと進化しつづけた
かといって、チームはeラーニングシステム「LearnO(ラーノ)」の進化を諦めたわけではありませんでした。
なんとかテスト導入いただいたクライアントとしっかり話し合い、管理しやすい機能を追加し、コストダウンを図り、小規模にも対応できる価格帯など数々の工夫を行ってきました。
「かゆいところに手の届く機能が欲しいよね。リマインドメールは宛先をしぼりたいし」
「1ヶ月単位で使えないかな。研修期間が1年のうち数ヶ月なんだよね」
「紙の資料にお金がかかるから、ネットで配りたい。だから、安くできるといいね」
クライアントから求めらたことを、エンジニア、デザイナー、セールスで膝を付き合わせて議論し、できるだけスピーディーに期待に応えられるよう、実装してきました。
前出の瀬尾はスッと目線を上げて続けます。
「私たちには何もなかったんです。実績も、経験も。だからクライアントの声に真摯に耳を傾けて、喜んでもらうのが一番でした」
「デザインが良かった、価格が良かった、システムが安定してた、マーケティングがいいとか言われるんですが、実は違うんです。ひたすらチームで粘り強く、一つ一つクライアントへの対応を積み重ねていっただけなんです」
そのプロセスは、10周年で確認した数字に表れています。
2021年の時点で、法人700社、年間35万人以上、累計利用者数145万人、バージョンアップ回数744回、プライスダウン90%以上、セキュリティ事故ゼロ、カスタマーサポート返信平均1.25日、トライアル総発行数2,400回、販売代理店やOEM展開店が直近前年比180%以上の導入数。
誰か一人のスーパースターが成し遂げたのではなく、プロデューサー、ディレクター、エンジニア、デザイナー、カスタマーサポート、ブランディング、バックオフィス全員が連動して積み上げてきた結果といえるでしょう。
積み重ねつづけたら、器からあふれ出した
そんなチームから、ポツリポツリとリブランディングの話がでてきたのが、ちょうど10年目を迎えたころ。
マニュアルなしでもっと直感的に管理画面を使ってもらいたい、アニメーションを使って受講体験を充実させたい、新しい機能を追加する手間を減らしたい。
そういった新しい要望にうまく対処できなくなっていました。これまでのように進めても、自分たちが求めるスピードやクオリティが出なくなってしまっていたのです。がんばって10年蓄積してきたノウハウが、いつの間にか当初の器からあふれ出ていました。
クライアントと共にチームが一生懸命積み上げてきた10年。愛着があり、使ってくださる人がいるからこそ、次の10年を考えて、グッと腰を落ち着けて考え直す必要がある。みんなで話し合いを続けて、やがて今こそリブランディングすべき時なんだと悟りました。
そうして再び、試行錯誤の日々が始まりました。LearnOサービスを全面的に一から見直す「10周年プロジェクト」として。
10周年プロジェクトは、みんなのために
チームで10周年プロジェクトはどうあるべきかと、半年かけて議論しました。
使っていただいたクライアントに感謝を伝えたい、これから導入いただく方へさらなる教育体験を届けたい、一緒に歩んできたパートナー企業を大事にしたい、サービスを支えるメンバがもっと考える時間をとれるように。
十分に話し合ったこともあって、「10周年プロジェクト」で何をするべきかは自然と決まっていきました。
- 管理画面とユーザー画面のリブランディング
- 社内フローを支える業務システムの刷新
- セキュリティ強化のためのISMS資格の取得
- 10周年記念ノベリティの配布
- LearnOをもっと知りたくなるコラムメディアのリリース
- 販売代理店やOEM展開店への手厚いサポート
最終的に挑戦したものは、多岐に渡りました。
同時に進行していった多くのプロジェクトたち
LearnOはリリース後も10年コツコツと途切れることなく開発を続けてきました。クライアントの要望を反映した改善はもちろん、新機能の開発や新しいアイデアを搭載したバージョンアップを高頻度でくり返してきました。スピードや対応力に定評があったので、その強みを損なうことないようにシステムを作り替えていきました。
管理画面やユーザー画面のリブランディングには慎重さが求められました。10年にわたって蓄積されたデータを一つ一つ丁寧に紐解いて、本当に利用者にとって大事なものは何かを見極めます。最初の予想からズレていないところもあれば、時代の変化から求められ、想像を超えて使われた部分まであります。目に見えない微かなシグナルを捉えながら、これから10年たっても通用するものに絞り込んでいきました。
10年前からアートディレクションを担当する内部(うちべ)は、感慨深げに話します。
「入社してはじめて担当した仕事がLearnOのデザインでした。トーン&マナーをたくさん出してうまくいかなくて。3ヶ月目に美味しい和食屋さんで品のいい金色のお椀を見て、ピンときました。一気にデザインができていきました」
「せっかくだから日本人が作るデザイン感を大事にしたいよね、って話してて。そこがぴたりとはまったんです。ずっと長く使われる大切な食器のイメージだったんです。だから今回も次の10年に使ってほしくて、質感にこだわりました」
機能面の使いやすさだけでなく、 費用面でもとことん導入しやすく続けやすいことを追求してきました。リリース時の提供価格は10年で90%以上下がり、1ヶ月単位で50IDから利用できるようになっています。このような柔軟な商品体系を支える独自の業務システムも刷新しました。これにより、トライアル/本番環境の発行や見積書や請求書の発行などがよりスムーズとなり、カスタマーサポートの対応がスピーディになりました。
バックエンドエンジニアの要名本(よなもと)は、冗談めかして言います。
「業務システムの刷新は、コードネームMogic COMP。COMPはComplementation(補完)の略、つまりあらゆる業務フローの完全なる補完計画なんです。ですから、今までのボトルネックはつぶさに洗い出して、全部並べて考え直して、次の10年で継ぎ足せるプラットフォームを一からすべて作りました。全貌が大きすぎて大変でした(笑)」
また、すでに個人情報保護の観点からプライバシーマークを取得していましたが、新たに情報資産の徹底管理ということでISMS資格を取得しました。これまでセキュリティ事故はゼロです。だからといって慢心することなく、第三者の視点で厳しく監査いただくことが重要だと考えて、審査を受けました。すでに体制が整っていたことから、無事に半年で取得できました。セキュリティ事故で一番起こりやすいのはヒューマンエラー。セキュリティに対する社内セミナーは随時行っています。
クライアントへの感謝の気持ちは改めてオリジナルノベルティという形でお届けしました。新しいLearnOのデザインをあしらったコーヒードリップ・パッケージやポータブル扇風機。それぞれに、ポタポタとゆっくり落ちるしずくのようにじっくりと腰をすえて学べるという意味と、新しいロゴのようにグルグル回りながら学びを深めるという意味をそっと入れています。
オリジナルノベルティの一部
LearnOのコラムメディアを新しく立ち上げるのに、1年半かけました。そもそも10年前から世界の教育を紹介するニュースサイトQure(キュア)というメディアをずっと運営していました。その役割を見直して、サイトを閉じるまでに半年。そこからLearnOの良さを伝えるコラムサイトを出すために、記事を作るメンバへのトレーニングに半年。サイトのデザインから公開する記事の作成に半年かかりました。
マーケティングを束ねる市村(いちむら)は、懐かしそうに手帳を見返します。
「正直いって、自分たちがコラムサイトを作れるなんて思ってもいませんでした。誰も記事を作ったことありませんし、長い文章なんて学生以来ですから。びっくりしましたが、とりあえず期限は決めずに、トレーニングを受けることになりました」
「毎週宿題が出て、書いて、みんなで講評して。不思議なもので1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月経つにつれ、うまくなるもんです。お互いに記事をチェックしたのが良かったんです。そして、なんといってもLearnOのカスタマーサポートやシステムのテストをしているので、クライアントの要望はよく分かっていたんです」
さらにLearnOの導入を語る上で、販売代理店やOEM展開店の活躍は外せません。自分たちのサービスのように作り替えられる柔軟さから、専門分野に特化したパートナー企業に重宝されてきました。
半年で470社の導入に成功したディ・クリエイト社の当時のコメントを引用します。
LearnO OEM契約店になると決めたのは、料金プランを見て「これなら顧客に安価でサービスを提供できる」と確信したからです。eラーニングというと難しい印象もありましたが、LearnO OEMでは、リーズナブルな価格で迅速に自社ブランドのeラーニングを立ち上げることができました。
また、操作がシンプルで、使いこなせるようになるまで時間もかかりませんでした。運用を開始して数か月が経過した今、「De-Learning」をご利用いただいている法人様からの評判も上々です。
「義務的にやっていただけの研修が中身のある研修になり事故が減った」
「管理者・ドライバーの残業時間を大幅に削減できた」
「運転手から次の教材はいつアップする?と自主的に取り組む声があがっている」
このようにうれしい声を多数いただき、手ごたえを感じております。eラーニングでコンテンツを販売したい方々に、LearnOのOEM制度は大変おすすめです。
社内すべての部門が知恵を出し合い、助け合いながら、丁寧に進めたリブランディング。Mogicのチームワークという強みを、LearnOというサービスの強みに昇華させるプロセスだったように思います。
LearnOはシンプルな料金体系、カスタマイズの柔軟さ、サポートの手厚さ、高い安全性から、導入しやすく続けやすいことが大きな強みです。この強みを活かしながら、働く環境がどんどん変化する世の中だから、働く人を支えるサービスはもっと優しく寄り添い、そして心強い存在でありたい。
そんな思いから、LearnOの豊富な機能をもっと活用していただけるように、情報を見やすく、導線を分かりやすく、そして複雑な作業もアシストしてくれる、もっとユーザー目線のサービスに進化できたように感じています。
管理者は手間を少なく、利用者は学びやすく
10周年プロジェクトでも特に大事だったのが、やはりサービスの管理画面、ユーザー画面の作り込みでした。
前出のアートディレクションのチーフ内部は語ります。
「まさか10年も使われる、こんなに多くの人に使われるとは思ってもみませんでした。ウェブデザインの寿命は短いものですから。だから今一度挑戦しようと思ったんです。次の10年に使いつづけてもらえるデザイン」
「振り返ると、やはりクライアントのことを大事にしてきたからこその今なので。過去10年分の大事なログデータを見直すことが出発点でした」
「やってみると、とても大変な作業でした。10年間の蓄積が強みである一方、膨大なデータをどう読み解くか、取捨選択が難しいからです。加えて、次の10年を見すえた余白をもたないといけないんです」
そうして、次の10年を見越した操作性とは何か?リブランディング後に機能を追加する余地をどのぐらい残すのか?特定業種の要望をどこまで汲み上げるのか?代理店やOEM販売店に特化した機能をどう作り込むのか?といった多くの疑問に一通りの答えをだしてきました。
気がつけば、最初のデータ分析と検討に半年、管理画面のデザイン/開発に1年、ユーザー画面のデザイン/開発に1年とたっぷり時間をかけてきました。スピードを上げて早くリリースするより、次の10年の土台をしっかり作り込むことを選択したためです。
管理画面では、各種ログや管理情報の見やすさを追求し、導線設計の見直しを行うなど、ユーザーに寄り添ったUI/UXの改善をしました。社内教育を担う管理者の方が迷わずにサクサク作業ができ、ユーザーの学習の成果を実感できる、オンライン教育をアシストする管理画面として進化します。
さらに、ユーザー画面においては管理者だけでなく、eラーニングを受けるユーザーがさらに使いやすいサービスになるよう画面のデザインを見直し、UI/UXを改善。さらに「通知」や「進捗の可視化」などユーザーをサポートする機能を追加し、ユーザーの使いやすさ向上と合わせて、管理者の負荷軽減にもつなげていきます。
長い時間をかけて、丁寧に考えられたLearnOはまもなくリブランディングを終えます。これから導入を検討されるクライアントに、このサービスにかけるサービス運営者の想いが少しでも伝わればうれしい限りです。
人生100年時代、教育のあり方を試行錯誤しづける
人生100年時代となり、継続的に学んでいくことが大切になってきました。しかも、学び方は多様になっています。テキストや動画で学び、テストで成果を確認するだけでなく、テーマに沿ってレポートを提出したり、複数人で議論しながら知恵を深めることも大事です。
一人一人に個性があり、学び方に違いがあり、目的もバラバラです。ですから、一つのシステムにすべてを求めるのではなく、その時に応じて適切なシステムを提供すべく、私たちは教育サービスを作り続けます。
座学に似たeラーニングシステム「LearnO(ラーノ)」に続き、レポート管理の授業支援システム「Pholly(フォリー)」、無料でスライドを共有できる「LearnO Limited(ラーノリミテッド)」、コミュニケーションを知識として蓄積する「Caiwani(カイワニ)」。
代表の山根(やまね)は最後にこう締めくくりました。
「変化が早い時代に、学びつづけることが大事になってる。勉強がつらいとかじゃなく、楽しくあってほしい。だから、そのサービスを支える私たちが楽しく真摯に学びながら、快適なサービスを作り、ずっと先を見て進まないといけない」
21世紀の教育はどうあるべきか?
この問いに答えるために、これからもクライアントやパートナーと試行錯誤しながら、一つずつ丁寧に進んでまいります。これからも挑戦は続きます。
興味がおありの方はぜひMogicコーポレートサイトをご覧ください。
Mogicサイト:https://www.mogic.jp/
LearnOサイト:https://learno.jp/