プレスリリース
インタラクティブな体積映像を描くボリュメトリックディスプレイ SIGGRAPH 2024 Emerging Technologiesで公開
〜宇都宮大学・JVCケンウッド共同研究〜
■研究概要
宇都宮大学 オプティクス教育研究センターの熊谷幸汰助教,早崎芳夫教授と株式会社JVCケンウッド 未来創造研究所の研究グループは,インタラクティブな体積映像を描画できるボリュメトリックディスプレイシステムを開発しました.このディスプレイは,手のひらサイズの体積映像を実世界へ直接表示できることに加え,ユーザーの動きに合わせて映像を操作できるインタラクションを可能にします.本研究成果は,7月28日から8月1日にかけて,アメリカのデンバーで開催されるコンピュータグラフィクス分野のトップカンファレンスであるSIGGRAPH2024(https://s2024.siggraph.org/)のEmerging Technologies(https://s2024.siggraph.org/program/emerging-technologies/)で展示発表されます.
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/45133/448/45133-448-8b3a5b77b5eece1e1ead62077cd42e08-1000x667.jpg ]
図1 本システムで描画されたSIGGRAPHの文字とロゴマーク.
【発表のポイント】
・2光路ホログラフィックレーザー描画法によるボリュメトリックディスプレイシステムを提案.
・2光路のレーザーが連携して映像描画する光学システムとその描画法を開発することで,高い画素密度かつ手のひらサイズの体積映像を実現.
・ユーザーの手の動きを映像描画にリアルタイムに反映させるシステム構築し,体積映像とのインタラクションが可能に.
■研究背景
ボリュメトリックディスプレイは,画素を実世界に体積的に生成することで映像を描画する技術です.ヘッドマウントディスプレイのようなデバイスを装着することなく,360°方向から複数人が3D映像を見ることができます.これまでに我々の研究グループでは,フェムト秒レーザーによって生成された画素と空間光位相変調デバイス(LCOS-SLM)を利用したホログラフィックレーザー描画法を提案し,それを用いたボリュメトリックディスプレイを開発してきましたが,映像サイズの大型化に課題がありました.
本研究では二つのレーザー描画を連携動作するディスプレイシステムとJVCケンウッドのLCOSデバイスを採用した描画法を開発することで,高い画素密度かつ手のひらサイズの体積映像を実現しました.さらに,外界の動きを認識し,体積映像描画に反映させるシステムを構築することで,体積映像をユーザーがリアルタイムに操作できるインタラクションを可能にしました.
■研究成果
本提案におけるボリュメトリックディスプレイシステムは,二つのホログラフィックレーザー描画光学系から構成されます.それぞれの光学系は,ガルバノスキャナーと可変焦点距離レンズで構成される3次元ビーム走査システムを有することによって,図2(a)に示すように, 10×10×10cmの体積中に発光点を3次元的に生成できます. 図2(b)は,二つのレーザー描画光路を用いて描かれた球の体積映像です.描画パターンをシステムに入力することで,任意のパターンを描くことが可能になります.
展示の来場者は,このような体積映像コンテンツを鑑賞でき,さらに手の動きを介して映像をインタラクティブに操作する体験ができます.
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/45133/448/45133-448-b19d5be947819e5280a99f3d9ce880f3-725x423.png ]
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/45133/448/45133-448-ae5d1e8335dcb6b72492d3c6a14f7d2c-1000x667.jpg ]
■今後の展望
今後は,ビーム走査と空間光変調器による集光点設計の連携描画を,ハードウェア改良およびアルゴリズム開発の両面から推し進め,より複雑な形状の物体を体積映像として表現できるボリュメトリックディスプレイシステムの実現を目指します.
■発表情報
タイトル
Volumetric Display with Dual-Path Holographic Laser Rendering
会議名
ACM SIGGRAPH 2024 Emerging Technologies
著者名
Kota Kumagai, Hisashi Oka, Kazuki Horikiri, Tetsuji Suzuki and Yoshio Hayasaki
URL
https://doi.org/10.1145/3641517.3664387
■著者
熊谷 幸汰|Kota Kumagai
宇都宮大学オプティクス教育研究センター,助教
https://kotakumagai.uu-core.com/
岡 尚志|Hisashi Oka
株式会社JVCケンウッド 未来創造研究所
堀切 一輝|Kazuki Horikiri
株式会社JVCケンウッド 未来創造研究所
鈴木 鉄二|Tetsuji Suzuki
株式会社JVCケンウッド 未来創造研究所
早崎 芳夫|Yoshio Hayasaki
宇都宮大学オプティクス教育研究センター,教授
https://i-photonics.sakura.ne.jp/j/Home.html
■本件に関する問い合わせ
研究内容について
国立大学法人 宇都宮大学 オプティクス教育研究センター 助教 熊谷幸汰
TEL:028-689-7121
E-mail:kumagai@a.utsunomiya-u.ac.jp
報道対応について
国立大学法人 宇都宮大学 企画総務部企画総務課
E-mail:kkouhou@a.utsunomiya-u.ac.jp
TEL:028-649-5201 FAX:028-649-5027
株式会社JVCケンウッド 企業コミュニケーション部 広報グループ
Email:prir@jvckenwood.com
広報担当者TEL:045-444-5232
当社リリースURL:https://www.jvckenwood.com/jp/press/2024/0729-01.html
プレスリリース提供:PR TIMES