プレスリリース
〜キリン提供の脳トレアプリが脳血流を高めることも確認〜
キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典、以下キリン)のキリン中央研究所(所長 吉田有人)は、吉本興業株式会社(社長 岡本昭彦、以下吉本興業)、静岡県浜松市(市長 鈴木康友、以下浜松市)、学校法人近畿大学(学長 細井美彦、以下近畿大学)と共同で、「笑い」が脳血流の増加を促し、集中力を向上させることや、ストレス反応を改善することを、臨床研究で確認しました。また、本研究では、キリングループが提供する脳トレアプリ「KIRIN 毎日続ける脳力トレーニング」(以下キリン脳トレアプリ)を用いた結果、加齢に伴い低下し、脳へ酸素や糖を運ぶのに重要な脳血流を増加するエビデンスも取得しました。
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この研究は、「笑い」による集中力向上とストレス反応の改善効果を、企業・地方公共団体・大学が連携した産官学連携による臨床研究で解明した日本初の取り組みです。
本研究成果は、2021年10月30日(土)から開催された日本ストレス学会および2021年11月15日(月)から開催された日本健康心理学会で発表されました。
4人に1人が高齢者※1の超高齢社会の到来に加え、昨今の行動制限で人との交流が減り「コロナフレイル」※2という言葉が注目を集める中、脳や心の健康は大きな社会課題となっています。
「笑う門には福来る」と言われるように、古くから、ユーモアや「笑い」は脳や心に良い影響があると考えられていますが、科学的な検証は十分になされていませんでした。そこで、キリン、吉本興業、浜松市、近畿大学の4者が連携し、「笑い」が脳や心の健康に及ぼす効果を検証しました。
本研究の結果、笑い動画を鑑賞した場合は対照動画を鑑賞した場合と比べて、集中力を要する課題の回答速度が改善しました。また、前頭葉にて脳へ酸素や糖を送る脳血流量が約2.7倍※3増加し、唾液中のストレスマーカーの増加が約5分の1※4に減少するなど、認知機能やストレス反応の改善の可能性が見出されました。さらに、キリン脳トレアプリ実施中の脳血流量が増加することも確認しました。
※1 内閣府 令和2年版高齢社会白書
※2 コロナ禍の影響で体を動かさない、食事が偏る、会話が減るなどの生活が続き、「フレイル」と呼ばれる状態に陥る恐れがあること。なお、「フレイル」とは、健康な状態と要介護状態の中間の段階で、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態を指す。
※3 光トポグラフィーの変化値
※4 α-アミラーゼ活性の変化値
キリンは、「脳機能」を重点領域の一つとしたヘルスサイエンス事業を行っており、国内では、記憶力の維持に役立つ機能性表示食品「βラクトリン(ベータラクトリン)」シリーズや、独自素材「熟成ホップ」を活用した事業を展開しています。将来的な事業化を見据え、脳の健康サポートを日常で習慣化する食以外のソリューション提供に向けた研究開発も、異業種の企業・自治体・大学・研究機関などと連携しながら進めています。
今回は、「笑い」が脳の健康にもたらす効果を科学的に検証し、社会課題の解決につなげるため、笑いやエンターテインメントを事業とする吉本興業と組み、本研究を実施しました。
浜松市は政令指定都市と東京都区部の中で健康寿命が3期連続1位※5であり、健幸都市のさらなる実現のため、「浜松ウエルネス・ラボ」を立ち上げ、参画する浜松市内の医療機関、大学や企業と共に、浜松市民の健康づくりに役立つ実証活動を進めています。キリンは2020年2月より「浜松ウエルネス・ラボ」に参画しており、本研究は「浜松ウエルネス・ラボ」でのウエルネス事業(疾病・介護予防等の社会実証事業)の一環として実施しました。
さらに、本臨床試験の監修を、近畿大学医学部内科学教室心療内科部門(教授 小山敦子)が担当しました。
※5 厚生労働省研究班調査に基づく(https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/miryoku/hakken/kurashi/nagaiki.html)
キリンと吉本興業は将来的に、本研究成果を活用し、「脳の健康」をサポートする毎日気軽に続けやすい新サービスの開発を目指していきます。また、「健康」に対する未充足ニーズの解消を進め、浜松市民の健康増進や「予防・健幸都市浜松」の実現にも貢献していきます。
●研究概要
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<研究方法>
40歳〜65歳で浜松市在住の男女25名を対象に、「笑い」が生じる漫才動画(笑い動画)と「笑い」が生じない漫才動画(対照動画)を鑑賞した後、認知機能課題を実施する試験を行いました。認知機能課題の成績と併せて、認知機能課題中の脳血流変化、自律神経変化、唾液および質問紙によるストレス状態を評価しました(図1)。
<研究結果>
笑い動画を鑑賞した後に行った課題では、対照動画鑑賞時と比較して、集中力を要する課題の回答速度が改善しました(図2)。さらに、笑い動画鑑賞時では対照動画鑑賞時と比較して、認知機能課題実施中の前頭葉の脳血流量が増加し(図3)、副交感神経活動が上昇し、唾液中のα-アミラーゼ活性の増加も抑制され、主観的なストレス状態も改善しました(図4)。
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また、本研究の認知機能課題の一部として使用したキリン脳トレアプリを実施している際に、前頭葉の脳血流が増加することも確認されました(図5)。
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●今後の展開
お客様の日常生活において「脳の健康」が習慣化されるように、キリンは、吉本興業などと連携しながら、新たなサービスの開発や啓発活動を推進していきます。
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●「キリン脳研究」について
日本の平均寿命は伸び続けており、4人に1人が高齢者の超高齢社会となっています。2025年には高齢者のうち5人に1人が認知症になる※6と推計され、健康寿命の延伸は社会課題となっています。
キリングループでは、日々の明るい気持ちや悩みは脳の働きと密接に結びついていることに着目し、ヘルスサイエンスを中心とした「脳の健康」を守り新たなよろこびを生み出す「キリン脳研究」を進めています。
「キリン脳研究」は、キリンならではの発想と技術で脳の健康を守ることを通じ、社会課題の解決に向けて貢献するとともに、一人ひとりが社会の中で、自信や希望、そして気持ちのゆとりを感じながら暮らせるこころ豊かな社会の実現を目指していきます。
※6 厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学特別研究事業. 日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究. 平成26年度総括・分担研究報告書. 2015.
キリングループは、長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV※7先進企業となる」ことを目指しています。その実現に向けて、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、キリングループが長年培ってきた高度な「発酵・バイオ」の技術をベースにして、人々の健康に貢献していく「ヘルスサイエンス領域」(ヘルスサイエンス事業)の立ち上げ、育成を進めています。
脳の健康サポートを日常で習慣化するために、キリンは吉本興業などのエンターテインメント提供企業や自治体、大学・研究機関と連携しながら、新たなサービス開発や啓発活動を推進していきます。
※7 Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造
-記-
1. 発表演題名:「動画鑑賞の笑いによるストレス応答抑制と認知機能改善効果」
2. 学会名:1.「第37回日本ストレス学会学術総会」
2.「日本健康心理学会第34回大会」
3. 発表日:1.2021年(令和3年)10月30日(土)〜31日(日)
2.2021年(令和3年)11月15日(月)〜21日(日)
4. 発表者:キリンホールディングス株式会社 R&D本部 キリン中央研究所 山越達矢、福田隆文、
金留理奈、阿野泰久
近畿大学 医学部 内科学教室 心療内科部門 小山敦子、阪本亮
吉本興業株式会社 FANY事業本部 西垣翔梧、田中爽太、梁弘一
浜松市 健康増進課 ウエルネス推進担当 鈴木久仁厚
プレスリリース提供:PR TIMES