プレスリリース
本文書は、Mastercardがロンドンで発表したプレスリリース( https://www.mastercard.com/news/press/2023/july/mastercard-leverages-its-ai-capabilities-to-fight-real-time-payment-scams/ )の日本語訳版となります。
Mastercardは、最新のAI技術を駆使したインサイトにより、被害者の口座から資金が流出する前に、銀行がリアルタイムに詐欺を予測できるよう支援します。
TSB銀行の試算によると、英国全ての銀行が当ソリューションを導入した場合、詐欺被害額を約1億ポンド(約1.3億ドル)削減することが可能となります。
近年、国際ロマンス詐欺や架空料金請求詐欺等あらゆる種類のなりすまし詐欺が消費者や企業を悩ませ、被害者の自信を揺るがしています。しかし、潮流は変わりつつあります。Mastercardは、詐欺防止のため、AIを活用したConsumer Fraud Riskソリューションの提供を英国で開始しました。
Mastercardの最新のAI機能と口座間決済に関する独自のネットワークを活用することで、銀行はあらゆる種類の詐欺を予測し、不正な取引を防止することができます。Mastercardは英国のLloyds Bank(ロイズ銀行)、Halifax(ハリファックス)、Bank of Scotland(スコットランド銀行)、NatWest(ナットウエスト)、Monzo(モンゾ)、TSB(ティエスビー)を含む9つの銀行と提携し、膨大な決済データを利用して被害に合う可能性のある顧客の口座から資金が流出する前に、リアルタイムでの決済詐欺の特定を可能にします。
犯罪者組織は詐欺資金を偽装するために、複数のいわゆるミュール・アカウント(協力者の口座)を経由して不法収益を送金します。これに対抗するため、Mastercardは過去5年間英国の銀行と協力し、このような資金の流れを追跡し、疑いのある口座を凍結してきました。MastercardのAIソリューションは、追跡活動から得られたインサイトに基づき、口座名、支払額、振込元および振込先の履歴、そして詐欺に関連する口座とのつながりなど、特定の分析要素と照らし合わせることで銀行がリアルタイムで介入し、資金が失われる前に支払いを停止するために必要な情報を提供しています。
TSBはMastercardのConsumer Fraud Riskツールを採用した最初の銀行の1つであり、すでに大きな成果を上げており、同行はわずか4ヶ月で詐欺検出率を飛躍的に向上させました。TSBの実績に基づく試算によると、英国すべての銀行が同様の実績を収めた場合、1年間で防止できる詐欺被害額は1億ポンド弱(1)に相当します。他行もConsumer Fraud Riskを2023年中に導入することを予定しており、Mastercardは当ソリューションの利用拡大を図るため、国際市場調査を進めています。
銀行機能や決済のセキュリティが高度化するにつれ、詐欺師はなりすましの手口の強化に重点を移しています。彼らの目的は、個人や企業に送金先が正規の人物や団体(例えば、友人や既知のサプライヤー)だと思わせ送金させること、あるいはショッピングサイトで正規の商品のように見せかけ金銭をだまし取ることです。“承認された支払い”(Authorized Push Payment、以下、APP)詐欺と呼ばれることもあるこの手法は現在英国の銀行詐欺被害の40%を占めており、推計によると、2026年までに被害額は米国と英国だけで46億ドル(2)に上る可能性があります。
Mastercardサイバー&インテリジェンス部門プレジデントのAjay Bhalla(アジェイ・バラ)は、次のように述べています。
「銀行は、このような詐欺を検知することが非常に難しいと感じています。顧客は必要な審査をすべて通過しており自ら送金するため、犯罪者はセキュリティ対策を破る必要がありません。社会のデジタル化は日々進んでいますが、この種の詐欺は被害者のオンライン取引に対する信頼を損ないます。Mastercardの目標はその信頼を築き、維持することです。最新のAI技術を駆使し、銀行が詐欺師への支払いを特定・予測し、リアルタイムで阻止できるよう支援します。」
Mastercardは過去10年間AIを活用してきました。現在AIはMastercardの事業全般で使用されている基盤技術であり、不正行為のパターンを特定する上で画期的な役割を果たしています。
MastercardのAI技術を活用したサイバーセキュリティ・ソリューションは、過去3年間で350億ドル以上の詐欺被害を阻止しています。
TSBの不正防止担当ディレクターのPaul Davis(ポール・デイビス)氏は、次のように述べています。
「毎日何百万件も行われる取引の中から不正決済を見抜くことは、干し草の山から針を探し出すようなものです。詐欺の手口はますます複雑になっているため、予防と監視を可能にするツールが重要です。Mastercardとの提携により、不正な口座を特定して支払いを防止するために必要なインテリジェンスが提供されるようになりました。」
Consumer Fraud Riskスコアを利用した銀行の初期結果は、特に顧客や顧客行動に関する追加情報と組み合わせて使用した場合、詐欺防止への多大な成果を挙げています。さらに、ネットショッピング詐欺、なりすまし詐欺、国際ロマンス詐欺など、さまざまなタイプの詐欺を明確に識別できるため、ターゲットを絞った詐欺対策の戦略の立案においても役立っています。英国では現在、ネットショッピング詐欺が詐欺の57%(1)を占めており、銀行にとって悩ましい問題の一つとなっています。
2022年、英国では207,372件のAPP詐欺が報告され、被害総額は4億8,500万ポンドに上りました。(1)
Mastercardは、英国のリアルタイム・バンキングシステムにおける金融犯罪の追跡と阻止について多くの経験を持ち、銀行間で詐欺データを共有できるよう支援してきた経緯から、Consumer Fraud Riskの展開を英国から開始しました。
現在、Mastercardでは、今後の展開先を決定するための市場調査を実施しています。
(1) UK Finance Annual Fraud Report( https://www.ukfinance.org.uk/system/files/2023-05/Annual%20Fraud%20Report%202023_0.pdf )- 「1億ポンド弱」という値は、APP詐欺被害額が4億8520万ポンドだった2022年のUK Finance(以下、UKF)のデータから算出。UKFの最新データと、TSBの検知率および詐欺被害防止額の増加率に基づく試算によると、英国の銀行業界全体で9,700万ポンドの被害を防止できることになります。
(2) ACIおよびGlobal Data( https://www.businesswire.com/news/home/20221114006127/en/5327202/Growth-in-APP-Scams-Expected-To-Double-by-2026-%25E2%2580%2593-Report-by-ACI-Worldwide-and-GlobalData )の報告による
Mastercard (NYSE: MA) www.mastercard.co.jp
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プレスリリース提供:PR TIMES