プレスリリース
”インクルーシブ教育”や”ポジティブ教育”についてフィンランドから中継も実施
「自立学習」「生涯学習」を事業の軸とし、学習塾・学校・生涯学習教室向けICT教材システムの企画・制作・販売を手がける株式会社日本コスモトピア(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:下向 峰子、以下:日本コスモトピア)は、2021年11月27(土)・28日(日)に今年で5年目となる「未来をつくる教育フォーラム2021」をオンラインで開催しました。
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「未来をつくる教育フォーラム2021」は、「子育ちを支える『幼児教育』」をテーマとし、フィンランドから生中継でお送りする幼児教育セミナー、多様性を尊重する保育についてのセミナー、唱歌・童謡&トーク、小学生活動報告を行いました。また登壇者が集いそれぞれの立場から討論を進めたパネルディスカッション、自分の内面を見つめるワークショップを行い、多数の方々と意見の交換や考えの共有をしました。
未来をつくる教育フォーラム2021 開催概要
https://forum.cosmotopia.co.jp/forum-2021/
アーカイブ視聴の申込受付ページ
https://forum.cosmotopia.co.jp/forum2021/
<プログラム概要>
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唱歌・童謡&トーク 世界に類を見ない日本の“童謡”
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■童謡は日本が育んだ宝物
世界に誇る日本の童謡についてお話いただきました。約140年前に出版された日本で最初の音楽の教科書などを用いながら、唱歌・童謡の歴史を解説。また実際に歌っていただきながら、それぞれの曲についての解説や想いを聞くことができました。
■子どもたちに伝えたい童謡〜子どもたちの唇にのせてやりたい〜
畑さんは小学校、中学校、高校の音楽の先生を目指す学生の指導もされていますが、「音楽性」「リズム」「拍子」「音程」の大切さを伝えているそうです。拍子の大切さをお話しされる際には、「調子にのらず拍子にのって」という印象深いメッセージもいただきました。
最後に、「子どもたちに良い音楽を届けるために、詩人や作曲家たちが一生懸命作品をつくりました。そのあと責任があるのは演奏する人、教える人です。」と子どもたちに伝える側の責任は大きいということを教えてくださいました。
小学生活動報告 教育魅力化コーディネーターは誰でもなれる
〜自治体・企業・学校・地域住民を巻き込んだ岐阜県高山市清見町の事例〜
地元の観光協会が主体となって教育をコーディネートした事例をご紹介します。
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■子どもたちのアイディアで街をブランド化
観光協会では地域の魅力を伝えていきたいが町との連携が難しいなど、多くの課題がありました。当時、小学6年生が清見町のことを調べて修学旅行先で配るという企画があり、観光協会が連携してイベント「WONDERFUL KIYOMI ほかほか」を企画。小学生とJA、道の駅など9社・団体が連携し清見町のおいしいごはん試食会の開催準備を進めました。
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しかしコロナの影響により中止になりましたが、当時6年生の中から4名が有志で、清見の魅力を再確認し、町が元気になる企画を考え、活動するコミュニティを発足しました。当時の5年生も企画に挑戦し、お弁当の商品化が実現しました。子どもたちは「作ったお弁当をおいしかったと言ってもらえた時、とても嬉しかった。」と言っていました。
原田氏「教育への参加は誰でもできる。地方だから、小規模だからではなく、自治体・教育委員会などの器の大きさの問題。効果がいつ現れるかはわからない。責任を持ってコツコツ関わり続ける。親目線を忘れないことが大事。」この活動は今も広がりを見せ、第2弾のプロジェクトもスタートしています。
セミナー 「多様性」を尊重する保育を考える
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大学で特別な支援を要する子どもの保育や、仲間関係づくりに関する研究をされている徳留由貴氏。日本の幼児教育の歴史をふまえ、保育を取り巻くその社会的課題についてお話しいただきました。
■日本の幼児教育の歴史
1872年、日本で全ての子どもに教育を、と始まった「学制」。しかし保護者や学校を建てる自治体の財政難から思うように子どもたちは就学できませんでした。ようやく1880年代に子守学校が誕生。幼児への保育が始まりました。同じ頃初めての幼稚園が創設されるも、家庭から保育料を徴収するため、やはり一部の家庭しか利用できませんでした。そこで保育料は無償、保育時間も長い幼稚園分室が誕生しました。また貧しい子どもの生活する地域に設立された幼稚園で保護者の要望を保障するものでした。これらが幼稚園と保育園が分化する背景です。現在は幼保一元化が進められています。
■ 「統合保育」から「インクルーシブ教育」へ
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かつて日本では障がい児の入所が拒否される現実がありましたが、1970年代からは統合保育が始まりました。
世界では1994年から、特別な教育ニーズを有する子どもへの「インクルーシブ教育・保育」の考えが広まりました。これは障がいの有無でなく、あらゆる子どもが個々に必要な援助を受けながら、みんなが同じ場で教育を受けられることを目指しています。
障がいの他、虐待、外国籍、医療を必要とする子どもなど、より多くの多様な子どもへの配慮が必要になってきており、 日本でも「統合保育」から「インクルーシブ教育」の考え方に移行しています。
■保育現場での変化と実践〜多様な子どもたちを尊重する保育へ〜
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《子ども・集団の捉え直し》
正解がないごっこ遊びで楽しいを共有、ごっこ遊びを媒介に鉄棒など活動を混ぜる
《子どもに活動参加の選択を委ねる》
ごっこ遊びも強制参加にしない、子どもが選ぶ、遊びを決める
《子どもたちと一緒に活動を考える・創造する》
《 食育を大事にする》種まき、水やり、野菜の収穫、調理
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《 子ども/集団の変化》
子どもたちに自由に、主体的に任せると、子どもたちは自分で他の子どもに寄り添って考えていた。集団の中で異質な幼児が生まれない。ともすればルーティン化され、画一化していく保育現場。「こうでなければ」という固定概念からの解放により、子どもたち、保育者共に解放され、それぞれが対等な立場で保育をつくっていくことが大切です。
セミナー 「フィンランドの幼児教育」
〜自らの翼で羽ばたく子どもたちのために〜
フィンランドから生中継しました。保育士養成に長年携わってこられたピリヨ・サレルヴォ氏と、フィンランド在住28年、通訳・プロジェクトコーディネーターであるヒルトゥネン 久美子氏に、フィンランドの子ども主体の幼児教育について紹介していただくと共に、ポジティブ教育学についてお話しいただきました。
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■フィンランドの幼児教育の歴史
1888年、フィンランド初の保育所が設立。道端で遊んでいる子どもを集めて保育が始まりました。フィンランドでも、もともとは先生主体の教室運営でしたが、1990年代に教員主導の活動を疑問視する声が上がり、新しい保育モデルが研究されました。
■新しい保育モデルとその影響
《小グループ活動》
子どもたちは落ち着いてゆっくりと活動でき、アイデアを出し活動内容に影響を与えることが可能となる。先生は子ども一人一人の声に耳を傾けることができる。
《ストーリーテリング》
子どもたちがお話をすることを聞き取る活動。子どもが話をし先生はそのまま書き取り復唱する。否定や修正はしない。繰り返すうちに子どもたちが自信を持って自分の思いを伝えることができるようになっていった。今では学校や高齢者施設でも行われている。
■テーマワーク、プロジェクト、子どものアクティブな役割と参加で創造性を育てる
自分たちでテーマを決めて創作活動をしています。大人は何を学ぶか道を決めてしまわず、情報は子どもたちと一緒に調べ情報提供はしません。材料は外に出して常に使えるようにしています。例えば、大きな白い紙に子どもたちが森の色を塗り、それを壁に貼り部屋を森のように。他にもジャングル、海をテーマにしたグループもあり、それぞれが手を動かし、外に出て活動し、アート活動で自分を表現しています。
■ポジティブ教育とは
今日、「ポジティブ教育ー強みの教育学」とよく言われるようになりました。これまで、子どもの理解とは、まわりから遅れていないか、など平均を気にしてのことでした。ポジティブ教育ではまず、子どもが何に興味を持っているか、何を強みとしているのかに目を向けることが大切です。子どもに興味があること、何ができるのかインタビューをし、子ども自身が言葉で表現し、説明できるように導いていきます。大切なのは自分の感情を理解し、友達の感情をも理解できることになることです。 もちろん遅れているところはプロフェッショナルのサポートがあります。 フィンランドでは子ども主体の教育となるために、先生は「教える」から「聞く」役割に変わっていきました。フィンランドの子ども主体の保育の実例を見ることにより、保育や教育に携わる方、保護者の方々にも参考になるお話がたくさんありました。日本でも、これらの良い部分を少しでも取り入れ、広めていくことが重要と思います。
パネルディスカッション より良い幼児教育を目指して
パネリスト:ピリヨ・サレルヴォ氏 ヒルトゥネン 久美子氏
徳留 由貴氏 石原 侑美氏 下向 峰子氏
すべての人に平等な教育を提供するフィンランド。そんなフィンランドの“個”を大切にする教育は、“幼児教育”から始まっています。フィンランドの幼児教育を学び、日本の保育における課題解決の道を探ります。5名のパネリストの熱い議論が繰り広げられました。
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ピリヨ氏「大学の研究は社会にとっても保護者にとっても新しいことを始めるエビデンスとなり、実践に繋げられる。」「世間やマスメディアなどコメントが気になるかもしれないけど、その時にエビデンスがあると良い。」「やってみたいことはたくさんあるけど一人では難しい、と諦めないで!ネットワークで仲間を作って、リラックスして前に進めるといいですね。」
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久美子氏「フィンランドは個人主義と言われているがそれは自分だけが良いという考え方ではない。集団として自分をはめていくわけではなく、自分がどうなのかのそれぞれの違いを理解している。」「何のために保育があるのか立ち返って、愛があるかを確認。」
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徳留氏「日本とフィンランド、教育で大事にしているところは共通しているなと思いました。その中で、保育の場がフィンランドでは法で義務化されているところが驚きでした!」「子どもたちが明日も保育園に行きたいと思えることを大事にして保育を作っていきたい。」
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石原氏「フィンランドと日本の幼児教育は共通点が多いが、前提が違う。フィンランドでは、エビデンスは何?と聞かれることが多く大事にされている。また現場と大学のキャリアを行き来することが一般的です。」
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下向氏「日本とフィンランドでは幼児教育については目指すところは同じなのに、スピード感が違う。日本はもっと頑張らないといけないですね。」「知識は与えるものではない。子どもの声を聞くことが重要。」「幼児教育における成果とは自分は自分であって他の誰でもないという意識=自分を肯定するということ。」
参加者から質問があるとすぐにパネリストにお答えいただいたり、チャットで共感や賛同の意見が飛び交い、まさに参加者も交えて共感の渦が起こっていました。ひとりで何かを変えることは難しい、でも仲間を作って一歩を踏み出すきっかけになると強く感じられるパネルディスカッションでした。今後も、お互いに対話を続けて、つながりを大事にし、未来を一緒に考えていきましょうという下向氏の呼びかけで幕を閉じました。
ワークショップ Social Emotional Learning
〜エンパシーサークルで気持ちとその奥のニーズを言葉にする〜
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■大人向けに“Social Emotional Learning”のワークショップを開催しました。SEL(Social Emotional Learning)とは、「自尊感情」と「対人関係の育成」を主眼に置いた、「自己認識能力」や「自己コントロール」ができることを目指す教育アプローチです。そもそも、人が気づいていることは本来感じていることの、ほんの一部であり、その気づいていなことに気づき、深めていくことがSELの本質です。その気づきを深める鍵が、「ノンジャッジメンタル:評価しない」ということです。
メインワークをする前に、人は日頃からさまざまなことに意識を向けていて、それが人によって違うことを体感するワークを行いました。心の中で1から10までと、10から1までを数えます。そのときにどんなことを感じたかを共有すると、「他の人はどんなことを考えているのだろう」(外的)とか、「自分の速さはどうだったろう?」(内的)など、外からも内からもさまざまな意識があることを実感しました。
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メインのエンパシーサークルでは、『自分とは違う意見や気持ち、考えを聴く』をテーマに、モヤモヤしていることを話して、その気持ちやその奥にあるニーズを他の人に見つけてもらうワークを行いました。参加者のみなさまは、出てくるさまざまな意見を「違う」と拒否するのではなく、他者の考え、気持ちがどのようなものかを聴き、ノンジャッジメンタルで共有することを大切に、話をすることを意識しました。
<開催後の視聴者の方からの感想>
*観光協会の皆さんが、「ここだ!」と思うタイミングに迷いなく突き進まれた、その判断力がすごいと思
いました。また、小学生の皆さんの深く考えアイデアを出し、形にしていく様子に感動しました。
*今までに出てこなかった新しい保育アイディアをもらうことが出来ました。
*パネルディスカッションでは、実体験や課題への葛藤、日本ではどんなことができるか、視聴者がそれぞ
れの持ち場に持ち帰ることができるようなヒントがたくさん詰まっていました。
*どの国でも、社会を変えようと思っている人たちが向いている方向は一緒なのだなと感じました。
*まずは、身近な人たちの意識をゆさぶることからはじめないと、と思いました。
*ワークショップ Social Emotional Learning
話し手が、自分のもやもややネガティブ感情を素直に認めてそれを話すことが、スタートとしてすごく大事だと思いました。もやもやした気持ちがかなりすっきりしました。新たな気づきも多く、ポジティブな気持ちになれました。
プレスリリース提供:PR TIMES