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【博士人材の本来の価値を正しく伝える】研究インターンシップをイノベーション創出のきっかけに繋げたい

(PR TIMES) 2024年04月01日(月)00時45分配信 PR TIMES

博士人材の価値は専門性だけじゃない!未踏の領域に踏み出せる、ゼロを1にできる博士人材が正しく評価され、社会でもっと活躍し、イノベーションを生み出す。これに研究インターンシップ活用を推進します

博士人材の本来の価値は、特定の専門分野の知識や知見・スキルの卓越性だけでなく、答えが見えない未踏領域の研究を前に進める力です。学理を追求する上で培った視点・能力はトランスファラブルで、社会の複雑な課題の本質をとらえることが可能です。博士人材がこうしたトランスファラブルなスキルを発揮することで、研究職に限らず、社会のさまざまな場面で活躍できるはずです。研究インターンシップを通してこれを実証し、博士人材の価値を社会が正しく評価・活用できると私たちは考えています。博士人材がより一層社会で活躍し、彼ら・彼女らが、知識社会の基盤を担う力となることを私たちは切に願っています。そしてそのきっかけとして、C-ENGINEの研究インターンシップを積極的に活用いただき、イノベーション創出や新たな価値創造に繋げていく、これが、私たちC-ENGINEが実現したいことです。
※当社は、4月1日を夢を発信する日にしようとするApril Dreamに賛同しています。このプレスリリースは「C-ENGINE」の夢です。

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/113118/8/113118-8-767101ae440041628f0ddf459f79a4b6-1366x768.png ]



産学が協働してイノベーションを担う次世代の研究者を育成し、複数大学と複数企業の「人」と「知」の交流による新たな価値の創造に貢献したい。日本のイノベーション人材輩出のエンジンとしての役割を果たしたい。C-ENGINE(一般社団法人産学協働イノベーション人材育成協議会)の名称には、そんな想いを込めています。
 2013年度経済産業省の補助金事業としてスタートし、現在は、東京大学、京都大学、東北大学などの日本を代表する研究大学を中心とした20大学、三菱電機株式会社、東レ株式会社、ダイキン工業株式会社などのグローバル企業30社にご参画いただき、主に理系の博士課程学生を対象に、企業の研究開発に中長期で取り組む研究インターンシップを推進しています。補助金事業終了後も自立運営を続け、今年1月でC-ENGINE設立10周年を迎えました。インターンシップ実施件数は700件を超え、さまざまなグッドプラクティスも作り出してきました。博士人材(大学の博士課程に一定年限在籍し、博士号を取得した人たち)がこうした経験を通じて、大学や国の研究機関だけでなく、企業の研究職や管理職、政府(中央/地方)やNPO/NGOの職員など、社会のあらゆる場面で活躍し、知識社会の基盤作りに貢献していくことを期待しています。


博士人材の潜在的能力の実証と評価の場としての研究インターンシップ
近年、博士人材が社会課題解決のキープレーヤーとなることが、各所で期待され始めています。私たちもまた、博士人材には大学や国の研究機関だけでなく、企業の研究職や管理職、政府(中央/地方)やNPO/NGOの職員など、社会のあらゆる場面で活躍していただき、知識社会の基盤作りに貢献してほしいと考えています。一方で、産業界での博士人材活用は未だ進んでいないのが現状で、産業界においても彼ら・彼女らの能力を正しく評価する方法をしばしば持ち合わせていません。C-ENGINEでは、研究インターンシップを、博士人材となる博士課程学生が潜在的能力を実証し、第三者がその能力を理解・評価する場として活用できると考えています。博士課程向けの研究インターンシップ の意義は、まさにここにあります。


博士人材の能力とは
博士人材の能力として、一般にその専門性の高さが注目されがちです。では、専門性の部分でマッチしないケースでは、その博士人材の価値を見出すのは難しいのでしょうか?私たちC-ENGINEは、博士人材の能力が、専門性の高さだけではないことを知っています。博士後期課程の学生が学位を取得するための論文研究では、ある分野の未踏の領域を探し出し、解決したい問題は何か、それを解決することが既存の知識体系にどのような貢献ができるかを明確にし、解決のための道筋を検討することになります。未踏の領域に踏み出すわけですから、それまでの大学の教育課程において、知識・知的能力と研究遂行に関するスキルは必須です。知識・知的能力には例えば情報収集力、データ科学等の数学力、分析/統合力、論理的思考力、洞察力、議論展開力などが含まれます。研究遂行に関するスキルには、研究の基本的な進め方、安全やコンプライアンスに関する意識などが含まれます。博士研究のプロセスにおいてこうしたスキルを駆使することを通して、専門性だけでなく研究をやり遂げるための力を総合的に身につけていくのです。これこそが、博士人材の価値であると私たちは考えています。

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/113118/8/113118-8-3c6518484dd8c6bdcac904470e30d4b9-1920x1080.png ]

※C-ENGINEでは、研究者として身につけるべきトランスファラブルスキルとして、RISEを提示していています。研究インターンシップへの参加をきっかけに、これらのスキルの意識化と自己開発に取り組むことを推奨しています。(RISEについて:https://www.c-engine.org/student/detail-2/



博士人材が自身に必要なスキルを自覚し、開発に繋げられる研究インターンシップ
博士後期課程の学生は、上述した能力やスキルを発揮して論文を仕上げるわけですから、研究者としてすでに相当な力を持っていることがおわかりいただけると思います。一方これからの知識社会においては、社会の持続可能性や一人ひとりの多様な幸せを実現するため、様々な社会課題を解決するという視点が必要です。社会課題はその性質上、多様な専門分野の研究者、政策決定者、投資家などがチームを組んで取り組む必要があります。従って、博士人材が社会課題解決のキープレーヤーとなるためには、チームワークや、異分野の専門家とのコミュニケーションをはじめとした、他者や社会との関係に関するスキルの開発が必要となります。これらのスキルの意識化や開発は、大学の研究室よりも、企業などの外部での経験が有効です。ついでにさまざまな人との共同をとおして、時間管理、ストレスマネージメント、キャリアデザイン力などの自己開発の部分でも新たな気づきを得るでしょう。このように、研究者として必要な能力・スキルの習得は、大学だけで完結させるよりも、大学と企業が協働して行う研究インターンシップを活用することでより有効な開発が可能なのです。


研究インターンシップ推進についての課題
博士後期課程の学生は、企業の研究開発の現場を一定期間体験することで、今後社会で活躍するための様々な気づきを得て、大きな成長のきっかけをつかむこととなるでしょう。一方企業は、研究インターンシップ受入を通じて、博士人材の研究課題への向き合い方と研究推進力にしばしば驚かされます。一定期間、十分な時間をかけてお互いがお互いを理解することが可能となる、そうした研究インターンシップの取組みを私たちC-ENGINEは進めてきましたが、より多くの学生・企業に本事業をご活用いただくためにはまだまだ多くの課題があります。

博士課程の学生は、一定の年限内に博士論文を完成させなければなりません。未踏領域の研究をするわけですから、日々、大変な重圧を感じながら研究を進めることになります。
その過程で、博士号を取得することや研究を続けること自体が目的化してしまい、研究そのものや学位取得の目的・動機がぼやけてしまうことがあるように思われます。あるいは、博士研究で取り扱う研究対象は、社会での利活用を必ずしも意識したものとは限らないので、自分の研究と社会との接点を見出せず、博士号を取得した後のキャリアデザインを広く描けないことがあるようです。その結果、特定の専門性や知識の部分で評価されたいと願い、産業界で活躍するイメージを持てずに大学や国の研究機関でのキャリアパスに執着します。こうした学生には、アカデミアの研究職だけではなく、社会の様々な場所で活躍できること、そのために必要な能力・スキルを開発する機会が研究インターンシップにあることを知っていただくことが重要だと考えています。


企業の多くは、知識・知的能力と研究遂行に関する基礎的な力を身につけた修士課程修了者の採用に積極的であり、このような企業では、それ以上のスキル開発は入社後、自社で行う方が合理的であると考えられてきました。博士人材に対しては、自己主張が強く使いにくい、専門分野に近い領域にしか興味を示さず、研究に付随した仕事を軽視しがち、といったネガティブな見方があるようにも思われます。これは、日本企業に特有な傾向であり、欧米の先進国においては、多くのPhD取得者が研究や経営のリーダーとなっています。近年では、日本企業においても、博士人材をもっと積極的に活用しようという機運が生まれています。先行きの見通せない、目まぐるしく急激に変化する社会において、経営戦略と一体となった人事戦略が必要であるとの考えが経営層に浸透していることが背景にあります。実際に博士人材が自身の専門分野以外においても高い研究推進力をもって物事を進めていける力をもつことを広くご理解いただくために、文理を問わず、博士人材の採用、育成、利活用についてイメージできる研究インターンシップを提案していく必要があります。


大学の使命は、研究・教育・社会貢献です。国が指定する重点分野の研究には当然、予算が重点配分されますので、この分野での競争的資金の獲得競争は熾烈です。博士課程の学生は、当然その影響を受けますので、研究以外のことに時間を割きにくいのが現状です。インパクトファクターの高いジャーナルへの掲載を目指す場合も同様で、「研究インターンシップのために1〜2ヶ月間研究室を不在にするなど以ての外」という雰囲気があります。特にインターンシップと就職活動が関連するというイメージが強く、将来アカデミアでの研究職に就きたいと考える博士課程の学生の中には、インターンシップへの参加が「就職するんだ(=アカデミアの道はあきらめたんだ)」という印象を周囲に与えるのではないかと不安視する声もあります。近年大学は、博士課程学生に対する経済的支援強化の施策に伴い、キャリアパス構築支援にも積極的に取り組んでおり、研究インターンシップへの参加のハードルは下がりつつあります。大学の教職員の皆さまには、研究インターンシップが、研究・教育・社会貢献において産学が真の意味で連携できる機会となり得ることを、学内での共通認識としてご理解いただけるよう、より積極的なご支援をいただきたいと考えています。




上記の課題を克服して研究インターンシップを推進することは決して容易なことではありません。実際には、博士後期課程学生の研究インターンシップへの参加は、諸条件をクリアした場合に限定されるのが現状です。例えば、論文研究が順調に進んでいる(指導教員の許可が得やすい)、指導教員が研究インターンシップ参加を奨励している、研究時間の融通が利く(理論研究の場合など)、などです。いずれの場合も、研究インターンシップに参加する明確な目的と意志が必要です。このような博士課程学生の割合は、残念ながら決して多くはありません。ですが、博士課程在籍者総数を考えると、まだまだ多くの学生に参加いただける余地があると考えています。また、CHIの交流会(博士後期課程学生と企業の研究交流会)企画などを通して、諸条件により一定期間の研究インターンシップへの参加が難しい学生にも、企業の人々との交流機会を提供しています。


[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/113118/8/113118-8-9499f933d7e1ce43e0e9d8a2bbfe3254-1030x805.png ]

※上記イベントは2023年実施時のものです



課題を克服するために、C-ENGINEとして以下のことに取り組むことを宣言します。
大学・企業双方が関わるコンソーシアムの強みを生かしたイベント企画を通して、「人」と「知」の交流の場づくりを引き続き精力的におこないます。

教員の理解を得るための説明会開催などをはじめ、大学内での一般的な活動として知っていただけるよう、各大学内での広報・周知活動・学生向けイベント企画等をより積極的に実施します。

学生が選択できるインターンシップの幅を広げるために、研究インターンシップにご賛同いただける企業の勧誘活動をさらに強化するとともに、学生に対してさまざまな事例をもとに可能性を提示します。

会員企業に対しては、これまでの実施例のデータを分析検討することによって、より多くの優秀な学生が応募するテーマ設定や、より高い成果を創出するようなマッチングノウハウ、実施内容設定等、有用な情報をご提供いたします。

私たちの理念を、学生、教職員、企業の受け入れ部門の皆さま、さらに政府関係者の皆さまに様々な機会を通して訴え続け、理解者・協力者を増やします。




研究インターンシップがイノベーションエコシステムに組み込まれるためには
既に述べた通り、私たちはイノベーション創出のきっかけに、研究インターンシップを活用していただきたいと考えています。産学でのイノベーション創出の代表的な取り組みには共同研究がありますが、研究インターンシップはその種探しに活用することも可能なのではないでしょうか。まずは、グッドプラクティスをひとつでも多く生み出していくことが、最初のステップとして重要だと考えています。
 グッドプラクティスを作り出す具体的な方法のひとつは、研究インターンシップの実施に学生の指導教員にも関わっていただくことです。すなわち、教員を巻き込み、共同研究への展開を視野に入れたインターンシップを実施するのです。そのためには、企業の研究を理解し、大学の研究リソースと最適なマッチングを主導できる人材が必要と思われます。大学にも企業にも属さず、中立的な立場としてこうした役割を担える人材が、大学・企業のマッチングを仲介することが望ましく、C-ENGINEでこうした人材を配置できれば、より有効に産学連携の種づくり支援が実施できると考えています。そうしたマッチングのアドバイザーには、例えば学位取得後数年以内の若い研究者を登用し、各大学のURAとも連携して各分野でのネットワークを構築・強化していくことで、大学の研究リソース探索を可能にします。従来の共同研究は、具体的なテーマを決めたうえで実施されるので、研究フレームは所与のもとなり、博士課程の学生が参加する場合、研究フレームを一から作り出すという醍醐味を味わうことができません。一方、C-ENGINEの研究インターンシップで、アイデアレベルで企業と大学の研究リソースのマッチングがおこなえれば、POC(概念実証:Proof of concept)に活用できます。このような取り組みを、イノベーション創出のきっかけとして活用していただける、そんな社会を実現したいと考えています。


国境を超えた産学連携推進が、より一層有効な「人」と「知」の交流につながる
C-ENGINEは、昨年10月にカナダの政府系NPOであるMitacsと、研究インターンシップの相互活用に関するMOUを締結しました。規模は全く異なりますが、Mitacsのビジョンや活動内容は、C-ENGINEのそれと非常に親和性が高く、今後、日本・カナダ双方の産業と大学での研究の強みを活かしたグローバルインターンシップの仕組みの整備と推進が期待されています。Mitacsには上述したマッチングのアドバイザーを主要な大学に配置しており、年間15000件の研究インターンシップの実施に繋げています。この連携を通して、より効果的なマッチングの仕組み・産学連携の在り方を、コンソーシアムとして議論しながら今後も活動を継続していきたいと考えています。


次世代のイノベーション促進人材の育成にご協力ください
これらの活動を続けていくことで、イノベーション創出のための研究インターンシップを年間約500件実施することも、夢ではないと考えています。しかしこれには、C-ENGINEの理念にご賛同いただける協力者の数をより一層増やしていくことが必要です。より多くの大学やグローバル企業、有力なスタートアップ企業、中小企業にもご参画いただき、さらにはカナダ以外の海外の大学・企業との連携も進めていくことで、研究インターンシップをより積極的に活用していただきたいと考えています。研究インターンシップは、未来のイノベーション人材を育成するための取組みであり、イノベーション創出の種探しが可能な取り組みでもあります。本コンソーシアム活動にご賛同いただける大学・企業の皆様のご参画をお待ちしております!



[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/113118/8/113118-8-cc354878e8e847c3e4fc92878daccab3-3900x1232.png ]

※C-ENGINE設立十周年記念誌の題字「講求・体験」は、呂 坤『呻吟語』の「治道」の一節、“士君子、平日、事事講求、在在体験するも、時に望みてただ三五分を弁じ得るのみ。若し全然理会わさざれば、ただ紙舟、塵飯に似たるのみ” から、「学生は、大学で日々研究に研鑽を重ね、様々な体験を積み重ねている。研究インターンシップは、身につけた資質・能力を自己査定する貴重な機会である。そこで100%の力を発揮できなくても、その経験は更なる成長の糧となるはずだ。」という思いを込めて設定した。(C-ENGINE十周年記念誌:https://www.c-engine.org/2024/01/20/7825/



「April Dream」は、4月1日に企業がやがて叶えたい夢を発信する、PR TIMESによるプロジェクトです。私たちはこの夢の実現を本気で目指しています。



プレスリリース提供:PR TIMES

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