プレスリリース
美術館初の日本人デザイナー個展、2024年6月15日から2025年1月5日までの8ヶ月間の期間で開催。過去全てのクチュールコレクションから総勢50体以上が展示されます。
YUIMA NAKAZATO(ユイマ・ナカザト)初の単独回顧展「YUIMA NAKAZATO, Beyond Couture」(ユイマナカザト、ビヨンド・クチュール)が、フランス北西部の都市カレーにあるLa Cite de la dentelle et de la mode(カレー・レース・ファッション美術館)にて開催されることとなり、6月15日(土)にスタートいたしました。
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/110759/7/110759-7-65cbb65dda8041600cdd7d3c6d55bccb-3900x2600.jpg ]
4年間の準備期間を経て始まる本展では、同ブランドが2016年よりパリのオートクチュール・ウィーク(Haute Couture Week)にて発表してきた全シーズンのアーカイブから選ばれた計50体以上が一堂に出揃い、デザイナー中里唯馬が作り出す未来的かつ詩的な世界がエキシビションという形で表現されます。これに加え、ドローイングから素材の実験サンプルに至るまでのデザインの裏側までも同時に公開されます。
自身初の回顧展がフランスでの開催となりましたが、日本人ファッションデザイナーの回顧展がフランスの公立美術館で行われるのは、1988年のイッセイミヤケ(三宅一生氏)(*1)、2005年のヨウジヤマモト(山本耀司氏)(*2)、2006年のハナエモリ(森英恵氏)(*3)以来の4人目となり、中里は最年少での開催となります。
また、イブ・サンローラン、ジバンシィ、ディオールなど、フランスを代表するデザイナーの作品を多く収蔵、展示する傍、常に前衛的なデザイナーをいち早く紹介し続けてきた同美術館が、日本ブランドのソロ企画展を開催するのも、今回が初めてになります。
デザイナーメッセージ|中里唯馬
「この度、私が2016年よりフランスの文化であるオート・クチュールの世界で挑戦を続けてきた歩みを、ラグジュアリーテキスタイルの産地として歴史あるカレー市にて、回顧展を開催できることを光栄に思います。今日、大量生産が加速する時代において、様々な課題を抱えたまま走り続ける中、クチュールは、丁寧に一点物を作るというプリミティブな行為の一方で、手仕事を重んじ、私はここにファッションの未来があると信じています。そのことを、カレー市と共に世界へ発信できることを嬉しく思います。
この展示を実現するにあたり、コロナ禍を経て4年の間、粘り強く共に走り続けサポートしてくださった美術館のスタッフのみなさま、そして私のアトリエのスタッフに心から感謝します。」
キュレーターメッセージ|
La Cite de la dentelle et de la mode 副館長 / 本展覧会主任学術キュレーター Shazia Boucher氏
「YUIMA NAKAZATOは、料品産業における過剰消費とリサイクルの如という現代の社会問題に、ブランドの実証された技術で直接的に取り組んでいます。私たちは、このビジョンと革新的な仕事を広く宣伝することが重要だと感じています。こうして、中里唯馬の作品の初のソロエキシビションを開催するというアイデアが生まれました。このイベントは、今までに常に多様なデザイナーのアプローチを紹介してきた美術館の一連の展覧会の最新版です。カレー・レース・ファッション美術館は毎年、歴史的なデザイナーと前衛的な研究を交互に紹介する重要な研究を提案しています。10年前のイリス・ヴァン・ヘルペン(Iris van Herpen)、2016年のアンヌ・ヴァレリー・ハッシュ(Anne-Valerie Hash)、2019年のオリヴィエ・ティスケンス(OlivierTheyskens)に続く中里唯馬は、シンプルな手段と技術を試し、自然資源に敬意を払うファッションを生み出しているアーティストとして、カレーで紹介される最初の例です。」
YUIMA NAKAZATOの作品は、革新、伝統、最先端のテクノロジーの交差点にあり続けてきました。デザイナー中里唯馬は、オートクチュールの創造性と日本の伝統的な技法にインスピレーションを得て、持続可能なファッションを発信してきました。彼の詩的な服に対するビジョンは、オーダーメイドの作品を人々にとってより身近なものにしたいという願望によって推進されています。
1985年に日本で生まれた中里唯馬は、2008年にアントワープ王立美術アカデミー(ベルギー)を卒業しました。折り紙の技法を取り入れた卒業コレクションに対してアカデミーより贈られたイノベーション・アワードを含む、数々の賞を在学中にヨーロッパで受賞し、2016年以降は年2回パリでオートクチュールファッションウィークの期間中にゲストメンバーとしてコレクションを発表しています。権威あるオートクチュールに参加する日本人ファッションデザイナーとしては、森英恵に次いで2人目となります。
最初のコレクション以来、中里唯馬は、進歩的で持続可能で、着る人との独特の感情的なつながりを生み出すことができる服を作りたいと考えてきました。これを実現するために、彼は自ら考案した技術や、東洋と西洋の職人技を活用した技術を開発しています。彼のインスピレーションは主に自然(クジラの歌、山のい溶岩、風景の美しさ)から得られ、彼の作品を通して東洋の思想の影響を思い起こさせます。
ファッション業界の環境への影響は、中里唯馬の最大関心事の1つです。彼にとってのクチュールは、業界ではリサイクルされないアップサイクル素材や廃棄物を取り入れた、より社会的責任あるファッションの実験場です。専門家、研究者、産業家とともに、彼は3Dプリント、合成タンパク質を使用した繊維の作成、新しい技術の導入など、革新的なテキスタイルと製造プロセスを開発するために技術の限界を押し広げてきました。並行して中里は、2024年2月にジュネーブ大劇場で初演されたオペラ「イドメネオ」の装を含む、舞台、バレエ、オペラの装もデザインしています。
美術館チームと手を取り合って作り上げた未来的で詩的な世界のなかで、この展覧会はYUIMA NAKAZATOトブランドの2016-2024クチュールコレクションから約50ルックと、これらの舞台装への取り組みを紹介します。同時公開されるアクセサリー、ファッションスケッチ、技術図面、生地サンプル、ファッションフォトグラフィー、ビデオの展示では、デザインの背後にある創造的プロセスを紐解きます。
*1) ISSEY MIYAKE 《A-N》 パリ装飾芸術美術館, 開催年 1988年: https://www.lemonde.fr/archives/article/1988/10/06/le-styliste-issey-miyake-au-musee-des-arts-decoratifs-a-un-le-souffle_4092283_1819218.html
*2) YOHJI YAMAMOTO 《JUSTE DES VTEMENTS》 パリ装飾芸術美術館, 開催期間 2005年4月13日 - 8月28日: https://madparis.fr/yohji-yamamoto-juste-des-vetements
*3) HANAE MORI 《Retrospective》 La Maison de lAmerique Latine. 開催期間 2006年10月6日 - 10月27日: https://www.luxe-magazine.com/fr/article/1245-agenda_octobre_2006.html
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