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プレスリリース

【東芝】筑波大学・S'UIMIN・東芝が睡眠に関する共同研究を開始 〜5000人規模の睡眠とゲノムのビッグデータを解析し、睡眠負債による疾患リスク予測法の開発を目指す〜

(Digital PR Platform) 2024年11月21日(木)16時05分配信 Digital PR Platform

2024年11月 21 日
国立大学法人筑波大学
株式会社S'UIMIN
株式会社東芝


筑波大学・S'UIMIN・東芝が睡眠に関する共同研究を開始
〜5000人規模の睡眠とゲノムのビッグデータを解析し、睡眠負債による疾患リスク予測法の開発を目指す〜


 国立大学法人 筑波大学(所在地:茨城県つくば市、学長:永田 恭介、以下「筑波大学」)の国際統合睡眠医科学研究機構(所在地:茨城県つくば市、機構長:柳沢 正史、以下「IIIS」)、株式会社S'UIMIN(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:柳沢 正史、以下「S'UIMIN」)および株式会社東芝(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員 CEO:島田 太郎、以下「東芝」)は、2024年11月20日より、「睡眠ゲノムビッグデータの構築と統計遺伝学的解析」に関する共同研究を開始しました。共同研究において3者はまず、東芝の従業員約5,000人分を目標に、睡眠データ・遺伝情報・健康情報などを組み合わせたビッグデータを構築します。次に、睡眠の量・質における個人差に関係する遺伝子を特定し、それらの遺伝子と、睡眠負債注1)に起因する慢性疾患の罹患リスクや生産性低下との因果関係を評価し、睡眠負債が引き起こすリスクの予測法の開発を目指します。

 IIISは、睡眠覚醒制御機構や睡眠の神経科学的機能の解明を目指し、基礎から臨床までを網羅する世界トップレベルの睡眠医科学研究拠点であり、柳沢 正史 教授が機構長を務めています。また、教授の柳沢は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する「ムーンショット型研究開発事業」のプロジェクトマネージャーとして、「睡眠と冬眠:2つの『眠り』の解明と操作が拓く新世代医療の展開」注2)を目指し研究開発を進めています。
 S'UIMINは、誰でも簡単に自宅でできる睡眠計測サービスを提供しています。通常、睡眠の質を正確に測定するためには検査入院が必要ですが、同社の脳波測定ウェアラブルデバイス「InSomnograf®注3)」で睡眠時の脳波を測定してAIで解析することにより、自宅にいながら医療レベルの睡眠計測が可能です。本サービスは150以上の大学や研究機関、企業で研究開発の目的で利用されており、250以上の健診センターや医療機関にヘルスケアの目的で導入されています。
 東芝は、同意が得られた従業員からゲノムデータおよび過去10年以上のヘルスデータ(健康診断、問診結果、レセプトデータ)を収集・蓄積した1.5万人を超える企業コホートを保有しています。

 日本の平均睡眠時間はOECD加盟国中最短であり注4)、日本社会において不眠や睡眠不足による睡眠負債が大きな問題となっています注5)。蓄積した睡眠負債による生産性低下や事故の増加によって経済損失が生まれるとともに、健康リスクとなって医療費も増大し注6)、年間約15兆円の損失を招いていると言われており注7)、対策が必要です。一方で、人間の遺伝と睡眠に関する研究の報告例は少なく、人間の睡眠には多くの謎が残されています。健康の維持に必要な睡眠時間は遺伝的に決まっており個人差があること、また睡眠負債によって様々な疾患が発症したり重症化したりすることは分かっているものの、そのメカニズムは未だ解明されていません。従来、大規模な正確な睡眠データを取得することが難しく、人間の遺伝子と睡眠に関する研究に必要な、睡眠データ・遺伝情報・健康情報を組み合わせたビッグデータはこれまでありませんでした。

研究方法
 東芝の1.5万人を超える企業コホート登録者のうち、本研究に同意した従業員(目標5,000名)にS'UIMINの「InSomnograf®」を自宅で5晩装着してもらい、高精度な睡眠脳波データを取得します。質の高い睡眠データと、従業員のゲノムデータおよび過去10年以上のヘルスデータを組み合わせてビッグデータを構築し、IIISの神経科学や医学的知見を組み合わせて解析を行い、睡眠の量・質の個人差に関係する遺伝子の解明や、遺伝子の違いと睡眠負債に起因する慢性疾患の罹患リスクや生産性低下との因果関係を評価します。さらに3者は、社会課題である睡眠問題の解決に向け、データの解析結果を用いて、睡眠負債が引き起こすリスクの予測法の開発を目指します。

研究期間
2024年11月〜2026年3月

各社代表コメント
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS) 機構長 柳沢 正史
 私がプロジェクトマネージャーとして推進するムーンショットプロジェクトの目標の一つは、睡眠負債に起因する慢性疾患の罹患リスクを予測することです。睡眠負債が肥満やメタボリックシンドローム、気分障害、認知症などの原因や増悪因子であることは疫学的に証明されていますが、一人一人の罹患リスクを定量的に予測することは、ムーンショットプロジェクトに相応しい困難で挑戦的な目標です。これを達成するために、大量のゲノム情報とヘルス情報を蓄積する東芝と高精度の睡眠計測技術を持つS’UIMINに共同研究を提案しました。両社の協力でこの共同研究を開始できるのは、目標達成に向けた大きな一歩と考えています。

株式会社S'UIMIN 取締役CSO 小久保 利雄
 世界で最も寝不足な国である日本は、世界屈指の長寿国でありながら平均寿命と健康寿命との間に約10年の開きがあります。この差を縮めるためには、種々の慢性疾患の原因となる睡眠負債を長期に渡って蓄積しないことが必要と考えています。そのため、睡眠負債による慢性疾患の罹患リスクを可視化して、高齢になって手遅れになる前に、対策を講じられるようにしたいと考えています。弊社の「InSomnograf®」は、受診者のご家庭で睡眠を計測していただけるので、多数の受診者に短期間で精度の高い睡眠データを取得できます。この特徴を活かして本共同研究に貢献したいと考えています。

株式会社東芝 上席常務執行役員 佐田 豊
 労働人口の減少が深刻化していく中で、従業員のウェル・ビーイング向上と生産性向上の好循環を作り出す健康経営が企業において重要となっています。こうした背景の中、弊社は1.5万人を超えるゲノム情報と健康情報を集積した企業コホートを構築してきました。従業員の健康の維持・増進とともに、パートナーと連携した研究開発および事業創出を行うことで、医療への貢献と健康経営の課題解決を目指しています。今回、筑波大学およびS’UIMIN社と連携し、企業コホートに蓄積されたデータと精度の高い睡眠データを掛け合わせることで、睡眠に関する医学的研究の深化だけでなく、社会的課題の解決にも貢献していきたいと考えています。

【用語解説】
注1) 慢性的な睡眠不足にともなう心身の不調。
注2) 内閣府が進める、日本発の破壊的イノベーション創出を目指す大型研究プロジェクト「ムーンショット型研究開発制度」のうち、目標7「2040 年までに、主要な疾患を予防・克服し 100 歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現」のプロジェクトの一つ。
注3) 「InSomnograf®」の睡眠計測は、アメリカ睡眠学会の睡眠ステージ判定法に準拠したもので、脳波データを30秒ごとの単位(エポック)に分けて覚醒・ノンレム睡眠1〜3・レム睡眠の判定を行い、睡眠経過図から20種類以上の睡眠指標を自動的に算出できる。
注4) OECD. Data retrieved from World Bank Gender Data Portal (2021)
注5) Kim K. et al. Lifestyles and sleep disorders among the Japanese adult population. Psychiat. Clin. Neurosci. 53, 269 (1999)
注6) Furihata R. et al. The association between sleep problems and perceived health status: a Japanese nationwide general population survey. Sleep Med. 13, 831 (2012)
注7) Hafner M. et al. Why sleep matters – the economic costs of insufficient sleep: a cross-country comparative analysis. Rand Health Q. 6, 11 (2017)
注) 社名・商品名・サービス名などは、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。



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