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日本製鉄株式会社

日本製鉄 社長就任挨拶(代表取締役社長兼COO 今井 正)

(Digital PR Platform) 2024年04月01日(月)10時13分配信 Digital PR Platform

〜グローバルに成長機会を掴み、脱炭素の先駆者となって、総合力世界No.1 の鉄鋼メーカーとして飛躍する〜

1.これまでの経営改革の歩みと総合力世界No.1 について
 当社は国内構造対策による生産ラインの集約や、紐付き価格マージンの大幅な改善、海外事業の選択と集中などの経営改革が実を結び、連結実力損益は当初の目標であった6000 億を大きく上回り、1兆円のターゲットが見通せるところまで拡大しました。現在実行中である鉄源工程や熱間圧延ラインの新鋭化や、電磁鋼板や超ハイテンに代表される戦略商品への積極投資が順次稼働し、製品構成の高度化を進めることによって国内製鉄事業の収益力は更に高まる見通しです。
 もう一つの柱は、海外事業の拡大です。インドではAM/NS India が順調に収益を生んでおり、成長市場で生産能力の拡大を進めています。アセアンにおいても電炉鉄源であるタイG/GJ スチールが加わり、鉄源から製品まで一貫での事業構想が可能になりました。更に米国ではUS スチールの買収を全力で進めています。
 当社の事業戦略において、このように鉄鋼生産そのもののグローバル展開を横軸とすれば、縦軸は原料、流通加工といった鉄鋼生産からみた川上、川下への事業領域の拡大であります。原料事業では既に完了したカナダへの原料炭投資、検討中の還元鉄関連投資、流通では日鉄物産やグループ加工会社とのサプライチェーンマネジメントの高度化などを進めることで、更に安定的な収益構造を実現していきます。
 ここで重要な事は、縦軸と横軸が交わる交差点であり、全体の要となるのは国内の製鉄所です。製造現場最前線の製造実力、営業部門との連携や広域製鉄所のマネジメント力に裏打ちされたコスト競争力と収益力、こうした力を如何にして維持・強化していくかが、引き続き当社の基本となる重要な経営課題です。
 強い国内製鉄事業を要に、グローバルに広がる縦軸と横軸が完成すれば、総合力世界No.1 の鉄鋼メーカーという目標は名実ともに実現し、当社は世界の鉄鋼業界の頂点に立つことができます。

2.直面する重要課題について 〜二つの成長機会〜
 次に当社がこれから直面する様々な課題に関して、私の考えを述べたいと思います。
 まず前提となる事業環境に関してですが、国際的には経済安全保障の下でグローバル経済のブロック化が進み、鉄鋼市場においては中国経済の減速とインドの成長、これによる製品市況の下落と原料価格の高止まりというディカップリングが、構造的な問題として継続します。また国内においても将来的な人口減少や経済のソフト化が進むなかで、自然体での需要の回復は見込みがたい状況です。こうしたマクロ認識に基づく当社の経営方針は実行中の2025 年中長期計画そのものであり、まずはそれをやり抜くことに尽きますが、これに加え、特に成長機会と脱炭素対策について申し上げます。

 第一は、社会の変革期を捉えた、新たなビジネスチャンスの獲得です。地球規模の気候変動問題への対応が産業界の大きな流れとなり、産業構造の変化を通じた新たな需要が材料分野においても生まれています。商品開発から流通加工ネットワークに至る当社グループの総力を挙げて新規ニーズを開拓し、国内事業の成長に繋げる対策が必要です。当社の国内生産規模を支えると同時に、世の中に新たな付加価値を創り出すという製造業の本分を忘れず、新たなビジネスチャンスの獲得に積極的に取り組んでいきます。

 第二は、生産規模と収益の両面で当社の成長エンジンとして一段と強化していくことになるグローバル事業と、それを支えるマネジメントの強化です。インド、アセアン、US スチール買収後の北米を中心に、成長市場で一貫製鉄事業の拡大を進めることは、当社のグローバル展開が新たな段階に入ることを意味します。日本が世界本社となり、それぞれの現地のニーズに応じて必要なリソースを展開し、現地企業として健全に発展していくことを強力に支援していく、そのような形で国内製鉄事業が海外事業を支える存在となる必要があります。戦略的な本社マネジメント機能を更に高めると共に、技術面では研究開発、製造技術、設備保全・エンジニアリングなど、先に縦軸横軸の交差点と申し上げた、国内事業で磨いてきたものづくりの真価を、世界を舞台に発揮していきます。

3.脱炭素対策について 〜全社の総力を挙げた挑戦〜
 第三に、最も大きな課題ともいえる脱炭素対策について申し上げます。
 当社は2050 年カーボンニュートラルに向け、まずは2030 年に30%以上の温暖化ガスの排出削減を目指しています。そもそも鉄鋼材料はあらゆる工業材料の中でも、例えば1トン製造することによる温暖化ガス排出量は最も少なく、何度でもリサイクル可能な循環素材であり、カーボンニュートラルな時代においてもその重要性は揺るぎません。ただ、安価であり大変優れた性質を持つことから、圧倒的に大量使用されているため、鉄鋼業のCO2排出量は国内産業部門の約4割を占めています。足元ではCO2排出量が国際的な通商制約となる動きも出てきていることから、当社の脱炭素対策の成否は、我が国の産業競争力を左右するといっても過言ではありません。
 その具体的な対策課題は、技術開発や設備計画という技術的なテーマと、投下コストを回収できる市場の形成と、それらを支える国の政策制度の整備などになります。水素還元や大型電炉といったこれまでの製鉄プロセスを大きく変革する技術開発を業界の先駆けとして推進し、巨額の設備投資計画を官民共同で実現する取り組みを進めています。また、化石燃料から脱却することによる製造コストの上昇は、最終的には鋼材価格や鋼材を使用した製品価格に反映されなければ市場経済は成り立たず、環境価値としてのCO2排出量削減が、経済価値を生み出すということについて、最終消費者含めたサプライチェーン全体の共通認識と行動規範にならなくてはなりません。このように脱炭素問題の解決には、社会全体を動かすためのさまざまな取り組みが不可欠であり、業界をリードする当社でしか成し得ない、全社の総力を挙げて挑戦するテーマです。当社は脱炭素を進めることで、地球環境改善に大きな貢献ができる企業です。当社がこれからも社会に貢献し、社会から必要とされる存在でありつづけるためにも、脱炭素対策は経営の最優先課題として取り組みます。

 当社は、グローバルに成長機会を掴み、脱炭素の先駆者となって、総合力世界No.1 の鉄鋼メーカーとして飛躍していきます。
 皆さまのご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。
以 上

お問い合わせ先 : 総務部広報センター 電話03-6867-2135、2146、3419




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