• トップ
  • リリース
  • 【東芝エネルギーシステムズ】複数電力市場での取引戦略の活用により2.3倍以上の収益改善を実証

プレスリリース

  • 記事画像1
  • 記事画像2
  • 記事画像3
  • 記事画像4

【東芝エネルギーシステムズ】複数電力市場での取引戦略の活用により2.3倍以上の収益改善を実証

(Digital PR Platform) 2024年03月29日(金)13時21分配信 Digital PR Platform

2024年3月29日
東芝エネルギーシステムズ株式会社
東芝ネクストクラフトベルケ株式会社


複数電力市場での取引戦略の活用により2.3倍以上の収益改善を実証
〜再エネアグリゲーション事業のさらなる発展を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献〜



 東芝エネルギーシステムズ株式会社(以下、東芝ESS)および東芝ネクストクラフトベルケ株式会社(以下、TNK)は、経済産業省が公募した実証事業「令和5年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」注1において、再生可能エネルギー(以下、再エネ)アグリゲーターにとって重要となるインバランス注2の低減や収益性向上に向けた実証評価を行い、蓄電池を複数の電力市場取引での活用 (蓄電池の市場マルチユース)することにより2.3倍以上の収益性の改善を確認しました。加えて、風力発電量の予測精度の大幅な向上も実現しました。本実証事業は令和3年度および令和4年度に引き続き、昨年6月に採択されたもので、東芝ESSとTNKは、昨年12月から本年1月までの期間を中心に実証評価を進めてきました。

 実証は、再エネアグリゲーター8社および実証協力者5社でコンソーシアム注3を組成して行いました。6種類注4に及ぶ全国の約100のエネルギーリソースを用い、昨年度までの実証で用いた東芝ESSとドイツのネクストクラフトベルケ社が共同開発した再エネバランシングシステム「REBSet®」の機能拡張や高度化を図った上で、同システムを利用して実証評価を行いました。今回の実証では、主に以下の4項目について評価を行いました。

1.再エネ発電量予測評価
アプローチの異なる複数の発電量予測の手法を用い、各手法における予測誤差に応じて、最適なバランスで手法を組み合わせることで精度向上を図る新たな「統合手法(図1)」を取り入れました。また、昨年度までの実証では太陽光発電(PV)に比べ風力発電の発電量の予測誤差が大きかったことを踏まえ、風力発電では新たに深層学習で算出する局所的な風速予測の結果を利用した「発電量予測手法(図2)」を追加し、また一部既存手法の改良も行いました。その結果、前日朝のタイミングでの発電量予測と実際の発電量の平均誤差注5が、PV発電では2.9%、風力発電では10.1%となりました。昨年度の実証事業における平均誤差はそれぞれ3.5%、17.3%であり、いずれも予測精度の改善が確認でき、特に風力発電では大幅な予測精度の向上を実現しました。なお今回の実証では、株式会社東芝 研究開発センターが開発した発電量予測技術も活用しています。

2.インバランスの低減
再エネ発電量の実績を確認しながら蓄電池を活用した制御方法(フィードバック制御手法)の改良などを行い、蓄電池を使用しない場合に発生するインバランス量と比較して、平均79.1%注6のインバランスの低減を実現しました。昨年度の実証事業の結果は68.4%であり、上述した発電量予測精度向上に伴う効果と併せてインバランス低減効果を実証しました。

3.収益性向上
さらなる収益性の向上に向け、より高値で入札する「市場取引戦略技術(図3)」を取り入れました。従来は発電電力を卸売市場でのみ入札していたのに対し、新たに需給調整市場(三次調整力A)注7での入札も想定した蓄電池の市場マルチユースによる収益改善効果を実証しました。一般送配電事業者の全国4エリアでの評価において、蓄電池を従来の卸売市場のみに活用する場合と比較し、より収益性の見込める取引が可能となったことで各エリアにおいて2.3倍以上の収益改善を確認しました。

4.出力制御対策
出力制御注8を考慮した蓄電池の制御技術による収益改善手法について、PVを用いた実証を行いました。昨今、発動頻度が増加傾向にあり、再エネ発電事業者やアグリゲーターにとって収益に影響を及ぼすリスク要因となっている出力制御対策として、出力制御値の上限を超えるPV発電量を無駄にすることなく蓄電池に充電制御を行いました (図4)。従来であれば減収リスクになる分を収益に繋げることができるため、 蓄電池制御を行う場合と行わなかった場合と比較して32.5%の収益改善 (出力制御が発動しない場合と同等の収益) を実現し、リスクの抑制が可能なことを確認しました。

 東芝グループは、本実証で得られた成果を実業へ反映し、再エネアグリゲーション事業のさらなる発展を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

注1:正式名称は、「令和5年度 蓄電池等分散型エネルギーリソース次世代技術構築実証事業費補助金(再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業)」
注2:発電計画と発電実績の差分のこと。差分量に応じてインバランス料金が発生する

注3:コンソーシアムメンバー:
コンソーシアムリーダー
・東芝エネルギーシステムズ株式会社

再エネアグリゲーター(8社)
・アーバンエナジー株式会社
・NTTアノードエナジー株式会社
・株式会社関電工
・日本工営エナジーソリューションズ株式会社
・日本電気株式会社
・北海道電力株式会社
・株式会社ユーラスグリーンエナジー
・東芝エネルギーシステムズ株式会社

実証協力者(5社)
・ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社
・豊田通商株式会社
・一般財団法人日本気象協会
・PAG Renewables合同会社
・東芝ネクストクラフトベルケ株式会社

注4:太陽光発電、風力発電、水力発電、蓄電池、EV、エコキュート
注5:予測誤差は、30分ごとに発電量予測と発電量実績の差を発電機の定格容量で正規化することで算出。コンソーシアム全体における全評価エリアでの平均予測誤差。
注6:コンソーシアム全体における全評価エリアでの1ヵ月あたりの平均インバランス量削減率。
注7:2021年4月に開設された、一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御・需給バランス調整を行うために必要となる調整力を調達するための市場。三次調整力Aでは、電力を供給する前日時点において対象発電所の供給能力に余裕がある場合に入札することが可能。
注8:電力の需給バランスを保つために、一般送配電事業者の指示により発電事業者が発電所の出力を制御すること。







[画像1]https://digitalpr.jp/simg/1398/85739/150_76_202403281541196605110fa977c.png


図1: 複数の発電量予測手法を最適に組み合わせた新たな統合手法




[画像2]https://digitalpr.jp/simg/1398/85739/150_70_2024032815412566051115ab434.png



図2: 今年度実証で取り入れた新たな風力発電量予測手法



[画像3]https://digitalpr.jp/simg/1398/85739/150_77_202403281541316605111b9351f.png


図3. 需給調整市場(3次A)も想定した市場取引戦略技術


[画像4]https://digitalpr.jp/simg/1398/85739/150_85_202403281541376605112124244.png


図4. 出力制御を考慮した蓄電池制御の動作例




*東芝エネルギーシステムズ株式会社は株式会社東芝の100%子会社です。

このページの先頭へ戻る