プレスリリース
基本シナリオ
【米国】
米国経済は、2024年も堅調なスタートをみせており、今年の国内総生産(GDP)成長率は2.7%、来年については、緩やかな1.9%の拡大を予想しています。インフレについては、労働市場が逼迫しているため「スーパーコア(コア・サービス除く住居)」の沈静化は難航する可能性があるものの、住居費の低下によりヘッドライン・インフレ率は年明け頃に2%目標に回帰すると考えます。米連邦公開市場委員会(FOMC)は、6月から政策金利の引き下げを開始すると見ています。しかし、2025年初までに完全雇用と物価安定という「デュアル・マンデート」を達成し、緩和幅は100bpsにとどまると考えます。
【ユーロ圏】
2023年下半期、ユーロ圏経済は非常に低迷し、複数の国は景気後退に見舞われました。高インフレと金利上昇により内需が打撃を受けているほか、ユーロ圏の競争力低下もあり、外需も低迷しました。欧州中央銀行(ECB)は次の四半期に利下げを開始し、今年は100bps、来年は50bpsの利下げを予想します。インフレ圧力の緩和と金利低下は回復を下支えし今年のGDP成長率は0.7%となるほか、成長率は来年から上昇トレンドに戻ると見ています。
【英国】
高インフレや高金利、供給サイドの問題による成長ペースの制約により、今年は緩やかな回復にとどまると予想しています。結果的に、イングランド銀行(BoE)はより緩やかな利下げを余儀なくされ、今年と来年の利下げ幅はわずか100bpsになると予想します。今秋に実施が見込まれる総選挙においては、政権交代の可能性もあり、不確実性が高まると見ています。
【エマージング諸国】
世界経済の大幅な上方修正は、今後数か月間において中国経済をある程度押し上げる要因になると考えます。一方、中国当局による緩和政策は国内経済の一時的な支援材料となりますが、今年後半には減退すると見ています。今年のGDP成長率は4.8%、来年には4.5%になると予想します。短期的な減速リスクはあるものの、インドは今後2 年間、主要新興国経済の中で最も急成長を続けると見ています。そのほか、アジアを除く新興国の多くの地域では今後、金利がさらに低下し、国内成長の回復を支援する要因になると考えています。
今後想定される他のシナリオ
基本シナリオは、前回よりも「生産性向上」の方向に調整しましたが、リスクは総括してリフレーションに傾斜しています。基本シナリオ以外で今後想定される景気シナリオについて、最も可能性の高いリスクシナリオとしては、リフレーションシナリオの「消費者ブーム」、次いで、デフレーションシナリオの「ハードランディング」とリフレーションシナリオの「中国発の景気刺激」を想定しています。
世界の実質GDP成長率見通し
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シュローダー・エコノミクス・チームによる見通し(基本シナリオ)
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