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【弘前大学】佐々木一哉教授らの研究グループが高純度リチウム資源の高速・省エネルギーでの採取・回収技術を開発

(Digital PR Platform) 2024年02月27日(火)20時05分配信 Digital PR Platform



弘前大学(青森県弘前市)の佐々木一哉教授(大学院理工学研究科・弘前大学リチウム資源総合研究機構兼任)、新村潔人助教(弘前大学リチウム資源総合研究機構)らの研究グループは、2つの外部電源、3つの電極およびリチウムイオン伝導性固体電解質隔膜から構成される新たな電気化学ポンピング技術を開発。塩湖や地下水中および使用済みリチウムイオン電池から、金属不純物を全く含まない高純度なリチウムを高速かつ経済的に採取・回収することが可能となった。本研究グループは、まずは新たに導入される欧州電池規則によるリチウム資源リサイクル義務への対応を可能にするため、既に実用化研究の段階に入っている。本研究成果は、Springer Natureから出版されている『Communications Engineering』誌にオンライン掲載された(2024年2月11日)。




【本件のポイント】
・リチウム資源採取・回収のための新たな電気化学ポンピングシステム技術(1)を開発した。
・塩湖や地下水中および使用済みリチウムイオン電池から、金属不純物を全く含まない高純度なリチウムを高速かつ経済的に採取・回収することが可能となった。
・類似な従来技術の464倍の高速な採取・回収が確認され、原理的にはリチウム回収速度を無限に増大できることが示された。

【発表内容】
 弘前大学の佐々木一哉教授、新村潔人助教らの研究グループは、2つの外部電源、3つの電極およびリチウムイオン伝導性固体電解質隔膜から構成される新たな電気化学ポンピング技術を考案した(図1)。本研究では、開発した技術を用いることで、原理的には、不純物イオンを全く含まない極めて高純度なリチウムを無限に大きな速度で回収できることを示した。
 また、類似の技術と比べて大幅にエネルギー消費量を削減できることも示した。 この技術は、電気自動車等に使用されるリチウムイオン電池や将来の基幹エネルギーシステムとして期待される核融合発電のためのリチウム資源の、経済的かつ工業的な獲得に貢献すると期待される。
 本研究グループは、まずは新たに導入される欧州電池規則によるリチウム資源リサイクル義務への対応を可能にするため、既に実用化研究の段階に入っている。
 本研究成果は、Springer Natureから出版されている『Communications Engineering』誌にオンライン掲載された(2024年2月11日)。国内特許および国際特許が出願されている。

【図の解説】
 図1の左(Anode側)の浴に塩湖水や廃LIBsを溶解した水溶液などを入れ、電気化学ポテンシャル差(2)を用いて右(Cathode側)の浴中の水にリチウムイオンを移動・回収する。電解質隔膜の両側表面に形成された2つの電極(First electrodeとSecond electrode)ではO2ガス、最も右の電極(Third electrode)ではH2ガスも発生するため、これらのガスの供給も可能である。

【用語解説】
(1)電気化学ポンピング技術:所望のイオン(今回はリチウムイオン[Li+])が内部を移動できる電解質製の隔膜の表裏両面間に電気化学ポテンシャル差を与えて、そのイオンを一方から他方へ移動させる技術。
(2)電気化学ポテンシャル差:電位の違い(電位ポテンシャル差)や濃度の違い(化学ポテンシャル差)のこと。電位ポテンシャル差は、電解質隔膜の表裏の両面に電極を配置し、この電極間に外部電源を用いて電圧印加することで与える。今回の濃度差は、それぞれの浴中に入れた溶液中のLi+濃度の差。

【論文情報】
・論文タイトル:"A three-electrode dual-power-supply electrochemical pumping system for fast and energy efficient lithium extraction and recovery from solutions"
・掲載ページ: https://www.nature.com/articles/s44172-024-00174-8
 


▼本件に関する問い合わせ先
弘前大学大学院理工学研究科・弘前大学リチウム資源総合研究機構
教授・佐々木 一哉
住所:青森県弘前市文京町3番地
TEL:0172-39-3627
メール:k_sasaki[at]hirosaki-u.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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