プレスリリース
エステー株式会社と近畿大学東洋医学研究所は、共同研究において、月経前の身体的・精神的な不調(PMS)への香りによる緩和効果を世界標準の症状評価方法により科学的に確認しました。
月経前に生じる身体的・精神的な症状は、月経前症候群(Premenstrual Syndrome, PMS)と呼ばれ、女性の社会生活に影響を及ぼす可能性があるとして認知が進んでいます。PMSには、腹痛や体の不快感、腫れや浮腫み、食欲変化やイライラや不安な気持ちといった気分の変化など種々の症状が含まれます。
PMSの対処療法のひとつとして精油などの香りを用いたアロマテラピーが知られています。家庭で使用される空間用のアロマディフューザーは持ち運びが難しく手間もかかることから、外出中や仕事中に使用が難しく、PMSへの対策としては普及していないのが現状です。そこで本共同研究では、持ち運び可能でいつでも手軽に使用できるスティック型の練香水を用いて、香りによる緩和効果の検証を実施しました。
本検証では、スティック型の練香水(バーベナ調、ミント調、ラベンダー調)をPMSの自覚症状がある20〜39歳の女性140人を対象に、月経前の期間に1日4回くらいの頻度で使用してもらった後、日本語版DRSP(※)を回答してもらいました。その結果を用いて、練香水使用によるPMS症状緩和効果を評価しました。
その結果、いずれの香調の練香水を使用した場合にも有意にPMS症状が緩和していることが確認されました。香りによる緩和効果は気分の落ち込みなどの精神症状だけでなく、身体症状に対しても一定の効果が確認されました。
本研究では、香りが月経前の身体的・精神的不調を緩和することを確認しました。今後、数ある香りのなかでも、より効果的に月経前の不調を緩和できる香りの探索に取り組んでまいります。また、香りを用いた手軽に取り入れやすいウェルネス分野の商品開発に活かしていきたいと考えています。
なお、本結果は大宮ソニックシティで開催された「第1回 日本化粧品技術者大会 学術大会(2023年12月5日〜7日)で発表しています。
(※)DRSPは精神症状(気分の落ち込みや不安、怒り、集中力など)に関する設問と身体症状(空腹感や睡眠、胸のはり、頭痛など)に関する設問、社会活動に対する影響に関する設問から構成されているPMS諸症状を科学的に評価/記録する世界標準のツールです。治療薬の厳密な効果判定においても使用されています。
DRSPによる、スティック状の練香水未使用時(ブランク)と使用時のPMS症状比較。練香水を配布した20〜39歳の女性140人のうち、PMS有症状者(DRSPスコアが月経前と比較して月経後に30%以上の低下していたモニター)かつ指定された5日間中4日以上正しく回答しているモニターを解析対象としました。
【参考文献】
Takeda T., et al.(2021) Psychometric Testing of the Japanese Version of the Daily Record of Severity of Problems Among Japanese Women. Int J Women's Health. 13, 361-367.
【関連リンク】
近畿大学東洋医学研究所
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