プレスリリース
【神奈川工科大学(KAIT)】AIと多義語外来語化によるリアルタイム自動通訳の研究進む -- 夢の自動通訳の実現に向けてクラウドファンディングを開始
神奈川工科大学(神奈川県厚木市)名誉教授の上平員丈客員研究員、長崎大学情報データ科学部の高田英明教授、聖泉大学人間学部の鈴木雅洋准教授らの共同研究グループは、遅延のないリアルタイム自動通訳を実現するため、AIによる翻訳に加え多義語の外来語化によって、現在のAIによる翻訳では不可能なリアルタイム通訳を実現する方法を考案し、実証研究を進めています。
神奈川工科大学 名誉教授の上平員丈客員研究員、長崎大学情報データ科学部の高田英明教授、聖泉大学人間学部の鈴木雅洋准教授らの共同研究グループは、従来のAIによる通訳では困難な遅延のないリアルタイム通訳を可能にする新たな方法を考案し、基礎段階での実証研究で実現性を確認しました。
近年、AIの著しい進歩によって英文の和訳、和文の英訳などの自動翻訳はほとんど実用上問題のないレベルにまで達しており、多くの人に利用されています。
また、音声による英語も、音声認識や音声合成の技術が進展し、正確で自然な音声による通訳が可能になり、すでに「自動通訳機」として製品化されています。
しかし、現在の自動通訳は、実際の発話と訳の音声との間に時間差、すなわち遅延があり、リアルタイムの通訳ができません。遅延があっても利用できるケースも多くありますが、例えば数人での会議などでは、誰かの発言に対して意見を述べたいような場合、翻訳を待っていては、その間に他の誰かが発言してしまい、自分が発言する機会がなくなってしまいます。
また、海外旅行での買い物やレストランでの使用においてもまた、一文一文区切りながら発話して翻訳を待つという使い方ではストレスをもたらしてしまいます。
翻訳に遅延が生じる理由は、英語と日本語では述語や目的語などの基本語順が異なるためです。ヒアリングの練習などでは、先頭の単語から順番に訳していく練習があり、リアルタイムに意味を理解する有効な方法とされています。本研究でも、同様に文の先頭から、単語、あるいは連語単位で翻訳し、遅延のない通訳を実現します。しかし、この方法では文の先頭近くに、複数の意味をもつ単語、例えば、基本動詞や多義語がある場合、どの意味に訳してよいかわかりません。本研究でも従来のAIを用いる方法のように、文の文脈からどの訳が適当か判定します。しかし、文全体を聞いてから判定したのでは遅延が生じますので、その単語より以前の文や単語から適切な意味を判定します。しかし、会話の初めで、しかも文の先頭近くの場合は、判定する情報が十分でなく、たとえAIを用いたとしても十分な確度で正確な意味に訳すことは困難です。
そこで、本研究では、AIにより十分な確度で判定できない場合、その単語をあえて和訳せず、英語の音声のまま音声出力します。このようなAIでも和訳が難しいケースがある単語をリストアップして、これを新たな外来語として扱うのが本方法の特徴です。以上の方法により、AIだけでは不可能なリアルタイム翻訳を実現します。
これまでの基礎実験から、ある程度の慣れは必要ですが、リアルタイムに意味を把握できることを確認し本方法の実現性を確認しております。本研究はスタートしたばかりですが、将来、日本人の英語学習の負担を大幅に軽減することを最終目標としています。
なお、本研究では今後の本格的な研究を展開するにあたりクラウドファンディングにより必要な研究資金の調達を目指しています。研究の詳細やクラウドファンディングによるご支援の方法などは下記URLをご参照ください。
https://readyfor.jp/projects/kait2023
※取材の際には、事前に下記までご一報くださいますようお願い申し上げます。
※本リリースは大学プレスセンタ−に送信させていただいております。
▼本件に関する問い合わせ先
神奈川工科大学 研究推進機構
井藤晴久
住所:〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030
TEL:046-291-3299
メール:ito.haruhisa@cco.kanagfawa-it.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/