プレスリリース
麻布大学獣医学部動物応用科学科・介在動物学研究室の菊水健史教授は株式会社BIOTAと「環境・動物・ヒト社会における細菌叢の解析」に関する共同研究を開始します。
本共同研究によって、ペットとヒトとの関わりをマイクロバイオームの観点で解き明かし、その共生関係に新たな価値を見出すことができると期待されます。また、ペットによってヒトの免疫を向上させ疾患リスクを低減させるなど、ヒトの心身の健康と細菌叢の関係解明の糸口が見つかれば、公衆衛生等の観点で社会課題の解決にも繋がる可能性があります。
<研究開始の背景>
麻布大学介在動物学研究室では、動物の腸内細菌叢と社会行動の関係を調べてきました。例えばマウスの社会性に細菌叢が関わることや認知脳に関わることを見出してきました。現在、科学研究費補助金基盤研究Sにて、東京ティーンコホート研究に参加し、イヌの飼育児童のウェルビーイングの向上と細菌叢の関連の解析を開始し、ヒトの心身の健康と細菌叢の関係の解明に取り組んでいます。
BIOTAではこれまでに住居やオフィスなどの様々な建造環境におけるマイクロバイオームがヒトの健康に与える影響の大きさを研究によって見出してきました。建造環境のマイクロバイオームの構成要素や変動要因は複雑であり、様々な環境要因に依存することがわかっています。
伊藤 光平, 建造環境における微生物叢の特徴と人体に及ぼす影響の理解に向けて, 室内環境, 2023, 26 巻, 1 号, p. 29-42, doi: https://doi.org/10.7879/siej.26.29
また、建造環境内で飼育されている犬猫などのペットに存在する常在菌も建造環境のマイクロバイオームの重要な構成要素となっています。そしてペットとヒトとが建造環境内で共生することで、ペットからヒトへの直接・間接的な常在菌の移動が生じ、ヒトの免疫発達を促進している可能性もいくつかの研究で示唆されてきました。
<研究の概要>
本共同研究では建造環境におけるヒトとペットにおける微生物相互作用とその健康への影響を調べることを目的に、ペット・ヒト間における直接的な微生物の移動と共有、建造環境を通じた間接的な微生物の移動と共有を調査します。また、移動・共有された微生物群がヒトにどのような効果をもたらすか、全ゲノムシーケンスや比較ゲノム解析、培養法による表現型の確認試験によって探索します。
<関連情報>
・麻布大学 教授 菊水 健史:
https://www.azabu-u.ac.jp/academic_graduate/lab/teacher/va/kikusui_takefumi.html
・介在動物学研究室:
https://sites.google.com/carazabu.com/lab-kaizai/home
・麻布大学 獣医学部
https://www.azabu-u.ac.jp/academic_graduate/veterinary/
2025年に学園創立135周年を迎える麻布大学は、動物学分野の研究に重点を置く私立大学として、トップクラスの実績を基盤に新たな人材育成に積極的に取り組んでいる。獣医学部には獣医学科と動物応用科学科が設置されている。獣医学科では、全国共通のモデル・コア・カリキュラムと参加型臨床実習に対応した獣医学教育はもちろんのこと、臨床教育に適した施設・設備を整備して充実した教育を実践している。さらに、多くの研究室において動物に関して多様な研究活動を行っている。動物応用科学科では、動物のさまざまな生命現象を、遺伝子などの分子、細胞から個体、群集までの多様なレベルで理解する動物生命科学分野、人と動物のより良い共生を追求する動物人間関係学分野の総合的な教育と質の高い研究を実施している。
・株式会社BIOTA:
https://biota.city/
IOTAは、生活空間の微生物の多様性を高めることで健康で持続性のある暮らしの実現を目指して研究活動や事業に取り組んでいます。
弊社のコア技術であるマイクロバイオームのゲノム解析は、生活空間を中心に発酵食品やヒトマイクロバイオームなど多様な分野で用いられ、大学、企業、公共機関と連携し共同研究を進めています。(https://biota.city/news/)BIOTAでは
、本取り組みを通して微生物多様性の価値向上と認知拡大を図り、より良い社会実現に活かすために研究開発と社会実装をより一層加速していきます。
▼本件に関する問い合わせ先
事務局 渉外課
磯野、川満
住所:神奈川県相模原市中央区淵野辺1-17-71
FAX:042-754-7661
メール:koho@azabu-u.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/