プレスリリース
2023年8月24日
PwC Japanグループ
PwC Japanグループ、「企業の地政学リスク対応実態調査2023」の結果を発表
企業の8割が地政学リスクへの対応力を高める具体的対策に着手、
最も懸念するのは「サイバー脅威」、中国へのリスク認識は一段と増大
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【調査結果の概要】
■「最も懸念される地政学リスク」はサイバー脅威
・「サイバーアタック/サイバーテロ」が2年連続で首位
・「グローバルサプライチェーンの寸断」「中国国内の政治・経済不安定化」が前年比で大きく順位を上げ、一段とリスク認識が増大
■対応力向上へ8割の企業が何らかの取り組みを実施
・「海外拠点における情報収集・共有」46%
・「専門人材の社内育成」32%、「専門人材の採用強化」26%
・「特に対応をしていない」17%
■事業運営の変更を伴う対応に着手する企業も増加
・「サプライチェーンと調達戦略の見直し」57%(前年比7ポイント上昇)
・「別の地域・国への成長領域の移管」26%(同7ポイント上昇)
■3割が「中国の投資環境の悪化」を指摘、投資先としての中国の位置付けを見直す企業が増加
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PwC Japanグループ(グループ代表:木村 浩一郎)は、地政学リスク・経済安全保障環境に対する日本企業の意識、対応実態を把握するため「企業の地政学リスク対応実態調査2023」を実施しました。同調査は2019年、2021年、2022年に続き4回目です。ウクライナ紛争は長期化し、米中間の緊張は一段と高まっています。くすぶり続ける地政学リスクを日本企業がどのように分析・把握し、対応しようとしているのか、調査を通じて課題と解決のヒントを探ります。
■サイバー脅威への懸念が地政学リスクの首位に
最も懸念する地政学リスクでは「ロシア・中国・北朝鮮などのサイバーアタック/サイバーテロ」が37%を占め、前年に続き首位となりました。「グローバルサプライチェーンの寸断」は32%で2位、「中国国内政治・経済の不安定化」(21%)は3位に浮上しました。習近平政権3期目以降もなかなか力強さが戻らない中国経済への懸念を示す結果になりました(図表1)。
懸念する地政学リスクは1年間で大きく入れ替わった(図表1)
[画像1]https://user.pr-automation.jp/simg/1803/75144/700_342_2023082209522764e406cb5f3f4.png
■経営戦略における地政学リスクマネジメントの重要性が上昇
企業の経営戦略にとって「地政学リスクマネジメントが重要」と答えた割合は87%と前年比5ポイント上がりました。一方、「重要ではない」との割合は前年比5ポイント低下しわずか3%にとどまりました。地政学リスクは企業経営に強い影響を与える重要な経営課題だ、との認識が一段と広がっていることを示唆しています(図表2)。
地政学リスクマネジメントへの関心が一段と強まっている(図表2)
[画像2]https://user.pr-automation.jp/simg/1803/75144/700_425_2023082110283864e2bdc6764e7.png
■地政学リスクへの対応力向上へ8割の企業が具体的な取り組みに着手
地政学リスクへの対応高度化へどのような取り組みをしているか、との問いでは8割超の企業が何らかの対応に取り組んでいることが明らかになりました。具体的には「海外拠点・子会社における情報収集・共有」(46%)、「外部アドバイザー支援の活用」(35%)、「専門人材の社内育成」(32%)、「専門人材の採用強化」(26%)などが上位に並びました。一方、「特に対応を行っていない」との回答も17%でした。複雑化する地政学リスクに、どう優先順位を付けて対応すればいいか苦慮する企業の悩みを映していると言えます(図表3)。
海外拠点・子会社における情報収集・共有がトップ(図表3)
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■事業運営の変更を伴う対応も進展
地政学リスクによる悪影響や損失にどのように対応したか、との問いに対しては「サプライチェーンと調達戦略を調整」(57%)、「生産を別の国や地域にシフト」(34%)、「成長領域を別の国や地域にシフト」(26%)との回答が上位に並びました(図表4)。いずれも前年比プラスとなっており、具体的に経営に影響が出た際の対応が着実に進展していることがうかがえます。また、サイバー脅威への対応として5割超の企業がサイバーセキュリティ部門と定期的に連携しています(図表5)。地政学リスクとサイバー脅威が密接に絡み合い、対応も不可分であることを映しています。
サプライチェーンと調達戦略の調整に取り組む企業が増えている(図表4)
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サイバーセキュリティ部門と連携する企業は5割を超える(図表5)
[画像5]https://user.pr-automation.jp/simg/1803/75144/700_594_2023082110332264e2bee2a6eb3.png
■3割が「中国の投資環境の悪化」を指摘、投資先としての中国の位置付けに変化も
直近1年間の中国の投資環境を聞いたところ、3割超が「悪化した」と答え、「改善した」のは6%にとどまりました。今後3年間での中国事業への投資の位置付けについて、優先投資先との回答は54%と前年比14ポイント下がりました。サプライチェーンの拠点や市場としての中国の位置付けがじわりと変わりつつある現状が浮かびます。中国に投資する際には「知的財産の保護強化の担保」「規制環境の透明性向上」を重視するとの回答が約6割を占めました。事業展開しやすい環境の整備を求める声が依然として強いことを示唆しています(図表6)。
中国市場への認識がじわりと変わってきた(図表6)
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本調査ではこのほか、台湾有事やロシア・ウクライナ問題などへの対応状況に関するヒアリングなども実施しています。今秋にはこれらの結果を踏まえたより詳細なレポートを発刊する予定です。
【企業の地政学リスク対応実態調査2023】
海外で事業を展開する売上げ規模年商100億円以上の企業に勤務する管理職343名を対象に、2023年8月にオンラインで調査を実施(一部の設問は国内のみで事業を展開する企業にも調査)。調査対象とした企業は製造業、サービス業など産業全般をカバーした。同様の調査は2019年3月、2021年8月、2022年8月に実施しており、今回が4回目。
以上
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