プレスリリース
洗浄剤(ケミカル)とデジタル、2つの視点からのアプローチが効果的
衛生管理の世界的リーディングカンパニーであるエコラボの日本法人、エコラボ合同会社(本社:東京都中央区、代表:下元 紳志)は、2023年6月27日(火)と28日(水)にウェビナー「食品製造工場のCIPにおけるエネルギー削減」を開催しました。
食品製造工場においてもエネルギー削減が大きな課題
現在、多くの国と企業が気候変動対策としてカーボンニュートラルに取り組んでいます。加えて、昨今の電気・ガス料金などをはじめとしたエネルギー関連コストの高騰は企業の利益を圧迫しており、より成果を伴うアクションが求められています。これまでお客さまの持続可能な目標の達成に向けたサポートで多数の実績を持つエコラボは、食品製造工場のCIP(Cleaning In Place:機器を分解することなく機器内部を定置で自動的に洗浄するシステム)に着目し、洗浄剤とデジタルの2つの視点からエネルギー削減のためのアプローチを紹介しました。
<第1部:洗浄剤からのアプローチ>
洗浄に影響を及ぼす重要な4つのファクターとして「温度」、「物理力」、「化学力」、「時間」があります。4つのなかでも「温度」は、特に重要なファクターです。温度上昇によって、汚れの溶解度や汚れと洗浄剤の化学反応速度が高まり、洗浄剤濃度を上げるよりも大きな洗浄力を得ることができます。しかし、洗浄温度を上げるとエネルギーコストも増加してしまうため、エネルギー削減の観点では洗浄力を維持しながら洗浄温度を下げるという技術的な課題がありました。
非加熱機器表面向けの低温CIP洗浄プログラム「アドバンティス CRプログラム」
エコラボでは、このような課題を解決する「アドバンティス CRプログラム」を提供しています。非加熱機器表面を低温(40-45℃)で洗浄することを目的としたプログラムで、低温洗浄により蒸気エネルギーの使用を削減できるほか、CO2排出量削減、洗浄・昇温時間の短縮などを実現します。
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「アドバンティス CRプログラム」は、アルカリ洗浄剤「アドバンティスCR30」と低温洗浄用添加剤「アドバンティスCRアクチベーター」の2液を混合して使用し、洗浄成分がお互いに作用することで洗浄温度を下げても変わらぬ洗浄力を発揮します。
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一般的な乳業工場において、非加熱部のCIP洗浄にかかるエネルギー使用量は工場全体の約5-15%(エコラボUS調べ)と言われています。「アドバンティス CRプログラム」の導入により、そのエネルギーの約50%の削減※が期待できます。
※削減効果は工場の規模や設備によって異なります。ユニット別では、シングルユースCIPの場合は約60%、リユースCIPの場合は約40%のエネルギー使用量削減が期待できます
【導入実績】
国内乳製品生産工場(リユースCIP)において、蒸気使用にかかる費用として年間50万円、21トン相当のCO2排出量を削減、エネルギー使用量・CO2排出量を45%削減
国内乳製品生産工場(シングルユースCIP)において、蒸気使用にかかる費用として年間194万円、61トン相当のCO2排出量を削減、エネルギー使用量・CO2排出量を63%削減
<第2部:デジタルからのアプローチ>
近年、家電をはじめとして私たちの生活の中に浸透しつつあるAIですが、エコラボでは食品衛生マネジメントにおいても活用すべくデジタルテクノロジーの開発を進めています。これまで食品衛生マネジメントはSSOP(衛生標準作業手順)による運用が主でしたが、エコラボが展開するテクノロジーによってデータを集積・可視化し、ゆくゆくはデータの統合からAIによる解析、そして汚れの状況を把握し洗浄プログラムを選定・提案するなど、自動の予測や制御が可能となる未来を目指し、デジタルイノベーションを推進しています。
工場全体のCIPを監視し最適化するデジタルソリューション「3DTRASAR Technology for CIP」
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「3DTRASAR Technology for CIP(以下:3DT CIP)」はCIPの見える化から分析、ビジネスでの活用を実現するデジタルソリューションです。工場のセンサーやポンプなどの関連機器からCIPに関するデータをサーバーに取得してクラウドに集約し、PCやスマートフォンからもアクセス可能な状態で洗浄工程や稼働状況を可視化します。そこから得られたデータの分析によって洗浄不良に繋がるリスクの特定やCIPの標準化・最適化の策定が可能となり、お客さまとエコラボの2社間で取り組むことでCIP改善をよりスピーディーかつ継続的に実施し、品質を高めつつユーティリティコストを削減してサステナビリティ推進に貢献します。
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「3DT CIP」導入のステップとしては、可視化とCIPのばらつきを抽出するための条件(エクセプション)設定、ばらつきを無くす標準化、そしてさらに最適化とモニタリングがあります。多くのお客さまが最適化に関心を寄せますが、導入工場での平均エクセプション発生率は20〜30%と、CIPコストの約5〜15%の削減に繋がる標準化の段階にも大きなオポチュニティがあることが分かります。その次の最適化においては、洗浄性を担保しつつより効率的なCIPを目指してすすぎ時間や昇温時間などの各工程を見直すことで、CIPコスト約10〜25%の削減に寄与します。データ分析によって現場に立ち会う必要なく削減機会を策定できるのも「3DT CIP」の大きなメリットと言えます。
【導入実績】
<標準化事例>乳業工場の原料ラインCIPにおいて、高頻度で長時間のCIPが発生していることを発見。サプライポンプとリターンポンプの動作設定値を修正し、CIPのバランスを改善。年間6,480kWhのエネルギーを削減、432時間を削減、1,440トンを節水、CIPコスト276,000円を節約
<最適化事例>タンクCIPにおいて、すすぎ性に問題がないためバーストリンス回数の削減、薬剤回収・すすぎ時の昇温停止、酸の低温化(85℃から50℃)を検討。すべて実施した場合、年間480kWhの電気エネルギー、20,520kWhの熱エネルギーを削減、32時間を削減、240立方メートルを節水、CIPコスト212,000円を節約
<リスク発見事例>サプライの温度計が1回だけ330℃を示したため継続してモニタリングを行ったところ、しばらく経って異常が頻発するようになり、温度計の故障をすみやかに検知して交換を実施
本件に関するお問い合わせ
フード&ビバレッジ事業部
電話:03-4236-6824(受付時間 9:00-17:00)
メール:Japan-FB@ecolab.com
エコラボについて
エコラボは、水、衛生、感染予防のソリューションとサービスを提供する世界的サステナビリティリーダーです。数百万に及ぶお客さまの信頼されるパートナーとして、人々と大切な資源を守ります。1世紀にわたるイノベーションを基盤に、年間140億ドルの売上高、47,000人以上の従業員を有し、世界170カ国で事業を展開しています。エコラボは、科学に基づく包括的ソリューション、データ活用によるインサイト、世界レベルのサービスの提供を通じて、食品安全の促進、清潔で安全な環境の維持、水・エネルギー使用の最適化を実現します。エコラボの革新的なソリューションは、食品、ヘルスケア、ライフサイエンス、ホスピタリティ、産業分野におけるお客さまのオペレーション効率とサステナビリティを改善します。詳しくは www.ecolab.com をご覧ください。
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