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独立行政法人製品評価技術基盤機構

NITE、ベルトコンベア点検の品質向上と業務効率化を可能にする技術「スマート保安技術カタログ第7号案件」を公開

(Digital PR Platform) 2023年05月12日(金)11時00分配信 Digital PR Platform

〜熟練技術に代わるトルクセンサを用いた点検〜

 独立行政法人 製品評価技術基盤機構 【NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原】が事務局を務める「スマート保安プロモーション委員会」は、株式会社三和テスコが開発した『ベルトコンベアローラの軸受損傷を早期検知する技術』を、従来の点検を代替するスマート保安技術として承認しました。本技術は、「スマート保安技術カタログ(電気保安)第7版」に掲載し、2023年5月12日よりNITEのホームページで公開しています。
スマート保安技術カタログ >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan_catalog.pdf
(本技術は、要素 00004-P1(資料1.1)〜要素 00004-P7(資料3.2)に掲載)

 ベルトコンベアの損傷は、火力発電所等において火災の原因になっており、一度火災や運転停止が発生すると、再稼働まで相当の時間を要する場合があるため、損傷を早期に軽微な段階で、人間の感覚に頼らずに検知できる点検技術が求められていました。本技術はベルトコンベアローラの異常をトルクセンサによって検知し、結果をコンベアから離れたところに表示することで、早期の異常検知、点検作業の安全化につながります。
 当委員会で本技術の妥当性評価を行い、電気保安品質の経済的かつ効果的な向上が期待できることが認められました。これにより事業者は、ベルトコンベア点検業務の品質向上、効率化及び安全確保が可能となります。また、この技術は石炭火力発電所やバイオマス発電所だけでなく、粉じんの多い劣悪な作業環境におけるベルトコンベア等、多種多様な施設でも広く利用が可能です。


[画像1]https://user.pr-automation.jp/simg/2526/71190/645_264_20230511103210645c459a91279.png

図1 ローラ軸受損傷検出装置(トルクセンサ)の外観図


「ベルトコンベアローラの軸受損傷を早期検知する技術」について

【背景】
 火力発電所やバイオマス発電所などでは、石炭やバイオマス燃料等の搬送のためにベルトコンベアが利用されていますが、ベルトコンベアが損傷によって過熱し、石炭等の粉じんに引火することによる火災が発生しております※。
そのため、ベルトコンベアの点検は重要ですが、現状では主に人の目視・聴覚で行われており、ベルトコンベアに巻き込まれる恐れがある危険な作業であることや、熟練者による点検でも見逃しの可能性があることから、点検業務の合理化をしつつ軸受の損傷状態を的確かつ遠隔で確認できる技術開発が求められていました。
 加えて、電気保安の現場では、電気保安人材の高齢化・人材不足が課題となっており、保安品質を確保しつつ効果的かつ経済的な設備監視システムの導入・運用に向け、IoT機器の活用による「デジタル化(人から機械へ)」の推進が期待されています。


【技術の概要】
 本技術は、トルクセンサで摩擦変化を読み取ることで、ベルトコンベアの異常を早期に検知するものです。
ベルトコンベアのベルトを支えるローラの軸にトルクセンサをセットします。損傷等によってローラの回転が重くなる(摩擦が大きくなる)とセンサについているトルクアームが回転します。


[画像2]https://user.pr-automation.jp/simg/2526/71190/650_374_20230511103251645c45c3ca870.png

図2 トルクセンサ概要

 トルクアームが回転すると、先端に接続されているステンレスワイヤと、ワイヤ先に取り付けられた軸受損傷表示装置の色玉が引かれることで、ベルトコンベアのカバーの外からでも、損傷を検知・確認することができる仕組みになっています。
 なお、トルクを検知及び表示する機構は、機械的な仕組みであるため、電源及び制御電線を必要とせず、粉じんが多い場所でも利用が可能な技術になります。


スマート保安プロモーション委員会について

 電気保安の現場では、需要設備の高経年劣化や電気保安人材の高齢化・人材不足、台風や自然災害など様々な課題を抱えています。こうした課題の解決に向け、NITEは経済産業省からの要請を受けて、スマート保安プロモーション委員会を立ち上げました。
 スマート保安プロモーション委員会では、学識経験者等からなる委員が、申請のあった保安管理技術案件の代替性・実効性・経済性などを評価します。また、評価されたスマート保安技術の導入・普及を阻害する要因があれば、その対応策を検討し、国や業界団体への提言も行っています。


[画像3]https://user.pr-automation.jp/simg/2526/71190/614_233_20230511103250645c45c2b9d52.jpg

 図3 スマート保安プロモーション委員会の位置づけ

※出典:「電気保安分野 スマート保安アクションプラン」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/shingikai/safety_security/smart_hoan/denryoku_anzen/20210430_action_plan.html

スマート保安プロモーション委員会 >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan_shiryo.html


スマート保安技術カタログについて

 スマート保安プロモーション委員会による評価の結果、スマート保安技術として妥当と判断されたものは、スマート保安技術カタログに掲載し、NITEのホームページ上で公開しています。本カタログは、電気設備の設置者等が保安技術導入・促進を検討する際の参考資料として活用されることを目的としたもので、「ベルトコンベアローラの軸受損傷を早期検知する技術(技術区分:その他)」は、第7号の案件になります。

スマート保安技術カタログ >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan_catalog.pdf


詳報公表システム

 NITEでは、電力安全センターのホームページ上で詳報公表システムを公開しています。電気事業法に基づく電気工作物に関する全国の事故情報が一元化された国内初のデータベースです。
どなたでもご自由に事故情報の検索やデータの抽出、ダウンロードが可能です。

※詳報公表システム >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/shohopub/search


NITEにおける電気保安の課題解決に向けた取り組み

 NITEでは、経済産業省からの要請を受け、電気保安行政(電気工作物の設計、維持、運用等における安全を確保するための行政活動)を技術面から支援するため、2020年5月に電力安全センターを新設しました。NITEがこれまで培ってきた知識や経験を活用し、経済産業省や関係団体と連携しながら、新しいスマート保安技術の普及啓発活動や規制見直し等の提言を行うなど、電気保安の維持・向上に資する様々な業務に取り組んでいます。

NITE電力安全センターの業務紹介 >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/index.html


用語解説

【スマート保安】
IoTやAIなどの新技術を導入し、産業保安における安全性や効率性の向上を図っていく取り組みのことです。
スマート保安の説明 >>>https://nite-gov.note.jp/n/n91734ca4bbb3

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