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16,227人のオンデマンド授業視聴データを徹底分析 視聴速度を適宜切り替えて受講するのが大学生のトレンド

(Digital PR Platform) 2023年04月28日(金)14時05分配信 Digital PR Platform



近畿大学(大阪府東大阪市)は、デジタルトランスフォーメーション※(DX)の一環として、令和3年(2021年)4月から「KICS(KIndai Creative Studio)オンデマンド授業」を開講しています。
令和4年度(2022年度)は、全キャンパスの学生を対象に共通教養科目(一般教養科目)24科目、学部基礎科目3科目、合計27科目を開講。令和5年度(2023年度)は、新たに起業(アントレプレナーシップ)に関する科目を1科目追加し、合計28科目を開講しています。




今後のオンデマンド授業の活用のため、令和4年度(2022年度)前期/後期にKICSオンデマンド授業の履修者、のべ16,227人が利用した動画視聴システムのログ分析を実施しました。
※ ICTを活用し、教育・研究・働き方を変革し続けること



【本件のポイント】
●令和4年度(2022年度)前期/後期KICSオンデマンド授業の動画視聴システムのログを分析
●視聴時間帯のピークは23時台、視聴速度は高速と低速を切り替えての勉強がトレンド
●のべ16,227人のログデータから、視聴速度と成績評価の相関は見られず


【KICSオンデマンド授業】
近畿大学は、ニューノーマル時代の新たな教育の提供、ならびにポストコロナを見据えた学修環境の整備をめざして、授業のオンデマンド化(動画コンテンツ等を配信し、いつでもどこでも授業を受講できる形式)を推進しています。令和3年(2021年)2月に、高品質な授業動画を継続的に制作するため、音響・動画処理の設備を揃えたスタジオ「KICS」を東大阪キャンパス内に2部屋設置し、平成26年度(2014年度)から先行してオンデマンド授業を開講している通信教育部の知見を生かしながら、通学課程の学生向けオンデマンド授業の制作を進めてきました。YouTubeを筆頭に多くの配信サイトでも標準機能とされているため、受講の際には倍速機能を利用できるようにしています。今後のオンデマンド授業の活用のために、動画視聴システムのログ分析を実施しました。

【ログ分析概要】
対象システム:KICSオンデマンド授業の動画視聴システム
対象者   :
令和4年度(2022年度)前期/後期KICSオンデマンド授業履修者 16,227人
(前期7,052人、後期9,175人)
対象学部  :
情報、法、経済、経営、理工、建築、薬、文芸、総合社会、国際、農、医、生物理工、工、産業理工、短期大学部 ※全学部
ログ件数  :
ログインログ(OS、ブラウザ等)356,276件
視聴ログ(視聴日時、視聴回数、動画再生時間)2,018,738件
操作ログ(各種ボタン、再生バー、倍速変更操作等)2,357,482件 ※ 後期のみ
対象期間  :
令和4年(2022年)4月18日〜8月6日 ※ 前期授業
令和4年(2022年)9月19日〜令和5年(2023年)2月4日 ※ 後期授業

【ログ分析結果】
<概要>
使用機器は、パソコン(Windows、Mac)が約67%、スマートフォンが約32%。視聴時間帯のピークは23時台で、以降の深夜帯も一定割合が視聴していました。倍速変更機能については、総利用件数は167,546回、うち約84%が1.5倍速、残りの約16%が1.5倍速以外の倍速(0.5、0.75、1、1.25倍速)でした。難しい授業では低速での視聴が多く、高速と低速を上手く切り替えて勉強するのが大学生のトレンドといえます。また、授業の質の向上および成績との関連性の分析のため、視聴速度と成績評価の相関関係を調べたところ、相関は弱いという結果が出ました。

(1)受講者が使用している機器
パソコン(Windows、Mac)の割合は約67%、スマートフォンが約32%と、スマートフォンよりもパソコンが多いことが分かりました。使用機器はWindowsが最多。次にiPhone、Mac、Androidと続きます。


(2)視聴時間帯
各授業の最後に受ける小テスト終了時の時刻をカウントしたところ、23時台がピークとなりました。
以降の深夜帯も一定割合視聴があり、自分の好きな時間に受講できるオンデマンド授業の利点を生かしているといえます。
※ 令和3年度(2021年度)は、2:00-4:30にメンテナンスのためシステムを停止
※ 令和3年度(2021年度)ののべ履修者数は4,324人、令和4年度(2022年度)ののべ履修者数は16,227人


(ア)科目ごとの総視聴時間
令和4年度(2022年度)から視聴時間を成績評価に含める(動画視聴時間が極端に短い場合、出席とみなさないなど)可能性があるとアナウンスした科目もあったため、前年度比較で視聴時間が大幅に増えています。
総視聴時間100%超は繰り返し視聴していることを示しており、何度でも視聴できるオンデマンド授業の利点を生かしているといえます。


(イ)授業各回の視聴倍速(令和4年度(2022年度)後期のみ)
1倍速(デフォルト)のまま見ている学生のログは残りません。(全体の2〜3割)
倍速変更機能を使った学生のうち、8割以上が1.5倍速を選択しています。
第12回は受講者が多い科目(データリテラシー入門)で実習を行ったため、1.5倍速の割合が相対的に低くなっています。


(3)ログと成績の相関関係
(ア)視聴完了までの日数と成績の関係
各回の動画公開日から視聴完了までに要した平均日数と成績の関係を分析したところ、成績が優秀なほど視聴完了までの日数が短いことがわかりました。評価(評価点)と視聴完了までの日数の相関係数(2種のデータの関係を示す指標)は0.35986で、弱い相関があることがわかりました。
※ 除籍・退学・休学、不受(受講中断)の学生を除いているため、KICKSオンデマンド授業の総履修者数とは異なる。


(イ)視聴倍速と成績の関係(令和4年度(2022年度)後期のみ)
令和3年度(2021年度)、令和4年度(2022年度)前期に同様の分析を行った際は、Webのアンケート結果で視聴倍速の利用率を集計しましたが、今回は操作ログから集計したため、履修したすべての学生のデータを使って分析を行うことができました。倍速と評価点の相関係数は0.11024で、前年同様、相関は見られませんでした。
(倍速機能使用のログは167,546件で、学生は複数の授業/各回、複数の倍速をクリックしているため、当該学生が一番多くクリックした倍速をカウントしています。また、倍速機能を使ってない学生のログは残らないため、「1倍速」にカウントしています。)
※ 除籍・退学・休学、不受(受講中断)の学生を除いているため、KICKSオンデマンド授業の総履修者数とは異なる。


【分析結果の総括】
情報学部情報学科准教授 越智 洋司(専門:教育情報工学)
前年度と比較してデータ数(のべ受講者人数)が増え、操作ログを用いた客観的なデータに基づいた分析を行ったため、より精度の高い調査結果となっています。
受講者が使用している機器については、昨年度と同様に7割近くがPC(Windows、Mac)からのアクセスであり、学生がPCをオンデマンド受講の主要なツールとして捉えている傾向が見られます。ただし、3割はモバイル端末からのアクセスがあり、モバイル対応は不可欠と言えるでしょう。
視聴時間帯については、データが前年度よりも増えたことで、より視聴傾向が顕著となっています。グラフからは、11時に小さな山が来たあと、おおよそ15時前後の時間帯と22時以降の2つの山がみられます。前者については、オンデマンド講義も通常の講義と同様の感覚で受講しているということが示唆されます。後者については23時台がピークになっていますが、0時台に移ると数は半減しています。KICSオンデマンド授業では、講義動画の視聴期限を動画公開日から2週間後の0時と設定していることから、締め切り間際の駆け込み視聴をしている学生の行動が反映されている可能性があります。
総視聴時間については、令和4年度(2022年度)は視聴を成績に反映させた科目があったとはいえ、ほとんどの科目で100%を超えており、学生はただ漠然と動画を見ているのではないということがわかります。倍速機能を利用している学生が7割近くいることを考えると、倍速機能と組み合わせながら繰り返し視聴していることが予想されます。
話題となった倍速視聴と成績の関係については、今回も倍速視聴と成績に相関はないということが示されました。前回の調査はWEBアンケートを用いた学生の主観に基づいたものであったのに対し、今回は操作ログデータを用いていることから、より客観的な結果と言えます。
視聴完了日数と成績の関係も大変興味深い結果となっています。成績の良い学生ほど早めに課題に取り組む傾向がみられ、計画的な学修習慣を身につけさせることの必要性を示しています。これを受けて、令和4年度(2022年度)から視聴期限を設けたことは適切な取り組みと言えます。令和3年度(2021年度)と比較しても、全体を通して視聴完了の期間が半分以下になっており、未視聴の講義動画を溜め込むことを防いでいます。
今回実施した講義動画の視聴ログの分析は、オンデマンド受講における学生の能力と講義内容とのギャップを埋めるのに役立つものです。学生の学修環境と体験を改善するために、主観的ならびに客観的なデータを組み合わせた分析を今後も継続していくべきと考えます。

【関連リンク】
情報学部 情報学科 准教授 越智 洋司(オチ ヨウジ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/464-ochi-youji.html

近畿大学
https://www.kindai.ac.jp/
情報学部
https://www.kindai.ac.jp/informatics/



▼本件に関する問い合わせ先
広報室
住所:〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3-4-1
TEL:06‐4307‐3007
FAX:06‐6727‐5288
メール:koho@kindai.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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