プレスリリース
ルワンダ国にて、世界に先駆けるGovTech産業創生と行政DXとを同時に推進する「デジタル・イノベーション促進プロジェクト」を始動
2023年3月22日
PwCコンサルティング合同会社
独立行政法人 国際協力機構
神戸情報大学院大学
ルワンダ国にて、世界に先駆けるGovTech産業創生と行政DXとを同時に推進する「デジタル・イノベーション促進プロジェクト」を始動
国際協力機構による技術協力プロジェクトを、PwCコンサルティングと神戸情報大学院大学が受託
PwCコンサルティング合同会社(東京都千代田区、代表執行役CEO:大竹 伸明、以下PwCコンサルティング)と神戸情報大学院大学(兵庫県神戸市、学長:炭谷 俊樹、以下KIC)は、国際協力機構(東京都千代田区、理事長:田中 明彦、以下JICA)より、ルワンダ国向け技術協力プロジェクト「デジタル・イノベーション促進プロジェクト(Rwanda Digital & Innovation Acceleration Project)」を受託し、2022年7月1日に支援を開始しました。
ルワンダ国において、ガバメント・テクノロジー産業(以下GovTech)の創生と、行政デジタル化とを同時に推進する新たな官民連携モデル(ルワンダ・モデル)の開発・展開を支援することで、ルワンダがアフリカにおけるリーディングICTハブとなることを目指します。
【プロジェクトの概要】
2022年9月にルワンダ国ICT省と全体戦略の方針を合意し、現在は 1.ルワンダ・モデル実行管理の枠組み設計/官房機能の立上げ支援とともに、2.行政サービスのデジタル化支援(PoC)や、行政サービスデジタル化をGovTechが担う上で必要となる3.法改正(公共調達法)の支援、GovTechを含む4.スタートアップ(起業家)支援に着手しています。本プロジェクトは2026年6月まで行われる予定です。
図: 2022年9月にルワンダ政府と合意された協力・支援項目@〜C
[画像1]https://user.pr-automation.jp/simg/1803/69353/700_394_202303201416046417ec14d8afd.jpg
1.全体戦略策定/実行管理の枠組み設計/官房機能立上げ支援
ルワンダ・モデルを具体化するためには、各省庁や世界銀行等のドナーが展開する関連プロジェクトを総合的かつ有機的に実行管理するための枠組み・方法論や、同方法論をもって各省庁や他ドナーとの計画調整を担う官房機能(ICT省内)が必要であり、この設計と立上げを支援しています。
ルワンダは歴史的に政府・民間の距離が近く、官民連携の素地が他のアフリカ諸国と比べて整っていることから、GovTech産業のハブとしての位置取りを目指す戦略の有効性が見込まれています。そこで、ルワンダ・モデルを2022年9月にJICAとともに提案し、ルワンダ国ICT省が合意しました。また同戦略に対し、世界銀行やアジアインフラ投資銀行からの借款(※1)をもってルワンダ政府が推進しようとしているデジタル行政・社会基盤構築プロジェクトを同期させることで、ルワンダ国内GovTech産業に対する大規模な需要創造・景気刺激を図ります。
2.行政サービスのデジタル化支援(PoC)
ルワンダ政府と共に、特に行政や社会へのインパクトが大きく、かつデジタルサービス資産の国外輸出を見込むことのできる5つの行政サービスを選定しました。現在、同デジタルサービスの開発および試験に向けた計画の策定を、各省CDO(※2)と共に推進しています。なお、計画詳細は2023年5〜6月頃の公開を予定しており、その後ルワンダ国内GovTech企業の選定を経て、開発および試験を実施します。
ルワンダ政府の計画では、全ての公共サービスや行政事務(1,519)のデジタル化を2024年6月までに完了させることが目標に掲げられており、既に859のサービス・事務デジタル化の完了目途が立っています。GovTechとの官民連携により、残りのサービス・事務(660)デジタル化の加速を目指しています。
3.公共調達法の改正支援
伝統的な調達方式では、行政サービスデジタル化を図るうえで必須となるアジャイル・アプローチの採用が難しく、そもそもGovTech企業への発注自体も困難であるため、ルワンダ・モデル実現のためには、公共調達法改正が必要であるとの課題がルワンダ政府から提起されました。そこで、PwCコンサルティングは、ルワンダ政府に対し、公共調達法改正のための大臣令(※3)のドラフト作成を支援しました。なお、2.のPoCは、本改正法に基づく最初の試みとなることから、同法の運用試験も組み込んだスプリントを計画しています。
4.GovTechスタートアップを含む起業家支援
首都(Kigali)と第二地方都市(Musanze, Huye, Agahozo, Nyagatare, Rubavu, Muhanga, Rusizi)に設置されたFab Lab等のイノベーションセンター・ネットワークを活用し、スタートアップ起業家支援を推進しています。本支援項目は、JICAが2017年〜2022年に実施した「ICTイノベーションエコシステム強化プロジェクト」を発展的に継承するものです。
※1:約2億米ドル
※2:Chief Digital Officer
※3:閣議決定を経て正式発令予定
【プロジェクトの背景】
1.Digital Leapfrog現象の本格化
近年、多くのサブサハラ・アフリカ諸国で、スマートフォン普及率が70%を超え、通信コストも80%以上減少するなどICT環境の劇的な改善が図られています(※4)。 その結果、ICTを通じた各種サービス包摂(金融・医療・教育・公的サービスなど)が急速に進展し、たとえば金融サービスでは、ATM取引やネットバンキングといった中間ステップを省略して、突如として巨大なモバイルバンキング・プラットフォームが登場するDigital Leapfrog(蛙の跳躍)と呼ばれる現象が起きています。
2.行政デジタル化を大規模に推進するGovTech企業の登場
このようなDigital Leapfrog現象は、社会保障(年金・保健医療・生活保護)や警察・教育などの公共サービス、社会・経済インフラ整備、文化財・環境保護といった公共領域においても例外ではありません。そして、行政のDigital Leapfrog推進役として期待・注目されているのがGovTechであり、ルワンダ以外でもドイツやシンガポール、エストニア、インド等で多くの事例を見ることができます。
3.全世界・数千社以上のユニコーン企業がGovTech領域から誕生する可能性
ユニコーン企業とは10億ドル以上の企業価値評価額(時価総額など)をもつスタートアップの総称です。もし、政府の公共調達予算の10%をGovTechに振り向けるとした場合、サブサハラ・アフリカ全体でのGovTech産業規模は少なくとも年間500億米ドルとなり、これは50社以上のユニコーン企業を生み出すのに十分な規模となります。たとえばルワンダ政府は、公共調達予算の執行目標として、スタートアップ調達10%を掲げています。 また、同様の計算を踏まえると、全世界のGovTech産業規模は1兆米ドルとなり、これは1,000社以上のユニコーン企業誕生を示唆します。
4.ルワンダ国で誕生したGovTech産業が世界を席巻する可能性
多くの公共サービスや行政事務は、国・地域によって大きく異なるものではなく、行政デジタル化に先行した国や地域のGovTech産業が世界を席巻する可能性は大きいと考えられています。そこでルワンダ国 ICT省は本プロジェクトを通じて、世界進出可能なGovTech企業を複数生み出すことで、ルワンダ国内に競争力ある産業を興そうとしています。
(※4):Cable.co.uk, 2022. “Worldwide mobile data pricing 2022” Accessed March 1, 2023. https://www.cable.co.uk/mobiles/worldwide-data-pricing/
【今後の展望】
JICAにおいて、「ルワンダ国 デジタル・イノベーション促進プロジェクト」は、長年取り組んでいるICT産業振興支援の集大成です。ルワンダ国への支援を通じて得られた知見や経験は体系化され、他地域・国にも展開されることが期待されています。PwCコンサルティングにおいても、PwCルワンダやPwCドイツなどと連携しつつ、GovTech産業や行政デジタル化の潮流や事例に係る調査および研究を実施しており、本プロジェクトを通じ、実効性ある世界最先端の戦略・方法論の開発・支援を進めて参ります。
国際協力機構 ルワンダ国 デジタル・イノベーション促進プロジェクト 紹介サイト
https://www.jica.go.jp/project//rwanda/011/index.html
以上
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