• トップ
  • リリース
  • アイルランド:火と氷の国....そしてデジタル・インフラストラクチャーの国?

プレスリリース

  • 記事画像1
  • 記事画像2
  • 記事画像3
  • 記事画像4
  • 記事画像5

シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

アイルランド:火と氷の国....そしてデジタル・インフラストラクチャーの国?

(Digital PR Platform) 2022年12月06日(火)15時00分配信 Digital PR Platform

人口が少ないアイスランドは、ハイテク産業の中心地とは思えないかもしれません。しかし現地を視察したことで、 アイスランドがデジタル・インフラストラクチャー産業にとって重要な国であるということが分かりました。



[画像1]https://user.pr-automation.jp/simg/2027/66018/150_150_20221206100311638e94cf3e007.png
ベン・フォスター 
ポートフォリオ・マネージャー、
グローバル・リアルアセット・セキュリティーズ

5年前、エクイティ・リサーチのためにアイスランド行きの飛行機に乗る自分を想像もしていませんでした。この間に変化したこととして、インターネットの使い方が劇的に進化したことが挙げられます。企業はクラウド・データ・ストレージを採用し、人工知能のAIは急速に人間に追いつき、Netflixにより、オンデマンドで一気にビデオが見られるようになりました。

私たちは、グローバルな都市に着目したテーマ株式投資家として、このようなトレンドがデジタル・インフラストラクチャー産業、すなわちインターネットの基盤を形成するデータセンター、携帯通信タワー、光ファイバーケーブルに対する大規模な需要を生み出すのを目の当たりにしました。当初、このデジタル・インフラストラクチャーはロンドン、ワシントンDC、シンガポールといった世界の主要な都市を中心に構築されました。アマゾンやグーグルのような先駆的なハイテク企業は、当然ながら、顧客が住む場所や、働く場所に当然のように引き寄せられたからです。

しかし5年たち、資源は不足し、地価は高騰し、データの接続性は改善されました。また、大手ハイテク企業は、自社サービスが最も急速に成長している地域に目を向けつつあります。マドリード、ウィーン、ベルリンといったヨーロッパの先進都市や、私たちが「デジタル・フロンティア」と呼ぶ新興国の主要都市などです。
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/insights/thought-leadership/why-emerging-markets-could-be-the-next-digital-frontier/
(デジタル・フロンティアの詳細についてはこちらをご覧ください)。

欧州がエネルギー危機に直面するのと同時に、サステナビリティは企業課題のトップに躍り出ました。人口37万6千人の火山島であるアイスランドは、一見するとこのようなトレンドの中心地とは思えません。実際、市場調査をしていても、グローバルな都市からはほど遠いと言えるでしょう。空港から人口の6割が住む首都、レイキャヴィークまではタクシーで40分、広大な溶岩地帯を通り抜けます。遠くには雪をかぶった山々、時を止めたような湖、そして色鮮やかな家々が見えます。

しかし街外れに近づくと、リオ・ティント・アルキャン社所有の、毎年20万トン以上のアルミニウムを生産する、長さ1キロメートルも続く製錬所があることに驚かされます。製錬所は、水力発電や地熱発電を利用できるアイスランドならではの利点を活かして1970年代に進出、2008年には漁業を抜いて、アルミニウムの製錬はアイスランドの主要産業となりました。



[画像2]https://user.pr-automation.jp/simg/2027/66018/650_284_20221206100952638e9660cc18a.PNG

10年ほど前からは、国営電力会社のLandsvirkjunが運営する産業用電力インフラの恩恵を受け、デジタル・インフラ産業がこれに加わりました。また、この小さな島と北米、英国、欧州大陸を結ぶ海底ケーブルの普及もアイスランドの持つ魅力の一つです。ホテルに着くと、予想通り寒いこの国の気候は、電力を大量に消費するコンピュータ・サーバーの自然換気冷却に最適であることを痛感させられます。 私はアイスランドで10周年を迎えた大手データセンター事業者のVerne Global社を訪問するため、アイスランドに滞在しました。経営陣と一緒に時間を過ごし、デジタル・インフラ資産を実際に確認し、基盤となる顧客に会うことは、事業の可能性を検討する際に、投資する上で問題がないか、質を確かめるための素晴らしい手段です。

Verne社はケプラヴィーク空港に隣接する元米海軍基地にあり、到着時のセキュリティは驚くほど厳重です。厳重なチェックインの後、コントロールセンターを訪問し、広大なデータホールを歩き、ユニークな冷却インフラ設備を見学しました。2021年、この施設の顧客は1万世帯相当の電力を使用しましたが、二酸化炭素排出量はわずか70世帯相当でした。こうした実績は、2021年9月に同社を買収し、Verne社の新しいオーナーとなった、投資ファンドのDigital 9の関心を引き、次の成長期を迎えることができました。

約10年間の歳月を経て、顧客の需要は急速に高まっており、同社はまさに今後の飛躍が予想されるステージに達しています。現地では、2012年に同社の最初の主要顧客の一社となったBMWから、高効率で低炭素のコンピューティング能力の魅力について話を聞く機会を得ました。効率性を説明する方法の一つは、電力使用効率(PUE)を限りなく1に近づけることです(下図参照)。



地域全体の電力使用効率(PUE)レベル


[画像3]https://user.pr-automation.jp/simg/2027/66018/650_327_20221206100326638e94de9a683.PNG


投資アイデアは、より深く、より多様な会話が可能な、リサーチ時の出張先で形成されることがあります。夕食の席で、メタバース、氷河研究、グローバルな接続性といった、データセンター業界の未来を形作るあらゆる力に関わる専門家の話を聞くことができたことは、予想外の出来事でした。石油やガスの供給が滞り、欧州全土で価格が高騰する中、Verne社は現在、欧州の主要都市で同業他社より75%安いサービスを提供していると推定されます。

Verne社には事業を拡大する余地があり、Landsvirkjunとの合意により、他地域では不足しつつある再生可能な電力容量にアクセスすることができます。また、アイスランドとアイルランドのゴールウェイを結ぶ1,700kmの海底ファイバーケーブルが完成したばかりであり、2023年にサービスの提供が開始される予定です。この開発には1億米ドル以上の費用がかかっており、アイスランドはデジタルハブとして欧州地域の多くの企業にとって、開かれた存在となるはずです。

海底ファイバーケーブルの接続


[画像4]https://user.pr-automation.jp/simg/2027/66018/550_278_20221206100329638e94e1f3cc7.PNG


帰りの飛行機で入力したメモや大量の写真を整理しながら、インセンティブや資源の効率的な配分について考えていました。なぜ、全てのコンピューター・サーバーをアイスランドに置かないのか?答えは単純で、レジリエンスとスピードの両者のバランスが求められるからです。

リスクを管理するために分散されたポートフォリオを構築しようとするのと同様に、デジタル・インフラストラクチャーの分散化は、より耐久性のあるインターネット環境を作り出します。これは、金融取引所のように、障害が発生すると、規制上、多額の罰金が課されるような、リスクの高いアプリケーションにとって非常に重要です。海底ケーブルがトロール船によって切断されたり、火山噴火によって飛行機が欠航した場合においても、デジタル・インフラ業界はバックアップ用のデータケーブル、電力貯蔵施設、別の場所にバックアップ施設などを十分に備えています。

このようなユーザーにとって、1ミリ秒単位の遅延(レイテンシー)や障害の発生は極めて重要であり、消費地やエンジニアに近い場所にサーバーを設置するために、プレミアムのある水準の賃料を支払います。同様に、私たちの多くは、コンテンツを読み込んでいることを伝える回転する歯車を見ながら数秒待ち、クリックしたり、画面を更新したりします。このようなタイプのワークロードは、依然として人口の多いハブの近くに格納する必要があります。したがって、ロンドンなどの立地に恵まれた施設を持つデータセンターの所有者は、引き続き強い需要を享受できるはずです。供給の制約と相まって、データーセンターの賃料が上昇する条件は整っています。

一方、接続性において厳しい時間的制約を必要としないアプリケーションを運営する顧客は、サービスに付加価値を見出しているものの、賃料価格の観点から一等地の不動産を占有すべきかどうか、よく考えるようになるかもしれません。BMW の自動車エンジニアは、アイスランドのサーバーを使用し、複雑な空力シミュレーションを夜間に実行し、朝にその結果を確認しています。VW Group もVerne社のテナントであり、今月、カーボンニュートラルな IT 戦略への取り組みを改めて表明し、今後さらにコンピューティングリソースを北欧にシフトしていく予定です。

データへの即時アクセスをあまり必要としないITチームは、パフォーマンス、二酸化炭素排出量、コストの最適化を図ることができます。上記をふまえると、データセンターの顧客は、「1平方フィートあたりのドル価」や「電力1キロワットあたり」に加えて、「1ミリ秒レイテンシあたりのドル価」や「CO2換算排出量1kgあたり」を重要な指標とする可能性があると考えられます。

電力価格の高騰と不安定な電力価格が安定した後も、サステナビリティは引き続き最重要課題です。炭素利用効率や水利用効率といった標準化された指標に関して、業界の透明性が向上し、顧客や政府、投資家がより多くの情報に基づいて資源配分を行うことができるようになることを期待しています。このようなトレンドが実現すれば、火と氷の国におけるデジタル・インフラストラクチャー産業には明るい未来が待っていると思われます。

【本資料に関するご留意事項】


本資料は、情報提供を目的として、シュローダー・インベストメント・マネージメント・リミテッド(以下、「作成者」といいます。)が作成した資料を、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が和訳および編集したものであり、いかなる有価証券の売買の申し込み、その他勧誘を目的とするものではありません。英語原文と本資料の内容に相違がある場合には、原文が優先します。
本資料に示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。
本資料は、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、弊社はその内容の正確性あるいは完全性について、これを保証するものではありません。
本資料中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。
本資料中に個別銘柄についての言及がある場合は例示を目的とするものであり、当該個別銘柄等の購入、売却などいかなる投資推奨を目的とするものではありません。また当該銘柄の株価の上昇または下落等を示唆するものでもありません。
本資料に記載された予測値は、様々な仮定を元にした統計モデルにより導出された結果です。予測値は将来の経済や市場の要因に関する高い不確実性により変動し、将来の投資成果に影響を与える可能性があります。これらの予測値は、本資料使用時点における情報提供を目的とするものです。今後、経済や市場の状況が変化するのに伴い、予測値の前提となっている仮定が変わり、その結果予測値が大きく変動する場合があります。シュローダーは予測値、前提となる仮定、経済および市場状況の変化、予測モデルその他に関する変更や更新について情報提供を行う義務を有しません。
本資料中に含まれる第三者機関提供のデータは、データ提供者の同意なく再製、抽出、あるいは使用することが禁じられている場合があります。第三者機関提供データはいかなる保証も提供いたしません。第三者提供データに関して、本資料の作成者あるいは提供者はいかなる責任を負うものではありません。
シュローダー/Schroders とは、シュローダー plcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。





関連リンク
シュローダーの視点
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/insights/

このページの先頭へ戻る