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妊産婦・乳児救護所開設訓練で学生との研究結果を反映した改訂版開設キットの有効性を検証〜文京区と大学、学生と教職員の協働型の救護所開設をめざす〜

(Digital PR Platform) 2022年11月30日(水)14時05分配信 Digital PR Platform



日本女子大学(東京都文京区、学長:篠原聡子)は、2022年11月10日(木)、文京区と災害用の協定を結んでいる妊産婦・乳児救護所(以下「本救護所」)の開設訓練を行いました。




 本学では、文京区が2022年2月に完成した妊産婦・乳児救護所開設キット(開設手順書)を参考に、学生とともに学術的検討を行い、円滑に運営できるよう本学向けにカスタマイズした開設キット(改訂版開設キット)の開発を行いました。その後、文京区防災課と学生の社会連携型の研究として、より本学の現場環境に即した手順に改善するため協議や実習を重ねました。今回の訓練では、その研究結果を反映した改訂版開設キットの有効性を、実際に担当する区職員と大学職員が検証しました。

■取り組みの背景
 2016年、文京区が全国で初めて本救護所の設置を決定しました。本救護所は、地震等による家屋の倒壊、又は倒壊の恐れがある場合に、妊産婦・乳児のみを一時的に受け入れる場所です。本学は文京区と災害協定を結び、開設の指定を受けている4大学のひとつです。
 2016年の熊本地震では、文京区長から熊本市長へ乳児のいる母子専用避難所のアイデアを提案した経緯があり、実際に乳児をもつ母親のための避難所が開設されました。しかし準備・周知が充分ではなく、想定していた活用がなされなかった実情があります。そこで本学は、事前に準備することでスムーズな本救護所の設置を実現するため、文京区と協力して専用の開設キットを開発し、内容の検討を重ねてきました。


■地域協働をめざす本学独自の研究「学生による事前検討×社会連携による演習」
 JWU社会連携科目のひとつである「地域・企業と未来を創るクリエイティブ・プロジェクト演習A」(※1)の授業で、本救護所の開設キットを取り上げています(授業担当:家政学部住居学科 平田京子教授)。授業では、本救護所の運営体制を理解し、運営準備のフローや母子の受け入れ方法、スムーズな運営はいかにしてできるかを討論しながら、文京区防災課と実習を重ねました。そして学生とともに、より本学の施設や動線など現場に即した改訂版開設キットを提案、実際に訓練してみて改善点を検討しました。
 本学で救護所を題材に研究・教育を進める目的は、救護所の運営とその事前準備について、文京区と本学、ならびに教職員と学生の協働をめざしていることです。大学の学術的知見を反映した形で教職員が救護所を開設・運営すること、学生にとっては社会に実際に存在する課題解決をはかり、社会と結んで実践し、提案する社会連携型研究となるよう取り組んでいます。
 実際に開設する際は、不測の事態も頻発すると予想され、事前に検討と演習を重ね、大学と社会が常に関心を持ち、連携しておくことが重要です。今回の訓練で得られた有効性と改善点を今後の研究にいかし、文京区と本学が交流しながら、避難者同士が助け合う避難所運営をめざしてまいります。



■開設キットのおもな検討・改訂内容

・本学の避難者の受け入れ方法
・公平な居住スペースの確保
・新型コロナウイルス感染症対応
・班分けとタイムラインに基づく担当業務の合理化、避難者受入の迅速化
・各業務の流れを1枚で把握できる全体のフローチャート作成 など



■11月10日(木)の訓練概要
[内 容]
 各班への業務指示、施設内外の安全点検、掲示物の貼り出し、受付の設置、医療スペースの準備(ブルーシート・毛布の設置、ダンボールベッドの組み立て)、災害時用トイレの準備、居住スペースの設営

[参加者]
 日本女子大学(職員、学生)、文京区防災課職員、参集職員(シビックセンターに勤務する職員・幼稚園・保育園等の区有施設勤務職員)

[参加者からの感想・意見の一部]
 実践的な訓練が出来て良かった/掲示物の順番を示して欲しい/リーダー担当は報告を受けるだけで各班の動きを把握できないので、各班の動きを体験する機会が欲しい/備品を常に身につけられるグッズが欲しい/利用できない方に案内する一般避難所の地図の掲示が必要ではないか など。


■家政学部住居学科 平田京子教授のコメント
 日本女子大学は本救護所開設場所として、スムーズに開設することに使命感を持っています。1923年の関東大震災の際、本学在学生と卒業生、教職員が上野公園での避難所運営において、特に女性と子どもの健康状況の改善・生活再建を大規模に支援したこと、最も被害の大きい本所地域に分け入り、被災者調査をして被災者生活ニーズを東京府(当時の東京都を表す)に報告したという記録があり、当時から現在までも、女子大学として女性に寄り添う支援は重要だと考えています。また、学生自身が女性であるため、母子、特に赤ちゃんが対象であるこの研究に関心を持ち積極的に参加しています。
 今回の訓練は、業務に戸惑う班は見受けられず想像以上にスムーズに遂行できました。実際に開設キットを広げてみて実践する、現場で考えてみる様子が見られた点が大きな成果でした。重要なことは、開発よりもこの取り組みを広げることです。開設の際には、たくさんの方にお手伝いいただけたら助かりますし、ボランティアに興味を持つ学生に学内で関われる機会をつくることが不可欠だと考えています。本学が関東大震災時にすでに支援者とすぐれた支援策を生み出していたことを現代に引き継ぎ、多くのボランティア人材を育成していくことにも繋げていきたいと思います。


■開設キットの開発および訓練に参加した学生のコメント
 私は災害が発生した時に人がどのように動くかを研究してきました。その結果を反映した開設キットを検証できたことに感動しました。参加者からいただいたご意見を参考に改善していきたいです。(住居学科居住環境デザイン専攻4年 小池優芽さん)
 学生のみで行った演習を踏まえ、収容人数や緊急搬送コーナー、受付方法を改善しました。その一部を今回検証できたことが有意義でした。今後も利用者にとって過ごしやすい救護所になるように考えていきたいです。(住居学科居住環境デザイン専攻4年 礒村栞さん)


■文京区防災課 有波氏のコメント
 令和3年度に開設キットを納品してから初めての訓練でした。実際に救護所開設に携わる大学職員と文京区の参集職員が訓練を行ったことで、キット内の手順書の不明瞭さ等の課題やご意見をいただけたので、今後改善してまいります。
 防災は「自助・共助」が重要です。発災時に救護所を開設するためには避難された方や大学職員の皆様の力が必要になります。他の救護所や避難所でも、日本女子大学のような自主的な取り組みを区として推進していきたいと思います。


(※1)JWU社会連携科目
 開設キットの研究は、JWU社会連携科目「地域・企業と未来を創るクリエイティブ・プロジェクト演習A」として実施しています。「クリエイティブ・プロジェクト演習」は、所属する学部を超えて、地域や社会が抱える多様な課題について地域や企業等と協働して実践的に取り組むことにより、女性が社会で力を発揮するための豊かな行動力を身につける科目です。学生たちは自身の学部での専門の学びを生かし、当事者意識を持ちながらクリエイティブな提案力や協働力を身につけることを目標としています。


【日本女子大学について】
 日本女子大学は、日本初の組織的な女子高等教育機関として創立し、昨年120周年を迎えました。私立女子大学唯一の理学部を有し、文理融合の教育環境をもつ女子総合大学です。幼稚園から大学院までの一貫教育、さらに卒業生以外にも門戸を開くリカレント教育など、誰もが生涯を通じて学び、成長し続ける社会を創るための機会を提供しています。多様で非連続に変化する社会において、新しい明日を共に創る人材を育てています。詳しくは、 https://www.jwu.ac.jp
をご覧ください。

▼本件に関する問い合わせ先
学校法人 日本女子大学 入学・広報部 広報課
住所: 〒112-8681 東京都文京区目白台2-8-1
TEL:03-5981-3163
メール:n-pr@atlas.jwu.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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