プレスリリース
〜光出力700mWを実現するFRL1441シリーズのサンプル出荷を開始〜
● C-band 帯ラマン増幅器用ポンプレーザで800mWの高出力化を16W程度の低消費電力で達成
● 同技術を適用し、業界最高水準である光出力700mWを実現するラマン増幅器用ポンプレーザのサンプル出荷を開始
● ラマン増幅器のキーデバイスであるポンプレーザの高出力化により、800Gbps超、1.6Tbpsの大容量通信網構築の実現に貢献
古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区大手町2丁目6番4号、代表取締役社長:小林敬一)は、C-band帯ラマン増幅器用ポンプレーザで800mWの高出力化を16W程度の低消費電力で達成しました。また同技術を適用して、業界最高水準である光出力700mWのラマン増幅器用ポンプレーザFRL1441シリーズ(図1)を開発し、本年8月よりサンプル出荷を開始しました。
■背景
5Gの実用化において必要不可欠な中長距離光通信網の通信容量拡大に向けて、伝送速度を従来の100-400Gbsから、今後800Gbps、さらには1.6Tbpsへと高速化する技術開発が進んでいます。この高速伝送には、信号受信側のOSNR(Optical Signal to Noise Ratio、注1)の劣化を補うため、ラマン増幅器の高性能化が求められます。
1989年にNTT殿が半導体励起光源による光増幅器(そのときに使用された光源の光出力は40mW、注2)を世界で初めて発表して以来、当社は20年以上に渡りラマン増幅器のキーコンポーネントであるポンプレーザを製造するリーディングカンパニーとして光通信の発展に貢献してきました。これまでにC-band帯において製品として業界最高水準の光出力600mWを実現し、更なる高性能化を目指してきました。
■内容
当社が長年培ってきたInP(Indium Phosphide、注3)半導体チップ技術と光モジュール組立技術により、ラマン増幅器用ポンプレーザにおいて業界最高水準である800mWの高出力化を達成しました(図2)。本開発にあたっては、半導体レーザチップのキャビティ長や活性層構造の最適化による高効率化、さらにポンプレーザの組立における重要な技術である光ファイバへの高い光結合効率を実現しています。この技術を適用して、業界最高水準である光出力700mWのラマン増幅器用ポンプレーザFRL1441シリーズを開発し、本年8月よりサンプル出荷を開始しました。
これにより、更なる高速伝送・容量拡大に伴う長距離伝送でのOSNR改善のほか、既存システムにおいてもポンプレーザの使用個数の削減(例えば同一波長のポンプレーザの使用個数を2個から1個に)によるラマン増幅器の小型化やポンプレーザの省電力化(当社比37%削減)などが期待されます。今後も高性能化に向けた開発を継続し、光出力800mW超の製品化を目指します。
本開発の成果は本年10月18日にISLC(International Semiconductor Laser Conference、島根県松江市)にて発表します。
当社はレーザ事業のリーディングカンパニーとして今後も高性能な半導体レーザ光源製品の研究・開発・製品化を行い、光通信の発展を通じて真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
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図1.FRL1441シリーズ
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図2.開発品の電流ー光出力特性、チップ温度25℃
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(注1)OSNR(Optical Signal to Noise Ratio):光信号 対 雑音比を表すパラメータ。
(注2)Appl. Phys. Lett. 54, 295 (1989), 295 Efficient Er3+‐doped optical fiber amplifier pumped by a 1.48 μm InGaAsP laser diode, IEICE PIONEERS WEBINARシリーズ第一回 EDFA長い冒険の旅 中沢正隆氏他より
(注3)InP(Indium Phosphide):レーザダイオードチップ、高速トランジスタの製造に使用されるIII-V族半導体の一種。
■古河電工グループのSDGsへの取り組み
当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。
古河電工グループのSDGsへの取り組み
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