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【京都産業大学】金星気象データセットを世界で初めて作成 -- 英国学術雑誌Scientific Reportsに掲載

(Digital PR Platform) 2022年09月21日(水)14時05分配信 Digital PR Platform



京都産業大学、慶應義塾大学などからなる研究グループは、金星大気大循環モデルとデータ同化(※1)システムを利用して、金星探査機「あかつき」(※2)で観測された水平風速データから全球にわたる風速・温度・気圧場を含む金星大気の客観解析データを作成することに世界で初めて成功した。




 金星は厚い雲層によって空全体を覆われており、内部の大気の運動についてはほとんど分かっていない。また、大気大循環モデル(※3)を用いた大気運動の数値シミュレーションが試みられているが、金星大気の運動を正確には再現できていない。
 今回、京都産業大学理学部の高木征弘教授、慶應義塾大学自然科学研究教育センターの藤澤由貴子研究員、同大学法学部の杉本憲彦教授らの研究チームは、地球の気象予報や気象学研究で用いられているデータ同化手法を金星の大気大循環モデルに導入し、金星探査機「あかつき」で得られた高解像度かつ高頻度の水平風速の観測データをモデルに取り込み、風速・温度・気圧場を含む金星大気の全球にわたる客観解析データ(※4)を作成することに成功した。
 今後、さまざまな角度から客観解析データを分析することにより、金星大気の謎の解明が革新的に進むと期待される。
 この研究成果は、2022年8月26日(世界時)に、英国ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)発刊の学術雑誌 『Scientific Reports(オンライン版)』に掲載された。

むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学

■用語解説
※1 データ同化
 数値シミュレーションモデルに観測データを融合させる手法のこと。地球の場合では、天気・季節予報の精度を向上させるための正確なモデル初期値を作成するために用いられることが多いが、ここでは、観測によってしか知りえない金星の大気状態をモデルに組み込むことで、観測ができない場所(高さ、緯度経度、時間など)での未知の大気現象の発見を試みる。本研究グループでは、海洋研究開発機構の有する地球大気大循環モデルAFES(Atmospheric general circulation model for Earth Simulator)と同化コードLETKF(局所変換アンサンブルカルマンフィルター: Local Ensemble Transform Kalman Filter)を金星に応用し、スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」上で実行する、金星大気大循環モデル AFES-Venus と金星データ同化システム ALEDAS-Vを開発した。

※2 あかつき
 日本の金星探査機。金星大気の謎を解明するために開発され、日本の惑星探査機として初めて地球以外の惑星を回る軌道に入ることに成功した。2010年5月21日に打ち上げられたが、2010年12月7日に金星の周回軌道投入に失敗し、金星に近い軌道で太陽を周回した。2015年12月7日に金星周回軌道への投入を再び試み成功した。観測波長の異なる複数のカメラを搭載して金星の大気を立体的に観測している。

※3 大気大循環モデル
 流体力学や熱力学の方程式を基に、大気の流れや温度・湿度の変化を計算するためのコンピュータプログラム。大気大循環モデルを用いて数日から経年スケールの大気現象をシミュレートし、メカニズムや予測可能性を調査する。

※4 客観解析データ
 データ同化により数値シミュレーションモデルと観測データを融合した結果、得られるデータセット。地球では「再解析データ」と呼ばれ、世界各国の気象機関から公開・提供されている。

■関連リンク
・慶應義塾大学 金星気象データセットを世界で初めて作成−金星探査機「あかつき」観測データの新しい活用−
 https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2022/9/2/28-131747/
・京都産業大学 金星気象データセットを世界で初めて作成 −金星探査機「あかつき」観測データの新しい活用−
 https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20220902_345_release_fu01.html


▼本件に関する問い合わせ先
京都産業大学 広報部
住所:〒603-8555 京都市北区上賀茂本山
TEL:075-705-1411
FAX:075-705-1987
メール:kouhou-bu@star.kyoto-su.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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