プレスリリース
英国に導入される新世代の風力タービンは、エンジニアリングがもたらした偉大な功績であり、素晴らしい投資機会となる可能性を秘めています。その理由を本稿で述べていきます。
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リチャード・ノース
シュローダー・グリーンコート、マネージング・パートナー
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タチアナ・ゼルヴォス
シュローダー・グリーンコート、ポートフォリオ・マネージャー
エッフェル塔と同じくらいの高さの風力タービンに、シルバーストーン・サーキットのピット・ストレートを走るF1ドライバーのルイス・ハミルトンよりも速く動くブレードの先端。沖合の人目につかない場所に設置された風力タービンは、1回転する毎に英国の平均的な家庭の1日分の電力を賄うことができます。
この画期的な新世代の風力タービンは、今月英国政府が価格に合意したことで、まもなく英国の沿岸でも見られることになるでしょう。風力タービンは、ネット・ゼロの実現に役立つエンジニアリングの傑作であり、安価に電力を生成することができます。
英国の家庭が生活費の上昇と、エネルギー料金の高騰に直面していますが、2026年から2028年にかけて稼働する風力発電所は、1MWhあたり約45-50ポンドで発電・販売される予定です。これは現在の電力価格の5分の1です。また、化石燃料の有無や価格に関係なく、大規模にゼロカーボン発電ができるため、地球環境にも優しいのです。
風力発電が消費者や環境にとって素晴らしいものであることは明らかですが、年金基金の投資家にとっても素晴らしい投資対象であることを知ったら、驚かれるかもしれません。ある年金基金の業界トップは最近、風力発電を確定給付型年金(DB)制度にとって「完璧な資産」であると表現しました。
それでは、以下にその理由を4つ紹介します。
1. 非常に信頼性の高い設備
これらの風力タービンは通常、95-97%以上の日数で発電することができます。定期点検やメンテナンスに必要な日数は、通常は年間20日未満であり、風があまり強くない時期に予定することが可能です。 製造メーカーは設備の信頼性に自信を持っており、通常、風力タービンの運転開始の最初の15年間は、この稼働率水準を保証しています。またそれ以降の運転期間中も、期待される稼働率は数パーセント低下するだけで、優れた性能が維持されます。
現在建設中の風力発電所は、最先端の技術や材料を使用しているため、さらに長期間にわたって優れた性能を発揮することが期待されます。
シュローダー・グリーンコートの従業員の約3分の1は、このような再生可能エネルギープラントを長年にわたって監督してきたエンジニアであることから、この稼働率水準の期待に応えることができると確信しています。
2. 予測可能な発電量
今日の風力タービンは設置場所が高く、また沖合から距離が離れていることから、発電に利用できる風量は豊富であり、また非常に予測しやすいものとなります。風力発電産業の発展とともに、特定の地域の風量を測定・予測する技術や専門知識は向上し、今日では風力発電産業が始まった当初の、明確な答えのないアートの世界ではなく、科学として確立されてきています。 エンジニアリングの専門知識を駆使して予測を導き出すため、その精度には大きな自信を持つことができるのです。
これら2つの要素が組み合わさって、長期的な発電量の予測は非常に信頼性の高いものとなっています。 確かに風の強い年や弱い年はありますが、30年間の平均発電量からの乖離は、建設時の予測の2%以内に収まる可能性が高いのです。
3. 価格の安定性とインフレ連動による予測可能な収益
これらの風力発電所は、年金基金にとって魅力的な仕組みの契約に基づいて、発電した電気を売電しています。 この契約は差額決済契約(CfD; Contract for Difference)と呼ばれるものです。 これは素晴らしい契約です。風力発電所(およびその他の再生可能エネルギー資産)は、15年間にわたり固定価格で電気を売電することができ、その固定価格は英国政府の支援を受けた団体によって保証されます。 固定価格は、消費者物価指数(CPI)に連動して毎年上昇します。これは、風力発電プロジェクトにとって非常に大きな価格の確実性と、魅力的なインフレ連動性をもたらします。そして、CfD終了後に市場で販売される電力価格の予想は、エネルギー価格予測会社の予測値を用いて設定されます。
これら3つの要素を総合すると、プロジェクトは最初の15年間は極めて予測しやすいインフレ連動型の収益源を持ち、その後の数年間のみ、電力価格の変動にさらされることになります。
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4. 運用コストの確実性がもたらす予測可能なインカム収益
洋上風力発電所のコストは、タービンのメンテナンス、賃料、本土への接続費用に使用される指数連動型契約によるものがほとんどで、非常に予測可能性が高いものです。 これらのコストは、風力タービンが生み出す収益全体と比較すると、非常に低く(約25〜40%)抑えられています。
これら4つの要素を総合すると、投資家は非常に予測しやすい「確度の高いインカム」と「インフレ連動型のキャッシュフロー」を得ることができます。 このような予測可能性の高いリターンは、確定給付型年金(DB)制度が今後数十年にわたり提供する必要がある、負債キャッシュフローと見事にマッチします。
投資リターンのプロファイル
私たちは、風力タービンが約30年の耐用年数を過ぎると無価値になると想定し、確実な収入を得ることを重視しています。これは即ち、風力発電所を将来いくらの価格で売却できるかではなく、全ての収益源が予測可能なキャッシュフローから得られることを意味します。これにより、投資ポジションのボラティリティを低下させ、DB制度の負債との整合性が高まります。
また、資産を評価する際にも、確実で早い時期に期待されるキャッシュフローは、確実性が低く、より将来に期待されるキャッシュフローよりも高く評価されます。
最新のCfDが導入された風力発電所の場合、風力発電プロジェクトの価値の65%以上が最初の15年間(約30年の耐用年数の半分)に予想されるキャッシュフローから得られることを意味します。
最後に、エネルギーの安全保障問題は、過去数週間から数カ月にわたって政治的議論の中心となっており、その影響と効果は重要度が増す一方です。ウクライナでの戦争の結果、ドイツでは今年の冬にガスの配給が実施されるという話が出ています。また英国の平均的な家庭の電気代は、1年前の1,200ポンドから上昇し、今冬は3,200ポンドになると予測されています。英国の海域に設置される風力タービンによって生成されるエネルギーは、今後何年にもわたり、安価で安全な、二酸化炭素排出量を抑えた電力を供給することが可能です。ただ、建設と資金調達が必要なのです。
シュローダー・グリーンコートが運用するファンドから、すでに英国の再生可能エネルギー(風力、太陽光、バイオマス)に投下された資本の約8%に相当する金額を投資しています。本稿では風力発電に焦点を当ててきましたが、これらの様々な種類の再生可能エネルギーには、それぞれに投資家が評価すべき素晴らしい特徴があると思います。エネルギーシステムの転換に投資する年金基金にとっては、以下のような理由から素晴らしい投資と言えるでしょう。
再生可能エネルギーへの投資は、魅力的なリターンを得ながら、エネルギーシステムの転換に関わる主要な貢献者となる投資機会です
風力タービン(およびその他の再生可能エネルギー)への投資は、資産の耐用年数にわたり、定期的で予測しやすく、且つ高い水準の収入がもたらされ、投資家に資本が還元されます。このため、風力発電は安定した収益が得られるインカムゲイン投資に含まれます
風力タービンの稼働率が高く、安定した風が吹く地域における風力発電は、発電量の予測が比較的容易であり、風力タービンの売電方法(CfDがインフレに連動する、15年間の価格の確実性を提供)は、全体の収益が予測可能であることを意味します
英国債を大きく上回るリターンが期待でき、インフレに連動し、担保差入義務のない、キャッシュフローが負債にマッチした「マッチング・プラス」型の優れた投資となります
エネルギーシステムの転換に資金を提供し、気候変動の影響を緩和することで、年金基金とその年金受給者は、自分たちの老後や孫のためにより良い世界を創造し、また同時にエネルギー安全保障の確保に貢献することになります
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