プレスリリース
神田外語大学附属図書館 神田佐野文庫貴重資料目録「若林コレクションの里帰り」刊行〜官学連携企画展「明石博高 -- 京都近代化の先駆者 -- 」にて配布〜
神田外語大学(千葉市美浜区/学長:宮内孝久)附属図書館にて所蔵されている貴重資料をまとめた解題目録「若林コレクションの里帰り」が2022年4月16日(土)に刊行されました。全18ページ、オールカラーの冊子で、同日から京都で開かれている企画展「明石博高―京都近代化の先駆者―」で参観者に無料配布されています。同企画展は本学と国際日本文化研究センター(京都府京都市/所長:井上章一)、京都府立京都学・歴彩館(京都府京都市/館長:金田章裕)の3機関が2022年4月16日(土)から6月5日(日)まで、共催するものです。明治前半期に京都府の教育・医療・殖産興業政策を主導した医師、明石博高(1839〜1910)に焦点を当て、関係資料100点余が京都府立京都学・歴彩館(京都市左京区)の展示室にて公開されています。本学からは、ポンペ解剖学講義オランダ語写本、明石博高が翻訳に使用したオランダ語化学書など貴重な洋学資料39点を出展。冊子には展示資料に加え、神田佐野文庫の貴重資料5選を掲載しています。
神田佐野文庫/若林正治コレクションを所蔵する本学附属図書館は、2019年2月にオランダで発見された桂川甫賢筆「長崎屋宴会図」を購入し、同年11月に一般公開しました。これは、幕府侍医桂川甫賢(かつらがわ・ほけん)が1822年4月18日におこなわれた宴会を描いたもので、江戸時代日欧文化交流史の一級史料として大変注目されました。
本学ではコロナ禍のなか、昨年初頭より、国際日本文化研究センターおよび京都府立京都学・歴彩館と連携して、明治前半期の京都近代化に貢献した医師、明石博高(あかし・ひろあきら)を紹介する企画展を準備し、このたび4月16日(土)から京都府立京都学・歴彩館にてリアル展示を開催する運びとなりました。本学からは、日本研究所客員教授であり、京都大学名誉教授の松田清による監修のもと、神田佐野文庫/若林正治コレクションから精選した貴重文献資料39点を出展しております。本企画展に合わせ、展示資料39点および「長崎屋宴会図」「シーボルト自筆蘭文書簡 賀来佐之(かく・すけゆき)宛」など神田佐野文庫の貴重資料5選を掲載した冊子「若林コレクションの里帰り」を刊行しました。本冊子と照らし合わせて企画展を観覧出来るよう、冊子内では各資料の先頭に展示資料番号をつけています。
神田佐野文庫/若林コレクションとは
神田佐野文庫は江戸時代後期から明治維新を経て、連合国占領期まで(1780年代から1950年代)の約170年間に、日本で刊行あるいは書写された西欧語・西欧文化の教育研究資料、および同時期に西欧世界で出版された日本関係洋書を幅広く収集した特色ある神田外語大学の文化交流史資料コレクションです。
神田佐野文庫における若林正治コレクションは、京都の書店主、故若林正治(1912〜1984)が1933年頃から1978年頃まで、約45年間にわたり収集した洋学資料の宝庫です。若林の没後、若林と親交のあった雄松堂書店の故新田満夫社長の斡旋で、学校法人佐野学園の所有となり、1987年の神田外語大学開学に際し、神田外語大学附属図書館に移管され「洋学文庫」と命名されました。2017年に開学30年を迎えたことを契機に「洋学文庫」と、佐野学園神田外語グループ会長、故佐野隆治(1934〜2017)収集の日本関係洋書およびその後の収集資料を一括して「神田佐野文庫」と名付け、順次その利用公開に着手することとなりました。
「若林コレクションの里帰り」表紙 ※添付参照
中央:『銅版新鐫極細書画便覧』(1859)所載「汽車図」(岡田春燈斎刻)
背景:『ジャワ植物図譜』(1818)所載「ラスサマルラ図蘭文解説」(辻蘭室筆跡)
展示資料の一部(「若林コレクションの里帰り」より抜粋)
■「ジャワ植物図譜」辻蘭室筆欄文及び和訳 宇田川榕菴筆彩色図 F.ノローニャ原画 文政元年(1818) ※添付参照
京都の地下官人で幕末に本草家も輩出した渡邉家に伝来した。スペイン人植物学者フランシスコ・ノローニャ(1748〜1787)がジャワ島西部調査中(1786)に描いた植物図105図、鳥図4図、由来不明の植物図25図からなる。ノローニャ自筆原画はパリ自然史博物館蔵。他にロンドン自然史博物館写本、ベルリン州立図書館写本がある。本図譜の底本は18世紀末に京都にもたらされたらしい。そのルーツは長崎渡来写本と推定され、配列、内容ともロンドン写本に酷似する。【展示資料番号4】
左図:キッパイート(着生植物)
右図:カンダスウリイ(ショウガ科の植物)
■ 朋氏解体書 越前勝山藩医学生 秦朴仙筆 文久3年(1863)佐倉順天堂にて写了 ※添付参照
越前勝山藩校成器堂(1843年設立)の初代学頭秦魯斎の三男、秦朴仙(朴三郎、慶応2年8月没)が留学先の佐倉順天堂塾で書写。塾主佐藤尚中(たかなか)は義兄の幕医松本良順の勧めで文久元年(1861)から翌年にかけてポンぺに学び、大量のポンぺ蘭文講義録を持ち帰った。【展示資料番号46】
「若林コレクションの里帰り」 概要
【タイトル】若林コレクションの里帰り ―神田佐野文庫貴重資料―
【発行日】2022年4月16日(土)
【仕 様】B5判 本文18頁 オールカラー 中綴じ
【発 行】神田外語大学附属図書館
【制 作】株式会社トーヨー企画
【掲載資料数】44点(展示資料:39点、その他:5点)
【その他参考リンク】
神田外語大学 日本研究所:
https://www.kandagaigo.ac.jp/kuis/main/labo/rijs/
開催記念シンポジウム(国際日本文化研究センターサイト):
https://www.nichibun.ac.jp/ja/events/other_events/2022/05/21/
企画展「明石博高-京都近代化の先駆者-」(京都府立京都学・歴彩館サイト):
https://rekisaikan.jp/news/post-news/post-7926/
▼本件に関する問い合わせ先
学校法人佐野学園(神田外語グループ) グループコミュニケーション部
室井優太朗
住所:東京都千代田区内神田2-13-10
TEL:03-3258-5837
FAX:03-5298-4123
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【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/