プレスリリース
横浜市立大学 医学部 産婦人科学教室の宮城悦子教授らの研究グループが、令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞しました。表彰式は、令和4年4月20日(水)、文部科学省 3階 講堂(東京都千代田区霞が関3-2-2)において執り行われます。
受賞実績:新技術を用いた卵巣明細胞癌マーカーの開発と実用化研究
卵巣明細胞がんの細胞が作り出す「組織因子経路インヒビター2(tissue factor pathwayinhibitor 2、以下TFPI2)」というタンパク質に注目し、産学連携の共同研究により、卵巣がんの検査における新規血清バイオマーカーとしての開発を進め、測定試薬として実用化しました。術前にTFPI2を測定することにより、卵巣がんの適切な診断や治療方針の選択の一助となることが期待されています。
https://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/news/202107miyagi_ijco.html
宮城 悦子 横浜市立大学医学部 産婦人科学教室 主任教授
次世代臨床研究センター長
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【受賞コメント】
今回の表彰対象となった卵巣がんの新規血清腫瘍マーカーTFPI2は、多くの患者さんより貴重な検体を研究に使用することにお許しをいただき、産婦人科教室員によりベストな状態での検体保管ができており、さらに様々な役割を担う関係者からなる研究チームが長い間研究を継続したことで生まれたものです。日本で開発された質量分析の手法を有効活用した荒川憲昭博士と平野久名誉教授とともにこの名誉ある賞をいただけたのは、研究管理部門、知財・産学連携部門、臨床性能試験にご参加いただいた協力施設、素晴らしい抗体を作成し体外診断システムを開発した企業のご尽力のおかげです。改めて賞の重みを実感しながら、これからも本学の基礎研究・臨床研究の架け橋となり、日本発の医学研究の発展に貢献してまいりたいと思います。
荒川 憲昭 国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部 主任研究官
横浜市立大学先端医科学研究センター 客員准教授
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【受賞コメント】
私が受賞の対象になった研究を始めたとき、最先端の質量分析装置を用いても、がん細胞が作り出す蛋白質を血液試料から探し出すことは困難な状況でした。そこで試料調製法と分析技術を改良しながら、「が
ん細胞が培養液中に分泌する蛋白質は体内でも血液に放出される」という仮説のもと、がん細胞培養液を解析しました。これが功を奏し、卵巣明細胞がんの培養液から他の卵巣がんには見られない蛋白質TFPI2が見つかりました。この蛋白質が患者さんの検査に役立つことを実証するために、診断薬の開発と大規模な臨床試験が行われました。学内外および企業の皆様、臨床試験に参加して下さった皆様のご協力がなければ、受賞はなかったと思います。関係各位に心より御礼申しあげます。
平野 久 横浜市立大学 名誉教授
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【受賞コメント】
平成20年度から平成29年度に実施された大型プロジェクト、イノベーションシステム整備事業「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」プロジェクト(実施機関:横浜市立大学)で得られた成果が受賞対象になりました。本学先端医科学研究センターや次世代臨床研究センターなどの支援によって基礎と臨床医学、そして、産学の歯車がかみ合い、新技術の実用化に繋がる大きな成果が得られました。本研究に関わった多くの方々に心からお礼申し上げます。これからも同プロジェクトを基盤にした様々な研究が本学を中心にして益々発展するものと確信しています。
<参考>
■令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰について
(文部科学省サイトより引用 https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00989.html
)
文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的として、次のとおり各賞を授賞している。
○科学技術賞(開発部門、研究部門、科学技術振興部門、技術部門、理解増進部門)
○若手科学者賞
○創意工夫功労者賞
○研究支援賞
■表彰式
○日時:令和4年4月20日(水曜日)12時10分から
※ライブ配信(後日、文部科学省公式YouTubeチャンネルにアーカイブ掲載予定)
○場所:文部科学省3階 講堂(東京都千代田区霞が関3-2-2)
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本件に関するお問合わせ先
横浜市立大学 広報課
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp