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東京医科大学が「マイクロRNAによる転写活性化メカニズムの解明 〜核内マイクロRNAの新しい機能〜」

(Digital PR Platform) 2022年04月14日(木)14時05分配信 Digital PR Platform



東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区)分子病理学分野 黒田雅彦主任教授、大野慎一郎講師の研究チームが、呼吸器・甲状腺外科学分野 池田徳彦主任教授、医学総合研究所 落谷孝広教授、ノースウェスタン大学 Xiaozhong Wang教授らと共同で、遺伝子発現を抑制することで知られるマイクロRNA(miRNA)が、遺伝子の発現を直接的に増加させる新規メカニズムを明らかにしました。
本研究成果は、日本時間2022年4月13日1:00に、米国の総合生命科学雑誌「Cell Reports」に掲載されました。




【本研究のポイント】
●長く不明であった短鎖RNA(miRNA, siRNA)による転写活性化機構(RNA activation, RNAa)の分子機構を解析し、DDX21-CDK9複合体の関与を明らかにした。
● RNA activationの本質がRNA合成酵素の一時停止の解除である可能性を示した。
● 広く発現するPromoter-associated RNA (paRNA)による遺伝子制御機構の一端を解明した。


【研究の背景】
 miRNAおよびsiRNAなどの短鎖RNAは、各種のメッセンジャーRNAに結合し、遺伝子発現を抑制することが広く知られています。一方で、これら短鎖RNAに遺伝子発現を増加させる機能がある可能性が示唆されていましたが、そのメカニズムは不明でした。研究チームは、がん抑制miRNAとして知られるmiR-34aが、がん抑制遺伝子ZMYND10の転写を直接的に誘導する現象を発見し、その分子機構の解析を行いました。

【本研究で得られた結果・知見】
 今回の研究結果から、ZMYND10遺伝子のプロモーター領域から発現するNon-coding RNA (paRNA)にmiR-34a-AGO-TNRC6A複合体が結合すること、その際miRNA-AGO複合体は転写活性化因子DDX21-CDK9を連れてくることで、一時停止中のRNA合成酵素を活性化させ転写を誘導することを明らかにしました。

【今後の研究展開および波及効果】
 本研究の成果による普遍的な生命現象の分子機構の解明は、分子生物学領域への影響に留まらず各種疾患の病態解明およびRNA activationを利用した新しい治療標的の創出に繋がることが期待されます。

【用語解説】
●マイクロRNA (microRNA, miRNA):20〜25塩基ほどの短い1本鎖RNAでタンパク質はコードしていない。現在ヒトで約2000種類確認されている。相補的配列を持つメッセンジャーRNAに結合し、遺伝子発現の抑制に働くことが広く知られている。
● Promoter-associated RNA (paRNA):各種遺伝子のプロモーター領域から発現するタンパク質をコードしていないRNA。近傍の遺伝子発現を制御することが知られているが、分子機構の詳細は不明である。
● RNA合成酵素の一時停止(Pol II pausing):転写開始後にRNA合成酵素が一時停止する現象。P-TEFb (CDK9/Cyclin T1)によってRNA合成酵素がリン酸化されると、一時停止は解除され転写が誘導される。


【掲載誌名・DOI】
・掲載誌:Cell Reports (Cell Press)  
・DOI:10.1016/j.celrep.2022.110673

【論文タイトル】
 Nuclear microRNAs release paused Pol II via the DDX21-CDK9 complex

【著者】
 Shin-ichiro Ohno, Keiki Oikawa, Toshiaki Tsurui, Yuichirou Harada, Kana Ono, Mizumo Tateishi, Aashiq Mirza, Masakatsu Takanashi, Kosuke Kanekura, Kumiko Nagase, Yoshihisa Shimada, Yujin Kudo, Norihiko Ikeda, Takahiro Ochiya, Xiaozhong Alec Wang, Masahiko Kuroda*  *責任著者

【分子病理学分野ホームページ】
 https://tmumolpathol.sakura.ne.jp

【主な競争的研究資金】
 文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 「RNAメタボロームによる細胞内小胞体の解明に基づいた革命的がん治療法の開発」(S1511011:代表 黒田雅彦)
 基盤研究B 「DICER1症候群モデルを用いたncRNAによる発がん機構の解明」(21H02706:代表 黒田雅彦)
 基盤研究C 「RNA activationにおける分子機構の解析」(21K0695:代表 大野慎一郎)


▼本件に関する問い合わせ先
企画部 広報・社会連携推進室
住所:〒160-8402 東京都新宿区新宿6-1-1
TEL:03-3351-6141
メール:d-koho@tokyo-med.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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