プレスリリース
法政大学島野教授がTwitterによって発見した新種のダニが、海洋生物種の世界登録簿(WoRMS)から「2021年の注目すべき海洋生物の新種トップ10」のひとつに選出
法政大学島野教授がTwitterによって発見し新種としたダニが、海洋生物種の世界登録簿(WoRMS)から「2021年の注目すべき海洋生物の新種トップ10」のひとつに選ばれました。
【発表のポイント】
(1)Twitterで偶然見つかった世界で初めての動物の新種が、「日本のツイッターダニ」として、22万を超す生物種が登録されている「海洋生物種の世界登録簿(WoRMS)」から「2021年の注目すべき海洋生物の新種トップ10」のひとつに選ばれた。
(2)3月19日は「分類学者に感謝する日」で、それを記念して、海洋生物種の世界登録簿(WoRMS)では毎年、新種トップ10が選ばれる。
(3)「日本のツイッターダニ」として選ばれたダニの学名はAmeronothrus twitterで、twitterに由来する
(4)ソーシャルメディア(SNS)の利用によって、一般ユーザが誰でも新種の発見や生物多様性の解明に協力・参加できる事が示唆された。ITを利用して発見された種はまだほんの一握りで、市民科学の観点からも今後多くの応用が期待できる。
3月19日は「分類学者に感謝する日」。それを記念して毎年、海洋生物種の世界登録簿(WoRMS)は「注目すべき海洋生物の新種トップ10」を選んでいます。今年発表された『2021年の注目すべき海洋生物の新種トップ10』には、「日本のツイッターダニ」として、法政大学自然科学センター・国際文化学部 島野智之教授(動物分類学)やトビアス=プフィングスティル博士(グラーツ大学・オーストリア)たちが新種として昨年発表したチョウシハマベダニが選ばれました。本種はAmeronothrus twitterという学名で、ソーシャルメディアのtwitterに由来します。
「注目すべき海洋生物の新種トップ10」にはほかに以下のようなものがあります。
・4000mの深海から発見されたダンボダコ(一対のヒレがディズニーアニメのゾウの特大の耳に似て、深海を飛ぶように泳ぐ)。
・ニュージーランドの海岸に打ち上げられて新種になったクジラの一般名ラマリハクジラと学名Mesoplodon eueuは、標本が採集された南アフリカとニュージーランドの先住民族コミュニティの協議で、先住民族の言葉から選んで決められた。(南アフリカのコシアンの言葉で「大きな魚」を意味する「eueu」また、「マハリ」はニュージーランドの現地言葉で「珍しい出来事」)。
・風船バックパックガニ(バックパックのような形の構造物を触角に盾のようにつけている特徴的なカニ)。
体長が1mmにも満たない、小さく目立たないダニが、新種のクジラや魅力的な深海生物とともに、注目すべき海洋生物の新種トップ10にとりあげられました。生物多様性の観点からしても、生態系の中で必要でない生き物はいないという事を示しており、生物多様性を解明しつづけている「分類学者の日」らしい素晴らしい出来事だと島野教授は述べています。
●本種の概要:島野教授は、会社員(アマチュアカメラマン)根本崇正氏(千葉県松戸市在住)がTwitter上で投稿した1枚の写真に気づき、画像のダニは、ハマベダニ属に所属するが、既知種と形態が微妙に異なるため新種のダニではないかと考えました。ツイートされた写真をもとに、現地で標本を採集し、共同研究チームのグラーツ大学(オーストリア)・動物学研究施設・講師のトビアス=プフィングスティル博士と研究を行い、新種であることを確認しました。本ササラダニ類は人体には全く影響は与えず、落ち葉や地衣類などの有機物を餌とします。
■インターネットサイトでの発表:World Register of Marine Species (WoRMS) 海洋生物種の世界登録簿 2022年3月19日(土)に公開
タイトル:Ten remarkable new marine species from 2021『2021年の注目すべき海洋生物の新種トップ10』(英文)
https://marinespecies.org/news.php?p=show&id=8993
https://lifewatch.be/en/worms-top10-2021#Grimpoteuthis_imperato
【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/