プレスリリース
シュローダー(本社:英国 ロンドン)は、シンガポール政府投資公社(GIC)と共同で、投資やポートフォリオ分析において、炭素削減貢献量分析のフレームワークが従来の排出量測定基準をどう補完できるかについて詳述した、共同レポートを発表しました。
気候変動は、今後数十年にわたって存在し続けるであろう投資テーマと言えます。政府や科学者による脱炭素社会に対するコミットメントは、具体的な政策や行動につながっており、その過程で移行に対応できている企業と対応できない企業の格差が広がっています。有意義で包括的な炭素分析の重要性は、日増しに高まっています。
とはいえ、投資家は現在、移行に関わる投資機会やポートフォリオへのインパクトを体系的に評価するフレームワークを持ち合わせていません。
従来の分析は、企業が自身の事業運営やバリューチェーンから排出した炭素排出量を測定するに留まっていました。しかし、脱炭素分野をけん引する企業は、自社の排出量を削減するだけではなく、自社のバリューチェーンを超え、経済全体の排出量を大幅に削減できる製品やサービスを開発しています。これらは従来の排出量測定では捉えることができない部分です。
現状は削減貢献量がこのような市場の変化を特定する有効なツールであるという認識が低く、過小評価されていると言えます。
削減貢献量の分析フレームワークは、炭素排出量の多い活動を低炭素の活動に切り替えることによって削減できる排出量を定量化することを目的としています。代替製品や技術が導入されなかった場合における炭素排出推定量をベースラインとして計測した相対的な削減量は、実質的な排出削減量を示すものであり、脱炭素社会にとって極めて重要な指標だと考えます。
機関投資家にとって、数十年に及ぶ気候変動の影響は計り知れないものがあります。当フレームワークは、投資分析における実際の活用を目的として構築されており、運用者が脱炭素社会への移行における真の勝ち組企業を幅広く特定し評価するのに役立ちます。
当フレームワークは、共通の測定単位の下、スコープ 1 、スコープ 2 、スコープ 3 における比較を容易にし、 気候変動関連のリスクと投資機会の双方を考慮したポートフォリオの構築に向け、統合され全体的なアプローチを可能にする重要なステップであると考えます。
筆頭著者、シュローダー サステナブル投資グローバル・ヘッド アンディ・ハワードのコメント:
「当フレームワークでは、バリューチェーンを使った体系的な独自のアプローチに基づき、幅広い産業・活動の削減貢献量を把握することができるようになっています。この革新的なフレームワークは、投資可能性とスケーラビリティに重点を置いており、伝統的な脱炭素関連指標を大幅に進化させる可能性を秘めていると考えています。当フレームワークは、低炭素社会への移行がおよぼす投資への影響を理解しようとする、私たちの長年の取り組みを支えるものです。」
「当レポートが、未だに分析が不十分な削減貢献量の分野における分析の発展に寄与し、投資およびポートフォリオ分析へのインテグレーションが進むことを期待します。ビジネスモデルの炭素感応度の全体像を示す、より包括的な気候変動リスク開示への道が開かれることを期待しています。」
共著者、GICヘッド・オブ・フューチャー・ユニット兼 シニア・ヴァイス・プレジデント、エコノミクス&インベストメント・ストラテジー、のレイチェル・テオ氏のコメント:
「気候関連のリスクと投資機会を運用プロセスに組み込むためのツールやモデルを構築することは、GICにおける気候変動研究の重要な要素です。削減貢献量評価の枠組みによって、我々のような長期投資家は、低炭素社会への移行によりもたらされる投資機会をより的確に特定し、ポートフォリオを構築していけるようになるでしょう。」
「共同レポートの作成は始めの一歩であり、今後も分析の幅を広げていきたいと考えています。例えば、地域や産業別の考慮、プライベート市場、技術の成熟化に伴う適用範囲の拡大などが考えられます。」
シュローダー チーフ・インベストメント・オフィサーのヨハナ・カークランドのコメント:
「ネット・ゼロに向け様々な取り組みが推進される中、世界中でイノベーションやテクノロジーの進化が起きています。結果、運用業界では、長期戦略の再定義につながるような投資機会も誕生し始めています。」
「削減貢献量はもはや概念的な次元のトピックではなくなっています。シュローダーではすでに削減貢献量の分析を投資分析に組み入れており、 ESG の自社開発ツールであるSustainEx に搭載しています。このような分析の拡張により、脱炭素社会への移行における真の勝ち組と負け組を特定し、収益化することができ、結果として、顧客ポートフォリオのパフォーマンスへ長期的に 貢献できる と考えます。」
GIC エコノミクス&インベストメント・ストラテジー ディレクターのケビン・ボン氏は、次のようにコメントしています。
「投資家は気候変動がポートフォリオに与える影響とその原因を十分に考慮する必要があります。我々は、経済の枠組みの再構築に繋がる可能性がある数十年にわたる脱炭素社会への移行に、準備し、参画していかなければいけません。」
「削減貢献量の分析は、投資家や当局者がより意思決定時に活用する指標に対して、新しく、そして重要な視点を提供します。当分析は、炭素排出削減における従来の分析がとらえていなかったプラスの側面に着目します。これは、 GIC のような投資家にとって、今後の脱炭素社会における勝ち組と負け組を見分けることにつながると考えられます。我々が特に着目している点は、従来のスコープ 1 、スコープ 2 、スコープ 3の下で確認されるデータを横断的にインテグレーションし、より全体的な分析が可能となっている点です。」
詳細は、レポートをご覧ください。
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ダウンロード期限 : 2022-03-31
https://prap.gigapod.jp/f258f42af54e4b56c59f963df1e76e42965007232
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以上
■シュローダー・グループのESGの取組み
「質の高いコーポレートガバナンス体制を確立し、本業を通じて、環境や社会の変化および課題解決に対応する企業は、長期的に企業価値の向上と持続的成長が期待できる」という考えのもと、シュローダーは20年以上、ESGの要素を取り込んだ運用を実践しています。
ESGの観点を加味した運用を通じて、社会や環境にインパクトを与える真の企業価値向上を促すと同時に、社会や経済全体の利益となり、投資収益の拡大にも繋がることを目指しています。
■シュローダー・グループの概要
シュローダー・グループは、資産運用サービスを通じてよりよい未来への貢献を目指す、英国屈指の独立系資産運用グループです。ロンドン証券取引所に上場しています。1804年の創業以来200年以上にわたり、年金基金から機関投資家、個人投資家まで、世界の投資家に、長期的な視点に立ち幅広い投資ソリューションを提供しています。現在、運用資産総額は約107兆円*に上ります。
日本とのかかわりは古く、1870年(明治3年)、日本初の鉄道敷設のために日本政府が初めて発行した国債の主幹事を、シュローダーが務めたことにさかのぼります。1974年には東京事務所を開設し、日本における事業の本格的な第一歩を踏み出しました。幅広い資産運用サービスを提供する現在も日本株式運用を事業の中核の一つに据え、約150年前と同様、日本の未来への投資を通じて歴史を紡いでいます。
※2021年6月末現在。 *7,004億英ポンド、1英ポンド=153.32円換算。
※本資料におけるシュローダー・グループとは、シュローダーplcを直接もしくは間接的に親会社とする会社などを言います。
関連リンク
シュローダーの視点
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/insights/