プレスリリース
■NTT東日本が運営する文化施設NTTインターコミュニケーション・センター※1(以下、ICC)で
は、2022年1月15日(土)より、企画展「多層世界の歩き方」を開催します。
■本展は、2020年度企画展「多層世界の中のもうひとつのミュージアム」※2 から続く、オンラインで
のコミュニケーションがより多様な形で生活に浸透した現在の情報環境をテーマにした展覧会です。
■現実世界と情報世界、さらにその媒介となる「コモングラウンド」※3を多層的な世界としてとらえ、
この情報環境をどのように「歩く」ことができるのかをアート作品や情報環境状況の解説などを通じて
提示します。
■コロナ禍以後、ミラーワールド時代の到来、といった時代状況に影響を受けた、現実世界と情報世界の
間を往き来する、これからのリアリティを表現した作品を紹介します。
※1日本の電話事業100周年記念事業として1991年からのプレ活動を経て、1997年にNTTが設立した科学技術
と文化芸術の融合をテーマとする文化施設。
※2特別展「多層世界の中のもうひとつのミュージアム──ハイパーICCへようこそ」
https://www.ntticc.or.jp/ja/exhibitions/2021/the-museum-in-the-multi-layered-world/
※3「コモングラウンド」とは、現実世界(モノ)と情報世界(デジタル)がシームレスにつながる生身の人間も、
ロボットやアバターなどの「デジタルエージェント」が共存するインフラとしての環境です。
1.企画展「多層世界の歩き方」開催概要
英展覧会名:Random Walk on the Multi-layered World
開催期間 :2022年1月15日(土)〜2022年2月27日(日)
【リアル展示】
会場 :NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]ギャラリーA
開館時間:午前11時〜午後6時
入場料 :一般・大学生 500円(400円)/ 高校生以下無料※4
(事前予約制・当日入場は事前予約者優先)
※4 料金は消費税込み、( )内は15名様以上の団体料金です。
身体障害者手帳をお持ちの方および付添1名,65歳以上の方と高校生以下は無料
予約方法の詳細は、後日ICCウェブサイトにてお知らせいたします。
休館日※5:毎週月曜日、ビル保守点検日(2/13[日])
※5 休館日以外においても、開館時間の変更および臨時休館の可能性がございます。
最新情報はICCウェブサイト(https://www.ntticc.or.jp/
)などでお知らせします。
【オンライン展示】
会場 :ハイパーICC(https://hyper.ntticc.or.jp/
)
体験料:無料
主催 :NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] (NTT東日本)
2.展覧会概要
コロナ禍以後、オンライン会議ツールやVRチャットなど、オンライン上でのコミュニケーションがより多様な形で生活に浸透し、メタバース、ミラーワールドが、オンラインゲームでのライブ・イべントなど、コミュニケーションや経済活動の「場」として注目を集めています。また、ウェブサイトで開催される展覧会など、以前とは異なる作品発表が行なわれるようになり、鑑賞や体験の方法が変わりつつある状況下で、表現や作品自体もまた変化しています。
この情報環境で私たちに起きている変化が、どのようにこれからの私たちを変えていくのでしょうか。そのような現在の多層世界をどのように歩き、どのようにとらえることができるのか。この多層世界からインスパイアされた表現と、テクノロジーが実現するかもしれない未来像を重ね合わせ、この新しい世界を、多層世界の散歩者として考えてみたいと思います。
参考:ICCでは、これまでにも、「メタバース研究会」(2009-11)や「インターネット・リアリティ研究会」(2011-13)など、有識者の方々の知見をもとに情報環境についての研究会を開催してきました。
ICCメタバース・プロジェクト
https://www.ntticc.or.jp/ja/feature/2009/MetaverseProject/index_j.html
インターネット・リアリティ研究会
https://www.ntticc.or.jp/ja/feature/2012/Internet_Reality/index_j.html
3.出品作家(五十音順)
相川勝
青柳菜摘+佐藤朋子
うしお鶏
臼井達也
海野林太郎
谷口暁彦
ホズニ・アウジ Hosni AUJI
セマーン・ペトラ SZEMÁN Petra
キュレーション:畠中実、指吸保子
共同キュレーション:谷口暁彦
監修:豊田啓介
作品例については【参考】をご参照ください。
4.新型コロナウイルス感染症対策
NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]では、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策のため、お客様ならびにスタッフの健康と安全を考慮し、ご来館される全てのお客様に以下の対応のご協力をお願い申し上げます。
下記に該当する方は、ご入館をお断りさせていただきます。
・37.5度以上の発熱症状がある方。
(入館時にサーモカメラ及び、非接触型体温計での体温計測を実施します。)
・過去2週間以内に、感染拡大地域や国への渡航をされた方。
・発熱、咳、鼻水、倦怠感の症状が続くなど、体調不良の方。
・マスクを着用されていない方。
最新情報はICCウェブサイト(https://www.ntticc.or.jp/
)などでお知らせします。
5.東京オペラシティアートギャラリーとの相互割引
ICC受付にて、東京オペラシティアートギャラリーで同時期に開催の企画展「ミケル・バルセロ」入場券をご呈示いただくと、本展に団体料金でご入場いただけます。また、東京オペラシティアートギャラリーご入場の際に、本展入場券をご呈示いただいた場合も、団体料金でご入場いただけます(他の割引との併用不可。ご本人のみ1回限り有効)。
6.ICCのご案内
所在地:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
(京王新線 初台駅東口から徒歩2分)
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【参考】
1.出品作家と作品例
相川勝 読み仮名:あいかわ・まさる
《K2を登る》2021年 ほか *リアル、オンライン
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相川勝《K2を登る》2021年
相川は、一般に公開されている衛星写真と地形データを組み合わせて、K2やマッターホルンなどの世界の名山や砂漠など、自分が行ってみたい場所周辺の3DCG空間を自ら構築しました。さらに、それらの仮想空間内を自由に歩き回り、実在する登山ルートをたどって山頂まで到達したり、国境線に沿ってずっと歩いたりしています。本展示では、仮想空間内を移動していくところを記録した映像作品と、そのなかで撮影された写真作品を併せて展示します。
青柳菜摘+佐藤朋子 読み仮名:あおやぎ・なつみ、さとう・ともこ
《TWO PRIVATE ROOMS—往復朗読》2020年– *リアル、オンライン
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青柳菜摘+佐藤朋子「TWO PRIVATE ROOMS—往復朗読」(theca、東京、2020)展示風景
撮影:wada shintaro
青柳と佐藤は、コロナ禍が本格化した2020年4月から、その日ごとに物語やその断片を読みあう〈往復朗読〉に取り組んでいます。このプロジェクトは二人がお互いに会うことなく、交互に本を選びTwitter上でライブ配信をするというオンライン朗読パフォーマンスとして現在も継続中で、これまで、パフォーマンスの映像記録や付随する作品を展覧会やウェブサイトで発表してきました。本展では、SNSという場が、パフォーマーおよび鑑賞者が自分の今いる場所から物理的な移動なしでアクセス可能なステージとして機能していることに着目し、リアル会場での展示やオンライン配信など複数の手段を用いたメディア・プロジェクトとして展開する予定です。
うしお鶏 読み仮名:うしお・けい
《かえり道》(新作) *リアル、オンライン
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うしお鶏《かえり道》2022年
うしおは、日常生活で発生するシチュエーションや日用品などをモチーフに、自作のマンガやアニメーションなどと組み合わせたインスタレーション作品などを発表しています。本作品はICCのオンライン・アーティスト・イン・レジデンス・プログラムの一環として制作されたものです。うしおは、オンライン上での作品展示という前提から、映像やマンガなど既存の手法を踏まえつつ新たな物語りのあり方を探っていくなかで、ウェブブラウザを閲覧する際に一般的に使われる画面スクロール操作に着目しました。鑑賞者は、マウス等でスクロール操作をすることで、作品内の空間の奥のほうに自らも進んでいく感覚を得ながら、同時に物語が展開していくのを読み進めていくことができます。
制作協力:森浩一郎
臼井達也
《amazon basics 83,799》2021年 ほか *リアル
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臼井達也《amazon basics 83,799》2021年 撮影:竹久直樹
《amazon basics 83,799》は、世界最大手のECサイトAmazonのプライベート・ブランドであるAmazonベーシックの商品を実際に購入し、それらを組み合わせて空間に配置し、空間的に構成したインスタレーションです。タイトルにある数字「83,799」は本作を制作するのに使用した商品の総購入額を表しています。これらのモチーフの組み合わせは、日夜Amazonをブラウズして鍛えられた臼井の選択眼によって集められたもので、アーティストのこだわりや指向性が表れています。一方で、83,799円を支払いさえすれば、全モチーフをAmazonで入手し、本作を再現することができます。臼井はこの作品で、美術作品とはなにか、インターネット・ショッピングから生まれる現代における既製品芸術(レディメイド:既製品やすでにあるものそのものを加工したりせずに作品として提示するもの)や、作品の複製性(芸術作品とは唯一無二のものであるという考えかたに対して、同じ芸術作品が複数存在すること)について問いかけています。
海野林太郎
《チュートリアル》2019年 ほか *リアル
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海野林太郎《チュートリアル》2019年
海野は、FPS*6に代表される一人称視点のビデオ・ゲームをモチーフにした映像作品を複数制作しています。登場するのは現実の空間や人物であるにもかかわらずビデオ・ゲームそのもののように感じられるのは、プレイヤーが操作する主人公の動きに伴って生まれる画面の微妙なブレや急激な移動などを、カメラを固定した海野自らの身体を巧みにコントロールすることで、忠実に再現しているからです。出演者もゲーム内のアバターのように振る舞い、両者に備わったビデオ・ゲーム的身体性によって、現実とバーチャルな空間との境界が揺るがされ、世界が多層なものとしてあらためて立ち上がります。
*6 First-Person Shooterの略。主人公=プレイヤー本人の視点でゲーム中の空間を任意に移動でき、武
器もしくは素手などを用いて戦うアクションゲームのスタイル。
谷口暁彦
《やわらかなあそび》2019/2021年 *リアル、オンライン
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谷口暁彦《やわらかなあそび》2019年
《やわらかなあそび》は、クッション素材でつくられた子供のための遊び場「ソフトプレイ」をモチーフに、現実のシミュレーションとしてのバーチャル空間と、現実との関係をテーマに制作/上演されたパフォーマンス作品です。
谷口本人が、舞台の上で作者自身のアバターを操作しながら上演され、初期コンピュータとネズミの関係性、インターフェイスとしてのマウスの由来や、タッチパネル、ハーメルンの笛吹き男、3DCG空間での身体について、VRchat上で実際に起きた事件などに言及しながら、部分的に似ていて、部分的に似ていない、バーチャルな空間と現実の空間との関係性について語っています。
本展覧会に際して、展示用にアップデートし、さらにハイパーICCバージョンとしてリメイクされる予定です。
ホズニ・アウジ
《Airplane Mode》2020年 *リアル、オンライン
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ホズニ・アウジ《Airplane Mode》2020年 パブリッシャー:AMC Games
《Airplane Mode》は、プレイヤーがパイロットではなく乗客となるフライト・シミュレーター・ゲームです。民間の旅客機に乗り込み、大西洋横断のフライトを待つ間、プレイヤーは窓際の席でどのように過ごすかを決め、あとは現代の航空技術に委ねます。出発地から目的地まで、実際にかかる飛行時間を体験することができます。
セマーン・ペトラ
「Monomyth: gaiden」2018-2020年 *リアル、オンライン
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セマーン・ペトラ《Monomyth: gaiden / Return》2019年
「Monomyth: gaiden」は、2018年から2020年にかけてセマーンが日本滞在した際に制作された全四部作の映像作品です。神話学者ジョーゼフ・キャンベルは、世界中の民話や神話が、英雄が日常から非日常へと旅立ち、通過儀礼を経てまた日常に帰還するという共通の構造をもつと論じ、それを単一神話論と名付けました。タイトルの「Monomyth(モノミス/単一神話)」はそれに由来し、セマーン自身をモデルにしたアバター「Yourself」が、モノミスの物語構造をなぞりながら、実写映像、写真、アニメーション、CGといったさまざまなデジタル領域が多層的に重ねられた〈非日常〉世界を旅します。そして映画やアニメーション、ビデオ・ゲームにおけるリアリティとフィクションの交わりを見つめながら、私たちの記憶や自分自身がどのように構築されているかを解明しようとしています。
2.コモングラウンド概念図と監修者略歴
コモングラウンド概念図 (制作:noiz)
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豊田啓介
1972年生まれ。東京大学生産技術研究所特任教授
東京大学工学部建築学科卒業。安藤忠雄建築研究所を経て、コロンビア大学建築学部修士課程修了。SHoP Architects(2002‐06)を経て、2007年より東京と台北をベースに建築デザイン事務所noizを蔡佳萱、酒井康介と共同主宰(2021年より兼任のためデザインアドバイザー)。コンピューテーショナルデザインを積極的に取り入れた設計、製作、リサーチ、コンサルティングなどの活動を、建築からプロダクト、都市、ファッションなど他分野横断型で展開している。2021年よりnoizおよびgluonとの兼任で現職。バーチャル初台およびハイパーICC制作監修。
3.関連イベント
会期中には、アーティストや有識者を招いたトークなどの開催を予定しています。
本件に関するお問合わせ先
NTT東日本
広報室 報道担当
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MAIL:houdou-gm@east.ntt.co.jp