プレスリリース
◆「第4回日本和文化グランプリ」審査結果発表
各分野の企業・協会・自治体が協業し、持続可能な和文化振興の仕組みを構築・確立するため、2020年5月に設立した一般社団法人 日本和文化振興プロジェクトは「第4回日本和文化グランプリ」を開催し、計12作品の受賞を決定いたしました。
「日本和文化グランプリ」は日本が誇る優れた作品を顕彰・継続的な販売拡大のサポートする事、日本の伝統文化と未来の伝統に繋がる現代の高度な技術やアートワークの持続可能な発展の仕組みを構築・確立する事を目的としています。 国籍・居住地・年齢を問わず和文化に携わる企業・団体・個人を対象に毎年作品を募集してます。
審査委員長には東京藝術大学名誉教授 三田村有純氏をむかえ、芝浦工業大学名誉教授 建築家の堀越英嗣氏、能楽小鼓方大倉流十六世宗家 大倉源次郎氏など、各界で活躍する11名が審査委員を務め、受賞作品を選出いたしました。 今後は、授賞式、交流会(協賛、法人会員、審査委員、理事、アドバイザー、関係各社)、受賞者展示販売会、ギャラリートークの開催、受賞者とその作品の紹介・販売を行う海外向けWebサイト「Green Pheasant」(https://gp-j.com)への掲載等を予定してます。受賞者に対して需要拡大につながるフォローを具体的に実施することで、和文化の担い手が持続的に活動できるよう継続してサポートいたします。
また、本審査会を撮影編集した動画の公開を10月初旬ごろ予定しています。
◆第4回日本和文化グランプリ審査結果
【グランプリ】1作品
作品名:muji 1seater chair
受賞者:平井 健太
【準グランプリ】2作品
作品名:重要文化財 建造物「聴竹居」本屋・閑室・茶室(下閑室)の保存と公開を通じて伝統と未来を再考し、和文化の醸成と発信に貢献する活動
受賞者:株式会社 竹中工務店、一般社団法人 聴竹居倶楽部
作品名:紙神からの贈りもの「越前和紙縁起飾り」−七宝−
受賞者:山本 一惠
【優秀賞】3作品
作品名:茶器「霜月」
受賞者:大坪 直哉
作品名:未来を宝ものにする、和紙のキッズメジャー。
受賞者:gftf 小蜥テ 仁
作品名:彩貝螺鈿耳飾り「美々華」
受賞者:佐野 圭亮
【きものの森賞】1作品
作品名:初明かり
受賞者:新田 源太郎
【CVJ賞】1作品
作品名:華爪2023
受賞者:奥畑 実奈
【奨励賞】3作品
作品名:Kimma Sound Box for Smartphone "Torus II"
受賞者:小西 由紀
作品名:輪奈天鵞絨織 袋帯 七宝華文
受賞者:宮田 浩次
作品名:空気清浄機「竹風」
受賞者:竹虎(株)山岸竹材店 山岸 義浩
【学生賞】1作品
作品名:childhood
受賞者:林 美来(女子美術大学大学院)
※受賞者コメント、審査委員講評、作品情報詳細、入選者は、こちらからご覧いただけます
⇒https://jcpp.jp/2024award/
グランプリ
作品名:muji 1seater chair
受賞者:平井 健太
【作品概要】
奈良県の銘木「吉野杉」と特殊な曲木技法「free form lamination」を組み合わせて制作したラウンジチェアです。座面からそのまま背板へとつながる緩やかなカーブは、ひじ掛けや、体をゆったりと支える背につながります。材料となる吉野杉を育む吉野林業は、日本人工三大美林を評する程美しく歴史ある林業です。
その中でも私が普段使用している材料は、突板と呼ばれる薄くスライスされた単板です。
突板に加工できる材料は、優良材とされる吉野材の中でも特に優れた一級品の材料です。吉野杉は本来建築用材なので、材料市場では4m程度の長さで取引されています。4m間一つも節等の欠点がない木材、それが吉野材の凄いところです。(節は枝の痕なので、節が無い=枝を生やさせない育て方をされている)
しかし、一般的な椅子やテーブルですと、一番長い部材であってもせいぜい2m程度の長さしか使用しません。家具用材としては正直オーバースペックでしたが、折角4m無節の材料があるので、それをそのまま活かせるデザインを考えました。名前のmujiとは、「無地」であり、業界用語で「無節」を意味します。
【受賞者コメント】
この度、コンテストでグランプリを受賞できたこと、大変光栄に存じます。
出品したラウンジチェアには、古来より日本の暮らしに根付く杉の木を使用しています。
杉は日本人の持つ、自然と共に生きる文化を象徴する素材であり、その木目や香りは私たちに和の心を自然と呼び覚ましてくれます。この伝統的な素材を活かしながら、現代のライフスタイルに調和するデザインを追求しました。今後も日本の素材と文化を大切に、さらなる作品づくりに励んでまいります。この度は誠にありがとうございました。
【講評】
出品者によると、グランプリに選ばれたmuji 1seater chairの「muj」とは「無地」、つまり「無節」のことを言う。椅子一脚を形づくるのに節ひとつない吉野杉を用いたということだが、タイトルに明らかなように、作品はまず素材の上でイノベーションを結集させようと構想されたものである。
軽く柔らかな杉材は建築に適しているが、家具用材には不向きとされている。市場で取り引きされる吉野杉は、長さ四メートルもあり、節として痕跡を残す枝が一本も生えないよう丁寧に育てられている。年輪の稠密な素材を薄くスライスし何枚も重ね、滑らかな突板に仕上げていった。そのように積層した単板の強度に加え、圧着に使う接着剤自体も強さを高め、美しくはあるが従来日々の使用に耐えないという吉野杉の魅力を最大限に引き出した発想と実践を、審査委員は高く評価したのである。
メビウスの輪のように美しく流れる艶やかな表面にも技術上の工夫が込められている。通常の積層合板では雌雄の型をセットに使い、それに添って成形するわけだが、型を使わない本作品ではその制限を超えた切れ目のない自由な「流れ」を可能たらしめている。我々が横へと広がる座面にそっと腰を掛けると、体型がどうかを問わず、背を預け肘を掛ける「ちょうど良い」場所がストレスなく見つかるのである。白木自体が希求するかに見える軽やかでやさしい形と新技術の結実で、未来につながる和文化の可能性を実感した。
審査委員:ロバート キャンベル(日本文学研究者、早稲田大学特命教授、早稲田大学国際文学館顧問、東京大学名誉教授)
準グランプリ
作品名:重要文化財 建造物「聴竹居」本屋・閑室・茶室(下閑室)の保存と公開を通じて伝統と未来を再考し、和文化の醸成と発信に貢献する活動
受賞者:株式会社 竹中工務店、一般社団法人 聴竹居倶楽部
準グランプリ
作品名:紙神からの贈りもの「越前和紙縁起飾り」−七宝−
受賞者:山本 一惠
◆第4回日本和文化グランプリ概要
募集テーマ:『伝統と未来』
募集対象ジャンル:衣/住/建築/インテリア/アート作品/美術工芸/服飾/和小物/染織/テキスタイル/和紙/金工/漆/陶磁/木工/竹・藤/硝子/皮革/その他/等に該当するプロダクト※その他上記の作家や和文化振興の企画・支援・プロデュース活動
◆日本和文化グランプリ審査委員 (五十音順)
三田村 有純(委員長)東京藝術大学名誉教授、日展理事、江戸蒔絵10代継承
ロバートキャンベル 日本文学研究者、早稲田大学特命教授、早稲田大学国際文学館顧問、東京大学名誉教授
秋元 梢 モデル
秋元 雄史 東京藝術大学名誉教授、美術評論家
上杉 孝久 上杉子爵家九代目当主
襟川 文恵 公益財団法人横浜市芸術文化振興財団、横浜美術館渉外担当リーダー
大倉 源次郎 能楽小鼓方大倉流十六世宗家
片平 秀貴 丸の内ブランドフォーラム代表
須田 賢司 重要無形文化財「木工芸」保持者、日本工芸会理事、参与、木竹工部会長、木工藝学林清雅舎主宰
富川 匡子 株式会社emu(エミュ) 代表取締役社長
堀越 英嗣 芝浦工業大学名誉教授 建築家・堀越英嗣ARCHITECT 5 代表
◆2025年度 第5回日本和文化グランプリ開催予定
募集テーマ:『伝統と未来』
応募期間 :令和7年1月中頃〜令和7年5月31日
※最新情報は、HP・各SNSで随時発表予定
URL:https://jcpp.jp
Instagram:https://www.instagram.com/jcpp_official/
Facebook:https://www.facebook.com/jcpp.official/
Green Pheasant:https://gp-j.com
◆特別協賛 (五十音順)
一般財団法人カルチャー・ヴィジョン・ジャパン
一般財団法人きものの森
公益財団法人現代芸術振興財団
株式会社Plan・Do・See
株式会社PROSPER
株式会社ユナイテッドアローズ
◆協賛 (五十音順)
株式会社AOKIホールディングス
有限会社I.J.I unit
有限会社オスカー(順理庵)
GMOインターネットグループ株式会社
シチズン時計株式会社
公益財団法人日本服飾文化振興財団
野村證券株式会社
株式会社羽田未来総合研究所
株式会社ルミネ