プレスリリース
株式会社風力エネルギー研究所(本社:東京都千代田区,代表取締役社長:鈴木章弘)は,気象条件によって変動する風力発電所の発電出力を高精度に予報する技術を開発しました。この技術では,風力発電に関する知見と風況解析に関する豊富なノウハウを活かし,独自の気象予測と,統計学的手法や機械学習手法(AI)に基づく発電出力予測モデルを組み合わせることで,翌日の発電出力の高精度な予報を実現します。
2024年3月から,本技術を搭載した「発電出力短期予測システム」を,実際の風力発電所を対象として試験的に運用しており,2024年度中にサービスを正式に開始する予定です。このサービスは,風力発電事業者,送配電事業者,電力アグリゲータなどの電力事業者を対象に,電力市場向けの予報情報を提供して,お客様の電力市場での収益性の向上に貢献します。また,洋上風力を始めとする再生可能エネルギーの基幹電源化を進めていくために欠かせない,電力系統の安定化にも資する情報を提供します。
● 開発の背景
脱炭素社会の実現に向け,陸上風力および洋上風力の導入拡大が見込まれています。再生可能エネルギー発電については,固定価格買取制度(FIT制度)からフィードインプレミアム制度(FIP制度)の下で事業を行う体制に移行しています。
FIP制度では,再エネ発電事業者は発電した電力をスポット市場や時間前市場などの電力市場で入札して販売する(売札)ことになりますが,風力発電は出力が気象条件によって変化する自然変動電源であるため,入札にあたっては,得られる電力量を精度よく予測して計画を作成する必要があります。
● 本技術の特徴
本技術は,以下の特徴を持ちます。
・気象予測
独自に運用する高解像度の気象予測システムにより,風車位置ハブ高の風速・風向を予測します。過去の風速観測値を用いて風速の補正モデルを設定し,予測値を補正します。
・発電出力予測
予測値と過去実績値に基づき,統計学的手法や機械学習手法を用いた予測モデルを設定し,風車ごとに発電出力を予測します。さらに,個々の風車の特性,設置環境,過去の運転実績を予測に反映することで予測精度を高めます。
・予測精度
風力発電に関する知見と風況解析に関するノウハウを活かし,モデル設定に使用する実績値と予測値を選別し,モデルを適切に設定することで,予測精度を向上させました。既設の風力発電所を対象とした予測精度を検証した結果,年間の平均絶対誤差約10%と,高い予測精度が得られました。
● サービス仕様
電力市場の入札条件に合わせて,翌日0時〜24時の発電出力を30分枠ごとに配信します。
● サービスの利用用途
・発電計画の作成支援
風力発電による電力を電力市場で入札を行う際の計画立案
・風力発電所のメンテナンス作業計画の作成支援
弱風時にメンテナンス作業を実施する,天候急変による作業員への危険を避ける,など風力発電所の天気をピンポイントで予報したデータに基づいた作業計画の作成を支援します。
● サービスに関するお問い合わせ
株式会社風力エネルギー研究所 営業担当
Email: information@windenergy.co.jp,URL:https://www.windenergy.co.jp/