プレスリリース
令和6年5月30日に、厚生労働省よりCBD製品などに含まれるTHCしきい値案が発表されました。
日本のCBD市場では、THC濃度0.02%のものが一般的に流通しています。しかし、今回提示されたTHC濃度のしきい値は、現在CBD業界が目安にし、流通しているほとんどのCBD製品に残留するTHC数値の1/200の0.0001%です。
このTHCしきい値のCBD製品を、生産・流通・維持することは、非常に困難です。
そのため、この数値のままで法改正がおこなわれると、現状の日本のCBD市場は、事実上崩壊する恐れがあります。
現在、日本の大麻取締法では、大麻の医療利用が禁止されています。
そのため、食品として流通しているCBD製品を使用することによって、多くのひとが体調管理をしています。特に、てんかん発作抑止や不眠や向精神薬断薬のために使用しているひとたちにとっては、命に関わる問題です。また、ウェルネスの面でCBD製品を使用している、比較的健康なひとたちも同様です。
すでに、これだけ広く流通しているにもかかわらず、特に健康被害等の報告は出ていません。
今回の厚労省のTHCしきい値が採用されると、これらのひとが健康被害を被ることとなり、公衆衛生の観点からも大きな問題に発展しかねません。
また、法改正によりCBDを主成分とする医薬品であるエピディオレックスについては、日本における活用が認められましたが、これは特定のてんかん症状のみにしか用途が認められておりません。加えて、エピディオレックスは、食品として流通している製品と比較して高額なため、大きな負担となることが予想されます。
上記に述べた、CBD製品に助けられている、その他大勢の方々の生きる権利や健康に暮らす権利が、無視され奪われることになります。
さらにTHCしきい値は、明瞭のように見えますが、その検証は極めて困難であり、見込みによる逮捕・勾留によって、身体拘束の危険性が高まります。加えて、しきい値未満であった場合にも、麻薬特例法や薬機法によるいわゆる「物なし事件」としての捜査・起訴が可能となり、捜査・訴追機関の権力濫用の可能性が危惧されます。
私たちは、厚労省のこのような判断は、重大な人権問題に繋がる恐れがあるととらえています。
厚労省が、少なくとも、現在の先進国同様のTHCしきい値を採用することを、私たちは要求します。
2024年6月20日
任意団体クリアライト
丸井英弘(弁護士)、長吉秀夫(著述業)、大藪龍二郎(陶芸家)
一般社団法人刑事司法未来
石塚伸一(龍谷大学名誉教授・弁護士)、丸山泰弘(立正大学法学部教授)、加藤武士(木津川ダルク代表)
賛同人:
アンドルー・ワイル(医学博士・アリゾナ大学 A・ワイル統合医療センター創設者)、園田寿(甲南大学名誉教授・弁護士)、佐久間裕美子(作家)、イーサン・ネーデルマン(政治学者、ドラッグ・ポリシー・アライアンス創設者)、蛭川立(明治大学准教授・国立精神神経医療研究センター客員研究員)