プレスリリース

  • 記事画像1
  • 記事画像2
  • 記事画像3
  • 記事画像4

NTTコミュニケーションズ株式会社

北海道内の中核病院群を結んだ5G遠隔視触診実験に成功

(@Press) 2024年01月10日(水)11時00分配信 @Press

NTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com)は、北海道大学量子集積エレクトロニクス研究センターの池辺将之教授、北海道大学病院/大学院医学研究院の岩崎倫政教授、遠藤努特任助教、北海道大学大学院情報科学院修士課程野津綾人氏らの研究グループ、BIPROGY株式会社、株式会社テクノフェイス、慶應義塾大学、モーションリブ株式会社、株式会社AnchorZと共同で、「視て触れる」新しい医療通信システム(以下 本技術)を開発し、北海道大学病院・帯広厚生病院・函館中央病院の3拠点を結んだ遠隔視触診の実験(以下 本実験)に成功しました。
なお本実験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進するポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業において、先導研究テーマ「ポスト5Gに向けたマルチモーダル情報の効率的活用と触診・遠隔医療技術への応用(研究開発責任者:池辺将之)」として採択され実施したものです。

1.背景
北海道では患者の移動や地域による医療格差が問題となっています。全国的にも超高齢社会の到来や、高度専門医の都市部偏在により、地方での医師不足が顕在化し遠隔医療へのニーズが高くなっています。
一方、遠隔医療を高度化するにあたっては触診の点で課題があります。外来診察では、医師は患者への聴聞、視診、触診とともにX線などの画像検査や採血検査などのデータを合わせて診断を確定します。特に整形外科医・皮膚科医・乳腺外科医などにとって患部の触診は極めて重要です。遠隔地では、対面診療と比較し、触診できないことが誤診のリスクを上昇させる懸念から、遠隔医療の実現を困難にしてきました。また、従来触診は数値化できず医師の経験に基づいてなされていたため、経時的な患部の形態変化や熱感などの触覚情報からの病気の推察方法を医師間でデータ共有することは容易ではありませんでした。

2.本技術の概要
遠隔医療の技術推進に向け、[1]触診向けセンシング機器及び触覚情報の遠隔における再現機器と制御技術、[2]5Gを活用した触覚情報と視診向けの高精細動画との連動技術を開発しました。医師がセンサーで取得した触診情報を動画フレームごとに埋め込むことで、触覚情報と動画内の時空間(触覚場)が完全に同期して紐づけされ、触覚情報を含むコンテンツ・データベースとして機能できるようになります。
これにより視触診情報の他医師への共有が可能となるため、転院時の情報連携や医学生への教育に活用することができます。また、視触診情報をリアルタイムに伝送することで、遠隔視触診が実現されます。

<本技術の活用イメージ>
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/381150/img_381150_1.png

3.本実験の詳細・成果
北海道大学病院、帯広厚生病院、函館中央病院を5Gで結び、上腕部のリアルタイム遠隔触診を実証しました。実験では、触覚センシングと4K解像度の動画を統合した後、遠隔地にて動画と紐づく触覚を再現しました。上腕部の各部位(骨部・筋肉・腱)の触感再現と弁別、各部位の弛緩・緊張状態の弁別や逐次変化の再現・確認が複数の医師によって行われました。

<函館・帯広・札幌3拠点遠隔触診実験の構成>
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/381150/img_381150_2.png

<函館・帯広・札幌3拠点遠隔触診実験の様子>
(左:受信側、中央:送信側、右上:センサーデバイス、右下:触覚再現器)
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/381150/img_381150_3.png

4.本技術の開発・本実験におけるNTT Comの役割
触覚センシングと4K解像度の動画を統合した高精度動画データを5Gおよびdocomo MECを活用し、遠隔地へ高速かつ低遅延通信を行います。
また、ソリトンシステムズ社と伝送・配信システムを連携し、独自の圧縮伝送技術を進化させ、映像伝送最大の課題だった遅延の問題を解消し、超短遅延の映像伝送を行います。

5.今後の展開
本技術は人間の感覚を共有する「人間張拡張技術」(※3)の一つであり、ポスト5Gおよび6Gを活用した新しい医療システムの構築とその臨床展開が期待されます。
今後も本技術の社会実装に向け、実証実験を進めていきます。


NTTドコモ、NTT Com、NTTコムウェアは、ドコモグループの法人事業を統合し、法人事業ブランド「ドコモビジネス」を展開しています。「モバイル・クラウドファースト」で社会・産業にイノベーションを起こし、すべての法人のお客さま・パートナーと「あなたと世界を変えていく。」に挑戦します。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/381150/img_381150_4.png
https://www.nttdocomo.co.jp/biz/special/docomobusiness/

NTT Comは、事業ビジョン「Re-connect X(R)」にもとづき、お客さまやパートナーとの共創によって、With/Afterコロナにおける新たな価値を定義し、社会・産業を移動・固定融合サービスやソリューションで「つなぎなおし」、サステナブルな未来の実現に貢献していきます。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/381150/img_381150_5.png
https://www.ntt.com/about-us/re-connectx.html

*「docomo MEC」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。

(※1):「docomo MEC」は、NTTドコモが提供元でありNTTコミュニケーションズが販売する、国内初の「MEC」(Multi-access Edge Computing)サービスです。5Gの特長を最大限に活用できる「MEC」により、リモートをよりリアルに、リアルを楽しく・快適にする、最先端ソリューションを創出できます。日本全国複数個所に拠点があり、地域の課題解決に寄与します。
(参考)「docomo MEC ポータルサイト」 https://www.mec.docomo.ne.jp/index.html
(※2):「Smart-telecaster Zao-X」と「Zao Cloud View」は、株式会社ソリトンシステムズが開発した、携帯電話回線などを利用して高画質の映像を伝送・配信するシステムです。独自の圧縮伝送技術である「RASCOW」を「RASCOW2」へと進化させ、映像伝送最大の課題だった遅延の問題も解消、超短遅延の映像伝送を可能にしています。
(参考)「Zao-X」https://www.ntt.com/business/services/stzx.html
(※3):人間張拡張技術とは、人間の能力を補完・向上する、あるいは新たに獲得するための技術です。ロボット、センサー、通信、AIなどがその発展を支える技術要素となります。

【関連リンク】
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ニュースリリース「触覚情報と診察動画を統合・伝送し、遠隔で触感の再現に成功―医療手技の定量化や教育利用など、医療の高度化に貢献―」(2023年1月10日)
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101711.html

プレスリリース提供元:@Press

このページの先頭へ戻る