プレスリリース
積水ハウス株式会社は、9月1日の「防災の日」に向けて、自宅における防災対策の普及を目的に、全国の20〜60代の既婚男女を対象に「防災に関する調査」を実施しました。
積水ハウスの研究機関の住生活研究所では、暮らしにおける「幸せ」のさらなる追求のために「住めば住むほど幸せ住まい」研究として様々な調査を実施しています。関東大震災から100年となる今年の「防災の日」に向けて、地震をはじめとした自然災害への自宅での対策状況や、近年少しずつ耳にする機会が増えた在宅避難*についての意向や課題などを調査しました。
*災害時において、自宅に倒壊や焼損、浸水などの危険性がない場合、そのまま自宅で生活を送ること
〜調査サマリー〜
●地震に不安を感じている人が86.4%、大きな地震発生時に最も不安なのは「断水」
●地震経験をきっかけに備えや対策を行ったことがある人が44.2%、契機となったのは震度5弱・5強で約4割
●8割以上が在宅避難を選びたい、一方で備蓄やインフラ、耐震性などの備えが課題
防災意識や自宅での対策状況に関する調査結果をはじめ、もしもの時も自宅で家族と過ごす「在宅避難」に向けた4つの「幸せTips」もご紹介します。
■最も不安な自然災害は地震
自然災害で不安に感じるものを聞いたところ、地震を挙げた人が最も多く86.4%でした。暴風(台風)や大雨・洪水もそれぞれ半数近くの人が回答しており、近年の異常気象を不安に感じている人も多いことが読み取れます。
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積水ハウス株式会社 住生活研究所「防災に関する調査(2023年)」
自宅で行いたい災害対策は、1位が「非常食の備蓄」(51.8%)、2位が「飲料水の備蓄」(48.4%)と、備蓄関連の項目が最も多く挙がり、「非常持ち出し品の点検・置き場確認」(31.4%)、「ハザードマップや避難場所、避難道路の確認」(28.2%)と、避難関連の項目が続きます。自宅で行っている災害対策を聞いたところ、「非常食の備蓄」を実際に行っている人は36.6%で、行いたい人(51.8%)と比較すると、理想と現実には15.2ポイントのギャップがあるようです。同様に、「災害時の家族のルールの確認」は12.8ポイント、「非常持ち出し品の点検・置き場確認」は12.4ポイントと、災害対策の必要性を感じながらも、実行できていない人もいるようです。
「倒壊や転倒しにくい家具を選択、設置」や「家の中で安全な場所の確保」は、したい人もしている人も2割以下でした。命があってこその備蓄や避難ですので、安全を守る対策の重要性も再確認できるとよさそうです。
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積水ハウス株式会社 住生活研究所「防災に関する調査(2023年)」
■地震をきっかけに対策をした人が4割以上 事前に十分な対策を
大きな地震が発生した時に不安に感じることでは、「断水」(65.6%)、「停電」(64.6%)とライフラインに関わるインフラを挙げた人が最も多い結果になりました。「食品の確保」や「飲料水の確保」などの食料関連、「家の倒壊・破損」「家族とはぐれる・連絡がとれない」などの自身や家族の安全に関わる項目も約半数が回答しており、地震に対して様々な不安を感じている人が多いことがわかりました。
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積水ハウス株式会社 住生活研究所「防災に関する調査(2023年)」
しかし、地震への対策や備えを行っている人は65.2%にとどまっています。停電時に役立つ「懐中電灯等の準備」、「飲料水の備蓄」や「非常食の備蓄」は半数以上が準備している一方、断水時のための「風呂の残り湯をためておく」、家族とはぐれた時や連絡が取れなくなった時のための「連絡方法・集合場所など、家族のルールの確認」は約2割しか行っておらず、不安を感じている割合とのギャップが目立ちます。どのように対策すればよいかわからない等の理由が予想されます。
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積水ハウス株式会社 住生活研究所「防災に関する調査(2023年)」
地震をきっかけに対策や備えを行ったことがあるかを聞いたところ、44.2%が「ある」と回答しました。きっかけとなった震度は、「震度5弱」(22.6%)が最も多く、「震度5強」(18.6%)、「震度4」(18.1%)が続きます。「震度5弱」前後から地震対策の必要性を実感した人が多いようですが、震度5弱は「大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる」「棚にある食器類や本が落ちることがある」「固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある」*ような揺れです。自宅で大きな地震を経験してから対策や備えを行った人が多いようですが、ご家庭でも災害に備えて事前の備えが必要です。
*出典:気象庁ホームページ( https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/shindo/index.html )
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積水ハウス株式会社 住生活研究所「防災に関する調査(2023年)」
自宅での地震対策は十分に行えているかどうかを聞いたところ、「そう思う」と回答した人はすべての項目において1割未満、「ややそう思う」と回答した人を含めても「日用品の備蓄」「食料・飲料の備蓄」「安全の確保」はそれぞれ約3割、「停電・断水・ガスの停止・通信障害等の対策」は約2割と、自信をもって自宅での地震対策ができていると考えている人は意外にも少ないことがわかりました。
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積水ハウス株式会社 住生活研究所「防災に関する調査(2023年)」
■8割以上が選びたい「在宅避難」 備蓄やインフラ、自宅の耐震性などが課題
災害時に避難所へ行くことについて「とても抵抗がある」「やや抵抗がある」と回答した人の割合は、コロナ禍前は63.6%でしたが、コロナ禍で73.0%と9.4ポイント上昇しました。現在は65.0%と、コロナ禍前とほぼ同じ水準です。避難所に行くことに抵抗がある人にその理由を聞いたところ、最も多かったのが「プライバシーがないから」(69.5%)で、「避難所の衛生面が心配」(51.4%)、「避難者同士のトラブルの懸念」(43.4%)が続きました。「コロナ感染の懸念」は、昨年の60.9%から28.0ポイント減少して32.9%でしたが、その他の項目は昨年と大きな変化がないことから、コロナの影響がなくなっても避難所に抵抗を感じる人は少なくないと考えられます。
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積水ハウス株式会社 住生活研究所「防災に関する調査(2023年)」
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災害時において、自宅に倒壊や焼損、浸水などの危険性がない場合、そのまま自宅で生活を送る「在宅避難」の意味を知っている人は34.8%にとどまりました。聞いたことはあっても意味がわからない人、知らない人もそれぞれ約3割と、近年少しずつ耳にする機会は増えてきたものの、まだまだ在宅避難の考え方が認識されていないことが読み取れます。在宅避難の意味の説明後は、もしもの際は避難所よりも「在宅避難を選びたい」の回答は84.8%でした。
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積水ハウス株式会社 住生活研究所「防災に関する調査(2023年)」
在宅避難を選びたい理由を聞いたところ、「プライバシーが保たれる」(57.1%)が最も多く挙がりました。避難所に抵抗がある理由でもプライバシーを懸念する声が多かったことから、多くの人と集団生活を行うことに不安を感じている人が多いようです。2位以下は、「自分の家が快適」(44.8%)、「普段と同じ暮らしがしたい」(38.9%)、「家族と過ごしたい」(36.3%)と続き、災害時にもなるべく家族と一緒に普段通り過ごしたいという気持ちが読み取れます。いざという時でも、在宅避難ができるように備えや対策はしておきたいですね。
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積水ハウス株式会社 住生活研究所「防災に関する調査(2023年)」
安心して在宅避難をするために必要だと思うことを聞いたところ、「飲料水の備蓄」(79.7%)、「食料品の備蓄」(78.1%)、「日用品の備蓄」(66.0%)と、備蓄関連の項目が上位に挙がりました。また、「懐中電灯」、「生活用水の確保(飲料水以外)」「通信の確保」とインフラ関連の項目を挙げた人もそれぞれ半数以上でした。
しかし、これから準備が必要な人も多いようです。飲料水や食料品の備蓄は約8割が必要性を感じている一方、実施できている人は半数以下にとどまります。特に実施できていない人が多かったのはインフラ関連でした。「通信の確保」は53.3%が必要と思っているにも関わらず、実施できているのは10.1%と、43.2ポイントも差があり、「生活用水の確保(飲料水以外)」もその差は38.6ポイントでした。大きな地震の際の不安1位だった「断水」の対策率が低いことからも、インフラ関連の対策は大きな課題と言えそうです。さらに「耐震性の高い住宅」も、必要と思っている人と実施できている人の差が32.0ポイントと目立ちます。在宅避難をするためには、自宅に倒壊などの危険性がなく安全であることが最も重要です。
生活に必要なものやインフラだけではなく、自宅の建物の耐震性能の理解や、避難経路なども確認しておきましょう。
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積水ハウス株式会社 住生活研究所「防災に関する調査(2023年)」
■約8割が停電を経験 1日以上停電を経験した人の約3割は復旧まで自宅で我慢
特にインフラ関連の備えや対策が課題であることが判明しましたが、自然災害以外の原因で発生したものも含め、多くの人が停電や通信障害などを経験していることがわかりました。経験したことがある人が多かったのは「停電」で、約8割が経験したことがあると回答しました。また、24.8%は1日以上と長時間にわたる停電経験があることもわかりました。「通信障害」は58.6%、「断水」は51.8%と、それぞれ半数以上の人が経験したことがあるようです。
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積水ハウス株式会社 住生活研究所「防災に関する調査(2023年)」
停電などを1日以上経験した際にどのように対応したかを聞いたところ、停電では約3割、通信障害では約半数が「復旧まで、特に何もせず自宅で我慢した」と回答しました。いざという時のためにも、常に備えておくことが大切です。「復旧まで、別の*工夫をしながら自宅で過ごした」と回答した人は、家にあった電池式のライトやカセットコンロなどを活用したことが予想されます。また、約2割は断水時に給水車を利用したことがわかりました。
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積水ハウス株式会社 住生活研究所「防災に関する調査(2023年)」
■4つの「幸せTips」で、もしもの時も普段通りに家族と暮らせる住まいを
調査では、8割以上が地震に不安を感じているにも関わらず、備蓄や安全確保、インフラ対策が十分に行えている人は2割〜3割にとどまることがわかりました。また、災害時に倒壊や焼損、浸水、流出の危険性がない場合、そのまま自宅で生活を送る「在宅避難」を選びたい人が多いことも判明しました。地震が起きてから備えや対策を行った人も少なくないようですが、実際に起きてからではなく、前もった備えが必要です。
積水ハウスでは、耐震性の高い住宅はもちろん、「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」を備えた防災ゼロエネルギーハウス、防災力を高める生活等のご提案も行っています。ここでは、もしもの際の「在宅避難」に備えた4つの「幸せTips」をご紹介します。
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在宅避難に向けた4つの「幸せTips」
(1) リスクを減らす住宅とインテリア:在宅避難で最も重要なのは家が安全であること。自宅の耐震性能を理解し、必要に応じて耐震性を高めるリフォームなどを行えると理想的です。家の中もより安全な空間にするために、地震が来たら倒れそうな家具や家電は固定し、収納扉には耐震ラッチを取り付けましょう。インテリア性を保ちたい場合は、背の低い家具を選ぶのも一つの手。転倒リスクが低く、見た目と防災の両立が可能です。防火仕様のカーテンや、ガラス不使用の壊れにくい鏡を採用するなどの工夫もおすすめです。
(2) もしもに備える日常の暮らし:日ごろから家の中をすっきりした空間にできていれば、災害時に物の散乱や落下を最小限にとどめることができ、安全につながります。キャンプが趣味であれば、これが防災にもつながることをご存じですか。テントをはじめ、バーナーやランタン、寝袋などのアウトドア用品を防災グッズとして使用することができるほか、最低限の調理器具や食器を上手に活用することや、水や調理用の燃料などをムダ遣いしないように配慮することなど、キャンプの経験も災害時に役に立ちますよ。
(3) いつもの場所で防災備蓄:防災備蓄は特別に用意しないといけないと思っていませんか。普段から買い置きしている乾物やインスタントラーメン、卓上コンロ用のガスなどで、もしもの生活をシミュレーションしてみましょう。普段のストック品も実は防災備蓄につながります。キッチン内の収納で、いつも通り使いやすい位置にしっかりと量を確保するだけなら、気楽に取り組めますね。また、日々の生活の中で賞味期限や量の点検・管理ができるので、いざという時に賞味期限が切れているというリスクも軽減できるでしょう。
(4) 住宅設備でいつもの暮らし:飲料水や食料の備蓄が十分でも、電気・ガス・水道などが止まると大変不便ですよね。日中晴天時に最低限の電気が利用できる太陽光発電や、ガスと水道の供給があれば昼夜を問わず電気を利用できる燃料電池が自宅に設置されていれば、災害時の電力確保につながります。さらに蓄電池もあれば、より安定的に電気が利用できます。また、一部の給湯設備や燃料電池のタンクは、お湯や水を取り出して雑用水として利用でき、雨水タンクがあれば、トイレ用水の確保にもなります。住み替えや設備の故障・取り替え時だけでなく、災害の観点からも住宅設備について考える機会を設けてみてくださいね。
ぜひ皆様も4つの「幸せTips」を参考に、もしもの時も自宅で家族と普段に近い暮らしができる、安全・安心な住まいの工夫を盛り込んでみてはいかがでしょうか。
■住生活研究をはじめとする住まいの専門家 河崎由美子メッセージ
1923年9月1日、甚大な被害をもたらした関東大震災から100年。日本は地震大国と言われ、専門家からも今後30年以内に日本の半数以上の都道府県で、震度6以上の地震に高い確率で見舞われる可能性が指摘されています。
しかし今回の調査では、地震への備えや対策をしている人は65%にとどまりました。
私は在宅避難派ですが、避難所に行くことも考え、テントやマットなどをキャリーバッグに保管しています。パンを入れているビニール袋のような防臭効果のある袋のストック、小さく畳める水タンク、運動靴なども備えています。自力での避難が困難な家族やペットのいる方は、地域の情報や相談窓口なども確認しておくと安心ですね。
いざという時に慌てないため、この機会にわが家の防災対策を考えてみませんか。
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フェロー R&D本部 河崎由美子
河崎由美子
フェロー R&D本部
1987年入社。高校入学までの12年間を海外で過ごした経験や子育て経験などを生かし、総合住宅研究所でキッズデザイン、ペット共生、収納、食空間など、日々の生活に密着した分野の研究開発全般に携わる。
執行役員、住生活研究所長を経て2023年4月より現職。一級建築士。
<「防災に関する調査」調査概要>
調査期間 :2023年6月1日〜5日
集計対象人数:500人
集計対象 :全国の20〜60代の既婚男女
<記事などでのご利用にあたって>
・引用元が「積水ハウス株式会社 住生活研究所」による調査である旨と、引用元調査「防災に関する調査(2023年)」の記載をお願いします。
・積水ハウス ウェブサイトの該当記事( https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/20230803 )へのリンク追加をお願いします。
<住生活研究所について>
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住めば住むほど幸せ住まい ロゴ
積水ハウスが2018年に開所した、日本の企業として初めて「幸せ」を研究する研究所です。
人・暮らしの視点で、ライフステージ・ライフスタイル、そしてこれからの住まいのあり方の調査・研究を行っています。今後迎える「人生100年時代」には、暮らしにおける「幸せ」のさらなる追求が重要と考え、時間軸を意識した「住めば住むほど幸せ住まい」研究に取り組んでいます。研究を通して、幸せという無形価値、つまり「つながり」「健康」「生きがい」「私らしさ」「楽しさ」「役立ち」といった幸福感を高め、家族やライフスタイルの多様な変化に対応する幸せのかたちをお客さまへご提案することを目指しています。
ウェブサイト : https://www.sekisuihouse.co.jp/company/rd/humanlife/
これまでの調査リリース: https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/
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