プレスリリース
安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:国谷 一彦)は、仙台市青葉区で建設中の(仮称)安藤ハザマ東北支店ビルにおいて、当社がこれまで確立してきた建築物のLCA(ライフサイクルアセスメント)手法をさらに発展させ、評価範囲を拡張させることにより、エコリーフ環境ラベル(注1)とCFP(カーボンフットプリント)環境ラベル(注2)を同時に取得しました。建築建屋だけでなく設備や運用も含めて公的なルールでLCAを実施し、さらにはエコリーフ環境ラベルを建築物で取得するのは国内初となります。
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図1:国内初、2種類の環境ラベルを同時取得
当社は、脱炭素・循環型社会の実現に向けGHG(温室効果ガス)排出削減への取り組みを強く推進しておりますが、今回の成果は建築物に係るサプライチェーン全体のカーボンニュートラル化の実現だけでなく、GHG以外の環境側面にも配慮した多様な環境影響評価を可能とします。
1. 安藤ハザマの進化したLCA その特長と利用方法
今回当社では、これまで難しいとされてきた設備工事や運用段階を含めた全工種・全ライフサイクルまで評価範囲を拡張させるため、SuMPO環境ラベルプログラム上で登録されているPCR(製品分野別算定ルール)(注3)を改定しました。
これにより、エンボディドカーボン(注4)だけでなく建物の全ライフサイクルで、公的なルールに基づいたLCAを実施することが可能になりました。
また、安藤ハザマのLCAはISOに準拠しているため、TCFD、CDP、SBTなどの情報開示の根拠データとして、プライム市場上場企業等に求められるあらゆるステークホルダーからの多様な目的に応じた環境情報を提供できます。
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図2:設備工事の資材積み上げ算定や、運用時の算定も評価へ拡大
2. 開発の経緯と今後の展開
これまで当社では、ISO14040/14044に準拠した高い専門性を併せ持ったLCA手法により、公平かつ信頼できる評価手法を確立するため、LCA用インベントリデータベース「IDEA(注5)」と、LCA評価ツール(IDEA用)(注6)を活用することで、二酸化炭素だけでなく多様な環境負荷物質を合わせた総合的な環境影響評価の仕組みを確立してきました(注7)。
エコリーフは、CFPと同じくISOに準拠して第三者が算定結果について審査・検証することでその精度を担保する環境ラベルの一つです。
CFPが気候変動のみを評価対象にしているのに対して、エコリーフは気候変動だけでなく、オゾン層破壊、酸性化、光化学オキシダント、富栄養価などのも公的な指標で評価し、情報開示することができます。
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図3:複数の環境側面にも配慮した多様な環境影響評価
本建物は、Net-ZEB認証とZEH-M Oriented認証を同時に取得(注8)しています。
今回は設備工事や外構工事も算定対象とし、オペレーショナルカーボン(注9)と呼ばれる運用段階も評価対象としました。
設備工事は設備資材の積み上げ算定としており、建築と同様に公的なルールに基づいた高精度のLCA手法を、株式会社関電工(本社:東京都港区、社長:仲摩俊男)、大成温調株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長執行役員:水谷憲一)と共同で確立しました。
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図4:資材製造段階(設備工事)における算定結果(例)
今後は、当社が開発したLCA支援システム(注10)との連携も進め、LCA算定期間や算定コストの大幅な削減を実現し、より一層、お客様の脱炭素化および環境配慮の取り組みをサポートしていきます。
(注1)エコリーフ環境ラベル
エコリーフ環境ラベルは、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)が管理・運営するSuMPO環境ラベルプログラム( https://ecoleaf-label.jp/ )においてライフサイクル全体における環境負荷の定量的開示を行うもの。
(注2)CFP(カーボンフットプリント)環境ラベル
CFP環境ラベルは、エコリーフ環境ラベルと同様にSuMPO環境ラベルプログラムにおいてライフサイクル全体における気候変動負荷の定量的開示を行うもの。
(注3)PCR(製品分野別算定ルール)
PCRは、Product Category Ruleのことで、エコリーフ、カーボンフットプリントにおける製品種別毎の環境負荷の値の算定・開示方法に関する基本ルール。今回、改定したPCRは下記より参照できる。
こちらを参照
https://ecoleaf-label.jp/pcr/pcr_list.php?pcr=PCR&release=%E5%85%AC%E9%96%8B&limit_list=10
(注4)エンボディドカーボン
エンボディドカーボンは、建築物のライフサイクルプロセスのうち、資材製造、施工、修繕・更新、解体・廃棄時のCO2排出量で、建築物自体のライフサイクル全体を通じたCO2排出量という意味で使われることが多い。
(注5)IDEA
産業技術総合研究所 安全科学研究部門が開発、運用している環境影響評価用の網羅性の高いインベントリデータベース。
(注6)LCA評価ツール
日本建築学会地球環境委員会LCA小委員会にて開発した、IDEAを用いて環境負荷物質を評価するツール。
(注7)総合的な環境影響評価
二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)等を総合的に判断することで、オゾン層破壊・酸性雨・大気汚染・富栄養化などを含む様々な評価が可能。広島県公立大学法人県立広島大学 小林謙介准教授との共同研究を実施。
安藤ハザマ2021年4月13日リリース資料を参照
LCA手法を活用した、建築物の新たな環境影響評価
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2021/20210413.php
(注8)安藤ハザマ2022年11月21日リリース資料を参照
国内初、事務所と賃貸共同住宅の複合施設でNet-ZEBとZEH-M Orientedの認証取得
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2022/20221121_01.php
(注9)オペレーショナルカーボン
建築物の運用プロセスでのエネルギー使用等のCO2排出量はオペレーショナルカーボンと定義され、今回の評価対象に含む。
(注10)安藤ハザマ2023年3月16日リリース資料を参照
建築物LCAライフサイクルアセスメントをだれでも数分で
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2023/20230316_01.php
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