プレスリリース
株式会社光英科学研究所(埼玉県和光市、小野寺洋子社長)は新たな研究を実施し、乳酸菌・ビフィズス菌とその代謝物を含む豆乳発酵食品である「乳酸菌生産物質」(注1)の摂取により、糞便のにおいに関与する有害な腸内細菌(Oscillospiraceae)が減少することを確認しました。同時に、胃腸の感染症に関与する有害な腸内細菌(Sutterellaceae)が低減することも確認しました。
今回の研究を通じて、乳酸菌生産物質の摂取によって腸内細菌叢が変化し、腸内環境の改善につながる可能性が示唆されました。研究結果は、学術誌「Journal of Intestinal Microbiology」(2022年10月号)に査読付き論文として掲載されました。
※注1:豆乳を培地に用いて、16種35株の乳酸菌・ビフィズス菌によって発酵させた食品。
<研究背景・目的>
近年、腸内細菌の研究が進展し、腸内細菌が食物繊維などを発酵して作り出す代謝物が大腸から吸収され、生理活性物質として有効に使われていることが明らかになってきました。腸内の有益菌と有害菌のバランスを整えることが、健康に役立つと考えられています。
従来、乳酸菌やビフィズス菌を腸に生きたまま届けるというプロバイオティクス製品や、善玉菌のエサとなるプレバイオティクス製品が注目されてきましたが、現在では、乳酸菌・ビフィズス菌とその代謝物を含む乳酸菌生産物質の有効性の解明へと、研究のステージが移りつつあります。そこで、今回の研究では、乳酸菌生産物質の摂取による腸内細菌叢の占有率の変化を調べました。
<研究方法>
今回の研究は、排便回数が週3〜5回の41歳〜61歳の健常な成人20人を対象とし、ランダム化二重盲検クロスオーバー比較試験(注2)によって実施。試験食品摂取群には乳酸菌生産物質(16種35株の乳酸菌・ビフィズス菌を使用)を150mg含む食品、プラセボ食品(注3)摂取群にはプラセボ食品を摂取させました。
各摂取期間と休止期間をそれぞれ4週間設定し、摂取期間中は1日1回1粒の試験食品またはプラセボ食品を朝食後に水とともに摂取させました。
※注2:「試験食品の摂取 → 休止期間 → プラセボ食品の摂取」というように、すべての被験者に試験食品とプラセボ食品の両方を摂取させて、試験食品摂取群とプラセボ食品摂取群の結果を比較する試験方法。被験者も、試験を行う医療関係者も、どの順番で何を摂取しているのかがわからないようにして行う。
※注3:外観は試験食品と同じだが、試験食品の有効成分(乳酸菌生産物質)が入っていない食品。
<研究結果・考察>
研究の結果、試験食品(乳酸菌生産物質)摂取群はプラセボ食品摂取群と比べて、糞便のにおいの一端を担う吉草酸を生産する腸内細菌(Oscillospiraceae)が、統計学的に有意に減少したことが確認されました。同時に、胃腸の感染症患者から発見された細菌を含む有害な腸内細菌(Sutterellaceae)についても、試験食品摂取群はプラセボ食品摂取群と比べて、有意に減少したことも確認されました。
これらの腸内に存在する有害菌の減少は、酢酸を生産し腸管内を酸性に保つことで殺菌効果が期待される腸内細菌「Desulfovibrionaceae」が、試験食品摂取群ではプラセボ食品摂取群と比べ、有意に高い値を示したことと関係していると考察されます。今回の研究を通して、乳酸菌生産物質の摂取が、腸内細菌叢を人体にとって有益な環境に変化させる可能性が示唆されました。
<会社概要>
商号 : 株式会社光英科学研究所
代表者 : 代表取締役会長 村田 公英/代表取締役社長 小野寺 洋子
所在地 : 〒351-0115 埼玉県和光市新倉5-1-25
設立 : 1969年創立/1994年法人化
事業内容 : 乳酸菌生産物質の製造・販売、乳酸菌の培養
資本金 : 1,000万円
URL : https://www.koei-science.com/
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