プレスリリース
株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津 要)の政策シンクタンクPHP総研は、2022年10月13日に提言報告書『コロナ後の財政金融政策のロードマップ――「新しいアコード」でマクロ経済運営の舵取りを』を公表いたしました。
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提言報告書『コロナ後の財政金融政策のロードマップ』表紙
コロナ禍のもとでは様々な分野で臨時・異例の対応を迫られましたが、マクロ経済政策の運営もその例外ではありません。10万円の特別定額給付金をはじめとする家計支援・企業支援の措置が講じられたことから政府の支出が大幅に拡大するとともに、企業の資金繰り対策などのために金融政策の運営においても、市場に供給する資金量がそれまでの水準を大きく上回って推移するようになり、結果として財政金融両面において拡張的な政策運営が続けられてきました。
もっとも、新型コロナの感染拡大から2年半以上の時間が経過する中、平時モードへの復帰が大きな課題となっています。また、資源高と円安を起点とする物価上昇により、デフレを基調とするこれまでの経済環境への対応とは質の異なる新たな課題への対応も求められるようになりました。
こうした中、PHP総研では本年1月にPHP「ポストコロナ財政金融」研究会を発足させ、各分野の専門家を招いてテーマ別に報告と討議を行うとともに、本報告書の公表に向けて調整を進めてまいりました(資料3)。本日ここに、これまでの研究成果をまとめた提言報告書を公表いたしました。
■報告書全文(PDF)は下記ページからダウンロード・お読みいただけます。
https://thinktank.php.co.jp/policy/7691/
本報告書では、提言報告書要旨(資料1)記載の点を中心に今後の財政金融政策の運営に関するロードマップ(資料2)を示し、政府と日本銀行による「新しいアコード」の策定を提案しています。2013年1月の「共同声明」ではデフレ脱却を目指す政府・日銀の連携が謳われていますが、物価高への対応という新たな課題も生じる中、異次元緩和の出口戦略を含む市場との対話のあり方、政府と日銀の政策連携のあり方の再点検が求められています。
本報告書が今後の政策運営のあり方を考えるうえでの一助となれば幸いです。
提言報告書『コロナ後の財政金融政策のロードマップ』資料
1 提言報告書要旨
経済が消費増税前の水準に戻るまで日銀はYCCを維持、政府は緊縮財政への転換を避けよ
・インフレとデフレのリスクの双方に目配りを
資源高と円安による「物価高」には留意しつつも、物価の基調が十分に強いものとはなっていないことを踏まえて、引き続き慎重な政策運営が求められる。
・現行の金融政策の大枠は維持
最近時点においてもなお需要不足が残存し、物価の基調が十分に強いものとはなっていないことを踏まえ、経済活動の水準が2019年10月の消費増税前の水準に到達するまでは、現行の金融政策の枠組み(長短金利操作付き量的・質的金融緩和=イールドカーブ・コントロール)を維持すべき。
・マイナス金利の見直しを
物価動向をめぐる最近の変化(デフレからインフレへの移行)を踏まえ、マイナス金利の修正や長期金利の変動幅の拡大など、金融政策の運営においても部分的な調整は行う必要がある。
・ETFはGPIFに譲渡
日銀が買い入れたETF(上場投資信託)についてはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの公的機関に有償で譲渡することを検討すべき。
・当面は穏健な財政運営を継続
経済活動の水準が2019年10月の消費増税前の水準に到達するまでは、財政運営についても緊縮的な方向への政策転換は避けるべき。
・2030年代前半にかけて増税の検討も必要に
その後は、危機時における財政運営の機動性を確保するため、歳出抑制と経済成長による税収増などを通じて財政収支の改善を図る。団塊ジュニア世代が高齢者になる2030年代後半のことを見据え、2030年代前半にかけて、増税も含む財政収支の改善策を検討することが必要に。
2 ポストコロナ財政金融政策の改革工程表
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3 PHP「ポストコロナ財政金融」研究会開催経緯
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PHP総研とは
「政策シンクタンクPHP総研」は、松下幸之助が設立した株式会社PHP研究所の政策シンクタンクです。
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