プレスリリース
生活者の約9割が「帰宅後に手を洗う」と回答も、実際は手洗い前にウイルスを広げていることがシミュレーションで判明!〜帰宅直後の手洗いが、家庭内のウイルス伝播を抑えるポイント〜
ライオン株式会社(代表取締役社長・掬川 正純)は、手洗いの重要性が認識される中、家庭内へのウイルス持ち込みとその付着・伝播の実態を調査しました。生活者に対する調査から、約9割が“帰宅後、手を洗う”と回答しているものの、実際には、手洗い前にリビングやキッチンに立ち寄っていることがわかりました。さらに、インフルエンザウイルスの挙動をもとに新たに作成したエージェントベースAIシミュレーションモデル(※1)を用い、家庭内にウイルスが持ち込まれた後のウイルス伝播の様子を可視化したところ、「帰宅直後の手洗いにより、家庭内へのウイルス伝播が抑えられること」が判明しました。
本モデルの概要およびシミュレーション結果は、内閣官房「COVID-19 AI・シミュレーションプロジェクト」ウェブサイトにて公開しています(※2)。
(※1) 一定のルールに基づいて自律的に行動するエージェント(ヒトやモノ)の振る舞いや、エージェント同士の相互作用によって起きる複雑な社会現象を表すシミュレーションモデル。本研究では、仮想空間でヒトが行動したとき、ウイルスがどのように伝播し、どこに付着するのかを数値化しました。
(※2) 本研究結果の詳細は下記ウェブサイトを参照。なお本研究は、筑波大学との共同研究契約に基づき実施しました。
https://www.covid19-ai.jp/ja-jp/presentation/2021_rq3_countermeasures_simulation/articles/article190/
https://www.covid19-ai.jp/ja-jp/presentation/2021_rq3_countermeasures_simulation/articles/article239/
サマリー
1. 約9割が「帰宅後、手を洗う」と回答も、手洗い前にリビングなどに立ち寄って色々なところに触れていることが判明
2. 帰宅後の手洗いが遅くなると家庭内にウイルスが拡散!直後の手洗いでウイルス付着量が3割以下に
1. 約9割が「帰宅後、手を洗う」と回答も、手洗い前にリビングなどに立ち寄って色々なところに触れていることが判明
帰宅後の行動動線に関する家庭内の生活者行動調査を実施したところ、書面調査では「帰宅後、手を洗う」と回答した人は約9割でした(調査概要参照)。しかし、実際に家庭内の様子を観察するモニタリング調査から、手洗い前にリビングやキッチンなどに立ち寄っているという実態が明らかになりました。子どもだけでなく、大人も、手洗い前に色々な場所に触れていることもわかりました。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/297645/LL_img_297645_1.png
帰宅後、手洗い前にカウンターに触る様子
帰宅後、手洗い前にソファーに触る様子
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■家庭内の生活者行動調査概要
(1)書面調査
対象者:20〜69歳の生活者10,000名、時期:2021年7月、方法:インターネット調査
調査内容:帰宅後の手洗い行動について
(2)モニタリング調査
対象者:一般家庭 3世帯、時期:2021年8〜10月、方法:ビデオ撮影による観察調査
調査内容:自宅に帰宅してから手洗いするまでの実際の行動把握
2. 帰宅後の手洗いが遅くなると家庭内にウイルスが拡散!直後の手洗いでウイルス付着量が3割以下に
エージェントベースAIシミュレーションモデルを用いて、家庭内にウイルス(インフルエンザウイルス)が持ち込まれた際の伝播について調べました。
ウイルス付着量ヒートマップ
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シミュレーションでは、帰宅後一定量のウイルスが手に付着していたと仮定し、代表的な2LDKの間取りをモデルとしたとき、帰宅後30分間において接触した場所ごとにどの程度ウイルスが付着しているかを算出しました。帰宅後の30分間に手を洗わなかった群を「手洗いなし群」、15回接触以下で手を洗っている群を「早めの手洗いあり群」と定義し、それぞれの場合の、家庭内ウイルス付着量を比較しました。「15回接触以下」とは、玄関のドアを開けて鍵を閉め、靴を脱ぎ、そのまま洗面所に向かって手を洗ったという行動を表しています。
シミュレーションの結果、手洗いをするのが遅くなり、帰宅後にドアノブや壁、テーブルなど触れた回数が増えるほど、家庭内で伝播するウイルス量が増えることがわかりました。「手洗いあり群」は、「手洗いなし群」と比べると、家庭内のウイルス量は3割以下に抑えられることが判明しました。さらに、帰宅直後に手を消毒する「手洗いあり+消毒あり群」の場合は、約1割にとどまるという結果が得られました。
この実験より、家庭内でのウイルスの伝播を抑えるためには、帰宅後玄関から洗面所に直行して手を洗うこと、さらに帰宅後玄関で消毒をすることが大切であることがわかりました。
シミュレーションによる家庭内ウイルス付着量比較
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【対策】帰宅したら、すぐに手洗いを
家庭内でのウイルス伝播を防ぐためには、帰宅後、玄関での手指消毒をした上で、リビング等に立ち寄らず、洗面所に直行し手を洗うことが重要です。また、特に子どものいるご家庭では、親子で一緒に洗面所に向かう“付き添い洗い”も、ウイルス伝播を防ぐ大事な手段です。自分のため、家族のために正しい手洗い習慣、手指の消毒習慣を心がけることが大切です。
当社グループは、「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」を経営ビジョンに掲げ、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」ことを企業のパーパス(存在意義)として活動を行っています。本研究は、当社提供価値領域の1つである「インフェクションコントロール」の取り組みの一環で、衛生を中心とした生活習慣づくりにより、今後も生活者の皆さまとともに、清潔に暮らせる社会の実現に貢献してまいります。
プレスリリース提供元:@Press